2012年10月01日

◆維新 自民に食われ“失速”の気配

杉浦正章

維新の会にいち早く乗り換えた9人の議員たちは、“目先”が利くから今度は何処に乗り換えるかを考え始めているかもしれない。「しまった。早まった」ということなのだ。

大阪市長・橋下徹が率いる維新の会が早くも“失速”をささやかれ始めた。最大の原因は橋下が内政・外交を語る度に“馬脚”を現し始めた事にある。加えて自民党総裁選が折からの尖閣・竹島問題で脚光を浴び“右バネ”が利きき始めた点もある。自民党内最右翼の総裁・安倍晋三、幹事長・石破茂といった論客が前面出て、本気で橋下の“稚拙”な発言、未熟な政策を逐一論破し始めたのだ。自民党の存在感が大きくなり、逆に維新がすぼまったのだ。食われるのは民主党という構図だ。

まず橋下は発言の度に自ら“墓穴”を掘る図式が次第に濃厚になって来ている。外交・安保は知らない。内政もデタラメ。要するにすべてが思いつきで付け焼き刃なのである。マスコミがもてはやして何でも報道するのが返って裏目に出ているのだ。

総裁選前は維新に接近していた安倍も、300選挙区で対決することの意味が分かって急速に離れた。安倍は維新の会について「消費税の地方税化やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)、原発政策について考え方が完全一致ではない。選挙の時は戦わざるを得ない」と“離別宣言”をしたのだ。
 
確かに政策を見たらとてもやっていける相手ではないのだ。いままで黙っていた石破も逐一反論に出ている。石破はまず維新の基本姿勢について「私たちはプロの政治家であり、プロならば維新八策のようなスローガンを並べるだけで駄目だ。根拠となる法律、政策の順位その相関性を述べなければ政党としてはなはだ無責任である」と断じた。ついで個個の橋下発言についてすべて反論している。

まず竹島の共同管理発言については「共同管理というのは一体何か。領有権との結びつきはどうなのか。全く意味が分からない」とその“思いつき性”を厳しく指摘している。大阪府知事・松井一郎の「普天間を関西で受け入れる覚悟がある」発言についても、「一分一秒を争う有事の時に朝鮮半島や尖閣、台湾海峡への距離はどうなのか。何処で海兵隊は訓練するのか。覚悟だけで済む問題ではない」と切って捨てた。内政では橋下の「消費税の地方税化」について「自治体間の財政力の格差、税率の違いをどうするのか。実現性のないことを掲げても無駄だ」といった具合だ。

こうして自民党は維新に対して本格的な対決姿勢を取り始めた。これまで橋下の発言だけを一方的に報じてきたマスコミは、安倍、石破の発言を同時に取り上げる傾向を示し始め、有権者の判断に影響を及ぼし始めている。とどめを刺すのは解散後の党首討論だろう。

テレビ各局は橋下、野田、安倍を最重視で討論番組を組むだろう。論客の安倍と野田にかかっては橋下は完膚なきまでに痛めつけられる図式となるだろう。これまで言いたい放題であった橋下は政治家が本気で討論の場に臨んだらどうなるかを知る羽目になるだろう。
 
こうした風潮を反映して世論調査にも陰りが生じ始めている。1番維新の“羽振り”がよかったのが9月上旬だ。産経が1、2両日に実施した合同世論調査で、次期衆院選の比例代表の投票先に維新を選んだ人が23・8%とトップになったのだ。自民党は21・7%、民主党は17・4%にとどまった。

しかしその後は下降傾向をたどっている。フジテレビによる首都圏での維新に対する調査では、9月2日に14.7%だった支持率が、13日に9.4%、30日には5%と何と10ポイントも下がっているのだ。毎日が29、30両日に行った調査では維新が前回調査比3ポイント下がり8%。注目すべきは地域別にみると、近畿では21%を占めているものの、東京ではわずか2%、北海道・東北、南関東でともに4%にとどまっていることだ。

全国規模に波及していないのだ。読売の18日付調査でも維新は前回、地元の「近畿」では29%でトップだったが、今回は27%で、自民(29%)に次ぐ2番目となった。「中国・四国」「九州」でも自民に次ぐ2番目だが、その他のブロックでは自民、民主に続く3番目だった。全体的に、東日本よりも西日本で強い「西高東低」の傾向が表れている。選挙が近づくにつれてじわじわと維新が全国規模で自民に食われる傾向が強まろう。
 
有権者は尖閣をめぐる日中の緊迫化で、真剣に情報を取り始めており、“遊び”で維新を支持するゆとりなどなくなってきたことが背景にあるものとみられる。多くの有権者が安倍・石破の右傾化コンビの発言を傾聴する傾向を見せ、橋下は霞んでしまったのだ。

しかし自治体選挙でみられるように維新が弱りに弱っている民主党を食い散らす目はまだ残っていると見た方がよいだろう。民主の戦う相手は自民よりも維新となるだろう。今後発表される有力紙の調査も自民好調、維新に陰り、民主続落の傾向を見せるに違いない。
<<今朝のニュース解説から抜粋> (政治評論家)
  
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