2006年12月04日

◆分類すれば「ゲテモノ」

                         渡部亮次郎

メイルマガジン「頂門の一針」の1愛読者から、以下の投書を戴いた。霧島昇・松原操夫妻の3女でソプラノ歌手の大滝てる子さんが両親の遺作をオペラ調で歌ったことを咎めたことに対するご「感想」なのである。

<演歌は日本の文化に根ざしている。ご維新から昭和まで突っ走った歴史の裏で泣いた庶民の哀歓が日本の歌調を生んだ。

ワインも日本酒もそれぞれの土壌、文化から生まれており、ブレンドする事は考えない。それぞれに味わうことが普通だろう。

最近、外国の歌手でも日本の歌曲をすばらしく歌う人がいるが(ロスチャイルドの一族の女性)、さすがに演歌は歌わない、いや歌えない。

ワグナーに「夕星の歌」という哀切きわまりながアリアあるが、小節を利かせて歌っても感動は呼ばない。

演歌を音吐朗々とバリトンで歌うことは罰せられはしないがそれは1回だけでお許し願う「座興」に過ぎない。分類すれば「げてもの」に入る。(長岡新太)>

この方は昭和1桁。幼少の頃から、78回転、モノーラルでクラシックを聴き続け、長じてはナマの演奏会を梯子し、多分、家を1軒建てるほどにつぎ込んだという人である。

それほどなのに演歌に関する理解も深いこと。音楽というものを高いところから俯瞰しておられること、日本人としては最高のレベルと言っても過言ではあるまい。

オペラ歌手となった霧島・松原の遺児たちが「旅の夜風」初め両親の遺作を有料で歌うことについて、私は私のメルマガ「頂門の一針」11月10日号で強く非難した。


2006年11月9日に渋谷のホテルで行われたクラシックの演奏会に出てきてご両親の遺作を何曲か歌われた後、ヨーロッパ帰りの男性オペラ歌手をわざわざ舞台に招いて「旅の夜風」をオペラ調で朗々とデュエットされたからである。

<東京・渋谷のホテルセルリアンタワー東急ホテルの教会で開かれるサロン・オーケストラ・ジャパンのコンサートが9日夜、3ヶ月ぶりに開かれた。

今回は嘗ての歌謡スター霧島昇・松原操夫妻(いずれも故人)の三女でオペラ歌手(ソプラノ)大滝てる子さんが両親の持ち歌を敢えて歌うというプログラムがはさまれていた。

「一杯のコーヒーから」「蘇州夜曲」のほか森山良子作曲の「涙(なだ)そうそう」も。オペラ風に歌われる歌謡曲には戸惑いを感じた。更に欧州帰りのオペラ歌手古川精一さんとのデュエットデ歌われた「旅の夜風」には悪趣味を感じた。

オペラはオペラ、歌謡曲は歌謡曲なりの歌い方があって、ファンを納得させている。融合は不可能である。花も嵐も踏み越えて、をオペラ風に歌うとご両親を懐かしむより冒涜しているように感じた。

次回は「セルリアン・ニューイヤーコンサート」として、1月11日(木)
午後2時半と午後7時だそうです。4000円。>(「頂門の一針」11月10日 625号 身辺雑記)

私は演歌は演歌でしかなく、オペラとは異質のものと考える立場から、こうした試みは悪趣味であり、ご両親のご功績たる確立された演歌に対する冒涜であると非難したわけだ。

趣旨をこのように「頂門の一針」625号に掲載したところ、それを上海在住の日本人の方が御自分のブログに転載し、それをたまたまご覧になった大滝さんが書き込みをされ、私に手紙を下さいとして居られた。

しかし、メルマガに書くのではなく手紙を寄越せという言い分に正直、立腹した。なんで私がわざわざ手紙を書く必要があるのか。そこで演奏会の主催者を通じて抗議すると共に、メルマガにその怒りを公表した。

ところが、今度は主催者が怒った。主催者宛の私信をメルマガに掲載(公開)したのは許せない、という怒りである。だが私の書いた手紙を公開質問状とするか親展とするか平信とするかは執筆者の勝手であると考える私は、主催者の抗議文掲載要求を拒否した。

私宛に来た私信を断りなしに公表したら、プライバシーの侵害だから抗議されて当然である。だが私が書いた文章を公開しようが、すまいが、私の勝手である。それを勝手に怒るのは非常識であり、その非常識を天下に晒すのは可哀想だから未だに晒していない。

大滝さんは、コトを逆に捕らえて私が主催者からの私信を私のメルマガに断りなしに掲載したと完全に誤解して例の上海のブログに抗議の書き込みをしているらしい。大滝さんは私と年が近いだけに、主催者の非常識にはお気づきにならなかったようで、笑いを誘われる。

オペラ調で歌われた演歌の1曲が、私の過剰な反応から非常識な反応を呼び、誤解に基づく反応を呼んだが、長岡新太さんの投書を「裁定」としてこの問題にケリを付けたい。主催者も一瞬の隙でつい座興を興行してしまったものとして許したい。2006.1129
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