2012年06月12日

◆小沢完全孤立、与野党協議合意へ弾み

杉浦 正章


解散に言及したとき、野田の声が一瞬詰まって震えた。これは本気だと思った。命をかける消費増税法案が不成立に終われば野田は確実に解散に打って出る。しかし21日までの会期中にその可能性はあるか。全くない事ではないが、まずない。というのも民主、自民、公明三党の修正協議が11日合意に向けて大きく弾みが付いたからだ。

自民党が2段階の消費増税引き上げ方式を承認した。小沢は完全に孤立した。小沢の乱や国会で取り上げられた小生の「輿石クーデター」説程度では解散の可能性は少ない。むしろ解散・総選挙は参院で最終決着の“継続審議”となる方向だろう。


 久しぶりに出てきた元財務相・額賀福志郎はさすがに質問がうまい。「決死の覚悟がないと出来ない」とただし、野田の解散表明をうまく引きだした。野田は 「国民のために決断しなければならない時期は迫っており、私は政治生命をかけている。それ以上のことは言わなくても十分おわかりいただけると思う」と発言した。


「それ以上」の部分で詰まって声が震えたのだ。野田の心理状態も切羽詰まっていることを物語り、「乾坤一擲の勝負」に出ていると改めて感じさせる答弁だった。



焦点の与野党協議は、自民党の町村信孝が2段階方式での引き上げに同意して税制問題での大きな山場は越えた。焦点の低所得者対策では8%への引き上げ時に現金給付をする民主党の短期政策案に公明党を含む3党が足並みをそろえた


。公明党は低所得者対策では民主、自民両党と歩調を合わせた。公明党は自・民の協調路線に置き去りにされかねないから、もともとブレーキなどかけられる立場にない。野党の動きのポイントは11日の自民・公明両党党首会談にあった。ここで土壇場での逆転の“陰謀”があるかないかだったが、まずないことが分かった。


むしろ自民党総裁・谷垣禎一が公明党代表・山口那津男を説得した構図だろう。両者は15日までの修正合意を確認したのだ。「総選挙に追い込む」ことでも一致したがこれは公明向けの付けたりだ。谷垣は公明を引き込み与野党合意に向けた足並みをそろえることに成功した。



焦点として残っているように見える最低保障年金制度と後期高齢者医療制度撤回問題は「国民会議」への棚上げが一層強まった。両問題は自民が撤回を求め、民主がこれを拒否して平行線になるからこそ「国民会議」が必要なのだ。


協議段階では最後まで平行線で結構な問題であり、これが一大障害物であるかのような見方は浅薄だ。おまけに妥協案が秘密裏に検討されている。法案提出の時期を大綱から削れば問題は解決する。副総理・岡田克也が示唆しているし、その動きが出ているのだ。



したがって、問題はまたまた「小沢の乱」に帰着する。小生が野田外遊中の「輿石クーデター」の危険を説いて「野田は陣頭指揮で“輿石クーデター”を阻止せよ」と説いたのは5日だが、11日の特別委でも自民党の阿部俊子が取り上げた。阿部が「15日に合意してもG20首脳会議から首相が帰国する20日朝までに輿石クーデターが起きるのではないか」と輿石による造反をただしたのだ。


首相は「決まった暁にはクーデターなど起こらない」と答弁したが、内心は不安がよぎっているに違いない。というのも輿石はまだ、消費増税法案の継続審議を狙っている感じが濃厚だからだ。


11日も記者会見で「野田首相は、消費税率引き上げ法案などを成立させることに政治生命をかけている。会期末の21日までの採決に命をかけたり、政治生命をかけているのではない」と、「継続」への未練を語っている。



昨日取り上げた、小沢事務所ののぼりの問題も特別委で取り上げられた。「増税の前にやるべき事がある」という消費税反対ののぼりだ。自民党の金子一義が「のぼりを立てて消費税反対の街頭演説をやっている。


党議拘束をかけていないのか」とただした。野田は「採決という段階では当然党議拘束はかかる」と憮然とした表情で答えた。要するに野党が民主党内の造反を心配し、一方で民主党との協議を合意へと導いている状況が出来(しゅったい)しているのだ。野田・谷垣・小沢の三角関係は、野田が谷垣に傾斜して、事実上の「小沢切り」となっているのだ。



逆から見れば元代表・小沢一郎が政界で完全に孤立しつつあることを物語っている。小沢は「国民の生活が第一だ。政治とは生活である。国民の生活を保障しきれなくて政治は政治とは言えない」と確信犯的に増税反対を繰り返している。こう見てくると与野党が合意に向けてまい進しているのに対して、小沢とそのグループと鳩山由紀夫だけが反対で取り残されつつある構図がいよいよあらわになってきている。


もし小沢一派が消費増税法案に反対の投票を行ったらどうなるかだが、当然野田が言うように党議拘束がかかっているから、最悪の場合は党除名となる。チルドレンらは選挙を前に“小沢城”を枕に討ち死にするか、両者にメンツを立てて棄権などの対応を選択するかを迫られることになる。小沢自身は反対投票せざるを得ないだろうから問題は何人が同調するかだが、せいぜい40〜50人ではないか。


いずれにしても消費税可決に向けてのとうとうたる流れにさおさすことはできまい。 


<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック