2012年07月27日

◆だんまり女房は早死にする

石岡 荘十

 
古い医学論文を拾い読みすると、ときどき面白い研究成果に出っくわす。そのひとつ---。

「夫と意見が対立したときに沈黙してしまう“だんまり女房”の死亡リスクは、そうでない妻に較べ4倍高い。これに対し、亭主のだんまりは健康にさほど害をもたらさない」

本文の原題は、‘Wives Who Bite Their Tongues Risk Their Lives’。これを翻訳したNIKKEI NETの連載シリーズは、「押し黙る妻は死亡リスク高い」と直訳しているが、ボストン大学の研究者らが2005年、明らかにした論文を見ると、表題のような翻訳で間違いなさそうだ。

さて、その研究成果はこうだ。(以下、当時のNIKKEI NETの「アメリカ健康最前線」を引用しながら紹介する)

<先ごろオーランドで開かれた米国心臓協会(AHA)主催の「第2回女性、心疾患および脳卒中に関する国際会議」で報告された。

米ウィスコンシン州の独立研究法人代表Elaine D. Eaker氏とは、心疾患と社会的データ、人口統計学的データとを評価するフラミンガム子孫研究の参加者である18歳から77歳までの男性1,769例、女性1,913例を対象に、結婚生活における不調和が心疾患発生率あるいは総死亡率に及ぼす影響を検討した>。

研究論文と名がつくと、どうしてもこんな文章になってしまうが、要するに、「夫婦喧嘩は心臓病にどんな影響を与えるか」ということである。

<既婚者または結婚の形態をとっていた男性1,493例、女性1,501例に対して、1984〜1987年に初めての評価をし、その後10年間にわたって心疾患発症あるいは死亡状況を追跡評価した。その結果、夫婦喧嘩のときぶすっと黙ってしまう(self-silencing)妻は、そうでない妻に較べ死亡リスクが4倍高い。このことは年齢、血圧、コレステロール値、体重などで調整した後でも認められた>。

一方、口下手のだんまり亭主のほうはどうか。
<沈黙する亭主では健康に対する悪影響は認められなかった>。

しかし、
<仕事上の問題を家庭に持ち帰る妻を持つ夫は、そのようなストレスを持たない夫に較べ心臓疾患の発症率が2倍であることが判明した>。

Eaker氏は、だんまり女房の死亡リスクが高い原因について、意見が対立したときにいつも沈黙する女性では、ストレスホルモンが活性化し、健康に害を与えるようになる>と推測している。

物言わぬは、腹が膨れるだけでなく心臓にも悪いということらしい。この結果を踏まえて、
<ニューヨークのある病院の女性専門心臓病治療部門主任、Nieca Goldberg博士は、女性が自分自身をいたわり、怒りの感情を前向きな方法で表現する必要がある>と指摘している。

またEaker氏は
<医師が病歴を問診する際に、結婚生活の緊張度や配偶者の仕事の影響について質問すれば、こうした問題に対処することができ、必要に応じてカウンセリングを進めることができると述べている>。

研究結果は、健康上どのような夫婦関係が望ましいかについて興味深いデータを示しているかもしれない。つまり、夫婦喧嘩でぎゃーぎゃーわめきまくる妻はいい女房。黙ってそれを聞き流す夫はいい亭主。女房は家庭に仕事を持ち込むな。(ただし、夫が家庭に仕事を持ち込むことの是非については研究テーマになっていない)。共白髪を目指すならこうでなくてはならない。

日本では昔から「沈黙は金」という。だが、これは男に限ったことで、女性にとってはマイナス。雄弁、しゃべくりが女性の長生きの秘訣であることを、この研究成果は示唆している。
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