2012年07月17日

◆野田・谷垣再選で“臨時国会解散”説

杉浦 正章



 15日のTBSテレビで司会者から「野田再選」を聞かれて政調会長代行・仙谷由人は「多分ね」と答えた。この「多分ね」に“読み”を入れると背景が深い事が分かる。首相・野田佳彦が民主党代表に再選されるかどうかのキーポイントがそこに存在するからだ。

9月の代表選挙と自民党の総裁選挙が“8月解散”と“真逆”でかかわる構図が浮かび上がるのだ。野田は「解散イコール再選なし」、自民党総裁・谷垣禎一は「解散イコール再選可能」の図式が見えるのだ。その激突の構図を電話で“秘密会談”の二人が乗り切れるのかどうかだが、一部にささやかれ始めたのは秋の臨時国会への解散先延ばし説だ。
 

民主党内は小沢一郎の離党が「せいせいする」(首相側近)と「せいせい効果」をもたらして、返って民主党内は筋肉質に締まった感じが濃厚だ。鳩山由紀夫が「離党しないが消費税に反対」と駄々をこねているが、離党しないのでは迫力がない。当面執行部が懐柔し続けるだろう。

こうした中で15日になって、にわかに「野田再選論」が台頭し始めた。50人の党内最大グループを抱える政調会長・前原誠司が「首相はしっかりと仕事をされており、首相はころころ代わるべきではない。私はどんな立場でもしっかりと野田さんを支えていきたい」と再選支持の口火を切った。
 

さらに仙谷も冒頭述べた「多分ね」のあとに「消費税増税をやり抜きつつあるリーダーであるし、たじろがずに原発再起動も決め、外国から見ても評価が高い」と野田を褒めちぎっているのだ。両者の発言が象徴するものは、現在の民主党内の空気は「野田再選」へと動き始めているということだ。ただしそれには無言の条件がついている。解散先送りの条件だ。

野田には、民主党の置かれた選挙事情が密接に絡むのだ。3年前の「追い風」はぱたりと止み、今や逆風が吹きすさんでいる。同党所属衆院議員の願望は解散・総選挙が遅ければ遅いほどいいという一点に絞られている。それを無視して野田が8月解散・9月選挙に踏み切れば、結果は新聞に「惨敗」「大敗」の文字が躍るのだ。もはや政権与党ではあり得なくなるのが常識だ。

その民主党を惨敗に導いた代表を「再選」させるだろうか。憲政の常道として政党を破滅的な敗北に導いたトップが居座ることは困難なのだ。本人も辞退するだろう。それでも人が居ないケースはあり得るから、完全に再選を否定は出来ない。しかし「選挙大敗」の視点を欠いて「再選だ」と読むのは読みが浅いのだ。
 

一方で再選問題がやはり動き出しているのが自民党だ。昨年末ワシントンで総裁選への立候補を明言してひんしゅくを買った幹事長・石原伸晃は最近では「谷垣総裁を全力で支える」にトーンダウンした。

しかし「万が一の事態のために絶えず準備している」と立候補への意欲を維持している。この「万が一」という言葉は、再選がない可能性もあり得ることを物語ってる。つまり解散に持ち込めなければ再選がない可能性があるのだ。
 

谷垣の場合は、ただでさえ“ポスト谷垣”がうごめいている中で、8月解散に追い込めなかったらどうなるかだ。もはや総裁選候補とすらみなされなくなってもおかしくない。自民党内は石原、石破茂などへと急速な「若返り」志向をたどるだろう。

したがって谷垣は消費増税法案と関連法案が成立する8月上旬には、内閣不信任案や首相問責決議案を軸に、野田を解散に追い込むためのあらゆる手段を講ぜざるを得ないのだ。
 

要するにここで冒頭述べたように野田は解散すれば再選なし、谷垣は解散なければ再選なしの構図が浮かび上がるのだ。ぎりぎりでどちらが勝つかの土壇場状況になっていくことは間違いない。これが本筋の読みだ。

しかし“脇筋”の読みがないかというとそうでもない。両者の折り合う目は全くないわけではないのだ。まるでサーカスの空中ブランコのような荒技だが、永田町でささやかれている案が一つだけある。

それは野田が谷垣に10月の臨時国会冒頭での解散を確約する“紳士協定”を結ぶことだ。事実上の「話し合い解散」となるが、時期は言われていた今国会でなく、両党が代表選、総裁選を終えた秋の国会だ。秋ともなれば任期は3年を超え、政界はまさしく「解散適齢期」となる。加えて野田は選挙前だから代表再選が可能となる。谷垣も解散を確約させたのだから再選への道が開ける。

しかし、よほどの確約でなければ話しは成立しない。だからサーカス的なのだが、今後ぎりぎりの状況になれば浮上する可能性がある。激突の本流中で、わずかではあっても可能性を全く除外できないところに政治の面白さがある。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

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