2012年10月04日

◆維新で内ゲバ、タコの共食い状態に

杉浦正章
 

まるで「一夏の恋だったのね維新の会」だ。落ち目というのは哀れなもので支持率が低下し始めると早くも内輪もめだ。築城の最中だというのにに国会議員団が党首の橋下徹に反乱を起こした。「橋下独裁にはしない」と議員がクギを刺せば、橋下は記者会見で「ボクが決める」と世間に主導権争いを公言してしまった。


普通の政治家なら“内紛”は表面化させずに“胆力”で押さえるべきところだが、橋下にはそれが出来ない。これまでの生き様がテレビメディア頼りで、笑って貰ってなんぼのタレント稼業だからだ。何でもメディアに頼るのだ。風が止まれば風車も止まる。後ろ足で砂をかけて既成政党を離脱した議員らもさぞお困りだろう。
 

新党「日本維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)の国会議員団が3日、初めての両院議員総会を開き、松野頼久衆院議員を代表に決めた。衆院議員・松浪健太を幹事長に据えた。きっかけとなったのはその松浪のブログだ。「我々はもはやお客さんではない。言うべきことは忌憚なく言わせてもらう」と述べて橋下を独裁と決めつけた。


松野も「法案の採決は国会議員しかできない。当然、国会のことは議員団で決める」と同調している。発端は橋下の「竹島の日韓共同管理」発言にあるようだ。自らの領土主権を放棄するような荒唐無稽(むけい)さに、さすがの議員団も“切れた”のだ。
 

これに対して橋下も頭から押さえにかかった。「有権者が国会議員についてくるなら別に維新の会に所属しなくてもいいのではないか」と怒りをあらわにした。「変なパフォーマンスに走らないでくれ」と自分がパフォーマンスの権化であることを棚上げに批判した。


その発言には維新の会の“風”を頼りに所属政党を裏切って入党してきたのに、何を言うかという思いがありありとみられる。頼ってきておいて文句を言うなんて本末転倒だというわけだ。橋下は「ボクには拒否権がある」と記者団に主張した。記者団言う前に、議員らを説得するのが先であろうに、その気配は見られない。
 

確かに松浪が言うように維新の会は橋下の独裁体制が敷かれていて国会議員の発言権などない。大阪維新の会と全く同レベルの扱いだ。国会議員はいちいち橋下の判断を仰がなくてはならない形になっている。党規約によると橋下が最高議決機関である「全体会議」を招集し、国会対策を決める「執行役員会」も主宰する。国会議員団は下部組織であり、松野が党副代表として執行役員会に加わる方向だが、議決は過半数となっていて意見は反映されない可能性が高い。


普通の政党はこれではもたない。議会制民主主義の政党としてはあり得ない独裁遠隔操縦体制だ。ヒットラー台頭の基盤となった政党「国家社会主義ドイツ労働者党」を思い起こさせる。
 

要するに橋下にしてみれば自分への風だけで成り立つ政党であるという思いが強いのだろう。橋下を取り除けばろくろく名前も売れていない国会議員と、一旗揚げようと野望を抱く816人もの立候補応募者では正に烏合(うごう)の衆だ。それならば橋下が自ら怖じけつかないで立候補すれば問題は片付くのだが、なぜか手を挙げないと断言している。


大阪からの遠隔操縦が可能だと思っている。ここに「議員の反乱」の核心があるのだ。議員らはたとえ当選しても大阪にいちいちお伺いを立てなければ物事が進まないようでは、国政のテンポに付いていけないと思っているのだろう。駆け出しでもそれくらいのことには気が付く。そのジレンマが浮き彫りになったのがこの「タコの共食い」なのだ。


しかし議員団は重要ポイントを忘れている。それは「橋下なくし維新なし」の現実だ。
 

政党支持率も比例での投票先も失速状態にある。最新の世論調査でも尖閣をめぐる国難を機に有権者の政治を見る“真剣度”が変わった。朝日の調査は政党支持率が自民21%に対して維新2%。比例区投票先も自民30%で維新4%。維新は責任政党とみなされていないのだ。



橋下は「まだまだ下がっていくだろう。実像にだんだん近づいてきているのではないか」と評論家のようなことを言っているが、立候補の300人に最低でも5千万円はかかる選挙費用を負担させて、1990年のオウムと同じで供託金没収ではいかんともしがたい。


朝日川柳には「こんなので選挙に臨む良い度胸」とあるが、真夏の恋は秋風が吹いて冷静になると破れるものなのだ。松浪が見限った自民党復調の流れに焦ってジタバタしているのも無理はない。


★筆者より:明日は秋休みで休筆です。
   <今朝のニュース解説から抜粋>  政治評論家
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