2012年10月10日

◆機械の黴菌(ウィルス)

渡部 亮次郎


コンピューターのウイルスのことである。私の送った付属文書にウイルスの付いている危険性があるとニフティから警告してきた、と忠告を受けた。これまで何度もウイルスの被害に遭い、被害を及ぼした。

そこでウイルスバスターを取り付けて、しょっちゅう「防御」と「退治」に努めてきた。それなのに、ああそれなのに。酔っていた勢いもあって、言ってはならない言葉で反発したら、ひどくこちらが恐縮する破目になった。極めて反省している。

結果は、「付属文書のタイトルが長すぎるため」、と岩手県立大学の学生さんの調べで分かった。そういえば相手はかなり以前から「あなたのファイルにはウイルスが棲みついているようだ」と言って来ていた。

ほったらかしていたが、今回、機械も我慢ならず警告を発したのかもしれない。こんな始末だから、パソコン1年生はまだまだ、騒動と波紋を広げながら迷惑を撒き散らして行くことだろう。悪しからずお許しください。失敗は成功の基といいますからね。

パソコンを本格的に始めたのは、66歳になった10年前の1月からである。何年も前に東京の秋葉原(本来はあきばはら、と読んだもの)で買ったが、ほったらかしてあった。いまさら頭を馴らすのは厭だった。

若い人たちの使う用語の意味がさっぱりわからない。いちいち聞いてみると訳が違っているとしか思えない言葉ばかりであった。早い話が「投げた」。

こんなことはゴルフでもそうだったし、テニスでもそうだった。ここでは用語ではなくプライド。なにを今更、腰を低くして若い者に教わりたくない。それだから、ちっとも上達しないからますます厭になって「投げた」。

だが、パソコンは家人がどんどん上手くなっているらしく、外国に住んでいる友人と「メイル」とやらで簡単に瞬時に、いうなれば「手紙」をやり取りしている。

年賀状や暑中見舞いも色つきのものをいろいろ作っている。そのうちに「無職」になった私の名刺まで作ってくれた。これは便利だ。それで終わると思っていたら、根が野次馬だから、ポツリポツリと自分で敲きだした。やってみると、若いころテレタイプで原稿を打っていた時の記憶が蘇ったらしく、メイルを打つのはよっぽど早い。

たまたま数年前、アメリカのシリコンヴァレーでノート型パソコンを開発していたという人と知り合って技術的なことをスローペースで教わることが出来た。スローペースが良かった。そこでパソコンを買い替え、本格的に取り組むことになった。

メイルをやりだして遭遇したのが、ウイルスである。ある時、なんだか助平そうなタイトルのメイルが入っていたので開けたら騒動であった。それ以来、シリコンヴァレー先生の指導で、ウイルスバスターを取り付けたりした。

また東京理科大の学生の出張指導(有料)が有ったりして、新聞、雑誌、ホームページ″などへの寄稿のほとんどはメイルで届けることが出来るようになった。

また、私は様々な人から一般的でない情報をたくさん戴くようにもなって原稿書きに役立てている。

こうして、私のパソコン生活は遅まきながら、遅々とではあるが、進行している。郵送しかない原稿でもマス目に活字で打って渡せるようになったから、誠に好都合である。

高校の同期生の東京での集まりには毎年50〜60人が集まるが、パソコンをやっているのは2割ぐらいだ。そのほかの周りを見ても70歳台前半までの先輩が限界。私の兄なぞはFAXすらやっと買ったぐらい。パソコンはつけないで終わるだろう、といったら今年7月に死んだ。

ところで、パソコンという文明の利器を使うようになって、つくづく実感することが「必要は発明の母」ではなく「失敗は成功の基」である。操作方法をいくら記憶しようとしたり、ノートに書き取っても、すぐ忘れるが、失敗すればそのことだけは必ず覚える。

子供の時から、どうしたら失敗せずに成就することが出来るかばかりを考えてきた人は、いつの間にか失敗を恐れるようになってはいまいか。入試教育も失敗を如何にしたらしないで済むかに的を絞っているようだ。

もっとも入試なんてなものは、一回通過すれば良いだけのものだろうから、それで良いのかもしれない。しかし、学んだことが知識として「身」に付き方は少ないだろう。仮に身に付いたとしても知識は多いが知恵は少ない子供のような大人になる。問題のキャリア官僚にはこのてが多い。

そこへ行くと失敗したことは、とても辛い記憶になって残るから、変な話、強烈に記憶する。だから、私の仕えた外務大臣・園田直(すなお)氏は外務省の若いキャリアに「失敗を恐れるな」としつこく言っていたが、キャリアたちは馬耳東風(聞き留めず)だった。

そのことを今になって私もようやく理解できた。だからこの原稿のタイトルは「失敗しなけりゃ成功しない」にしようと思ったが、またウイルスと間違われたら困るので簡単にした。

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