杉浦 正章
<仮病ならみんな安心とりあえず>というわけで、何とかこの場は切り抜けたが国民の目は節穴ではない。あの民放のコメンテーターまでが「うそ」と見破るようでは形無しだ。法相辞任劇はうその上にうそを塗り固めたものだ。
野田がまず大うそをついた。「引き続き加療が必要なためだ」とすべてを病気のせいにした。これが第一のうそ。第二のうそは「非常に残念なことだ」と思ってもいないことを口走ったこと。辞めてくれて有り難いのが本音だ。
そもそも改造は、朝日川柳で<こんなので選挙に臨むいい度胸>と言われた通りの結果なのだ。第三のうそは官房長官。藤村は「体調不良で辞めることは、いかんともしがたい」とやはりぬけぬけと病気のせいにした。
第四の口走ってはいけない大うそは「首相の任命責任にはつながらない」だ。このうそにはコメンテーター様たちも怒った。「私は弁護士だけど」と前置きして怒った。弁護士でなくても怒っていいのだが、やはりここは「弁護士」と言いたかったのだろう。政治ニュースも馬鹿げた大臣のクビばかり追い回していて、<大臣のクビが政治じゃあるまいに>と嘆かれる始末だ。
そしてそうだったのかとはたと手を打つ。<近いうち閣僚辞任のことでした>となる。自民党は谷垣以下、野田の誠実そうな人柄にだまされたことになる。「近いうち解散」発言から2か月半がたってもまだ「近いうち」にならない。まさに<ドダヌキが化けたドジョウは手に負えぬ>だ。
おりから民主党内は“解散恐怖症”が蔓延していて<「か」の字聞くだけで震える民主党>の状態。まるで解散ノイローゼだ。野田にも伝染して「か」の字はタブーだ。首相周辺では「かりんとう」と言ってももいけないのだ。「かんてい」と言っても怒られるのだ。
しかし<先延ばししてもお先は真っ暗だ>では、「かんねん」するしかないことが恐怖症の面々には分からない。「おじゃる」「おじゃる」と屋敷を野武士に囲まれた公家集団のように右往左往だ。
人心を少しでも官邸に集めようと三流政権はあらゆる事象を利用する。五輪と合わせて世界大会13連覇を達成したレスリング女子の吉田沙保里はもちろん国民栄誉賞を受けて当然だが、野田がやると“臭い”のだ。朝日に<贈るほうにはおおよそ遠い栄誉賞>と言われてしまうのだ。
男女の仲で女性が言う「あなたを信じた私が馬鹿だったのね」は常套句だが、これでは有権者も<誠実なドジョウと思い込んだ馬鹿>ということになる。国民は、朝日のように<泥濘(ぬかるみ)や死ぬまで泥鰌(どじょう)飼うことに>となってしまうのだろうか。
たしかにどじょうはのらりくらりとしぶとく生きる。<支持率がマイナスになりやっと辞め>くらいに思っておいた方がよいかも知れない。しかし正義は最後には勝つのだ。人をだます人にはきっと天罰が下るのだ。<落城へうそ塗り固め壁もたぬ>となるに違いない。黒サギ城はうその塗り壁から崩壊するのだ。
ところで自民党もだらしがない。<老舗では古看板の塵(ちり)はらう>と、もう政権取ったつもりでいても、野田政権を追い込めるかというとなかなか決め手がない。「うそつきはほとんど病気民主党」などと副総裁・高村正彦が“遠吠え”しているが、手に負えないのだ。審議拒否のラッパを高らかに鳴らしていたかと思えば、これも世論の反発で<振り上げた拳のままで出る審議>となってしまうのだ。
永田町はやはり<恥知らぬ人多く住む町があり>か。
<今朝のニュース解説から抜粋> (政治評論家)