2006年12月23日

◆世界に冠たる調味料



           渡部亮次郎

それが醤油だと思うのだ。初めてアメリカに渡り、固いステーキを供され
た時、こうした食塩でなく、あの醤油があったなら、どんなに美味しかろうと思った。その直後、キッコーマンがアメリカに進出して現地生産を始めたから、私の勘は当ったのだ。

<すぐれた植物性調味料としての醤油は、欧米型食生活の見直しなども
あり、海外においても普及、ソイ・ソースとしてしたしまれている。>

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健康食として日本食が世界各地で好まれるようになってから、醤油を世
界各地で手にいれることが出来るようになった。醤油は現在100カ国以上
の国に輸出されており、生産は年14万キロリットルにも達する。大手メー
カーでは現地生産も行われている。

紀元前8世紀頃の「周礼」で、「醤」という漢字が初めて使われた。ただ
しこの時代は、食品を麹と食塩で醗酵させたものがすべて醤と呼ばれて
おり、大豆を原料としたものが特別な名で呼ばれることはあまりなかっ
た。

500年頃の中国の『斉民要術』に、現代の日本の醤油に似た醤の製造法が
記述されている。

日本では701年の「大宝律令」に、醤を扱う「主醤」という官職名があり、
この時代は既に日本に醤があったとされる。

923年公布の「延喜式」には醤製造に関する言及があり、この時代、京都
には醤を製造・販売する者がいたことが分かっている。

伝承によれば、13世紀頃、南宋鎮江(現中国江蘇省鎮江市)の金山寺で
作っていた、刻んだ野菜を味噌につけ込む金山寺味噌の製法を、紀州
(和歌山県)の湯浅興国寺の開祖法燈円明國師(ほうとうえんめいこく
し)が伝え、湯浅周辺にも金山寺味噌作りが広まった。

この味噌の溜(たまり)を調味料として使うとおいしいことを発見した
ことから、液体の醤油作りが始まった。この「たまり」が、現代につな
がるたまり醤油の原型とされている。

これに関しては伝承のみで、当時の文献や証拠品による裏付けがないが、
ある程度以上には真実を含んだ伝承だと考えられている。

しょうゆという語は15世紀ごろから用例が現れる。1470年頃の「文明本
節用集」に、漿醤に「シヤウユ」とルビが記載してある。

1597年、「易林本節用集」という辞書で、はじめて「醤油」という語が
使われた。(ただし、『鹿苑日録』1536年の日付の記述の中に既に漿醤
という語が、山科時継の日記『言継卿記』の1559年の記述に「シヤウユ
ウ」という語が、『多聞院日記』1568年10月25日の記述に「醤油」
という語が既に使われているという指摘もある)。

日本国外への輸出は1647年にオランダ東インド会社によって開始された。
伝承によればルイ14世の宮廷料理でも使われたという。フランスでの日
本産醤油に関する記述は、『百科全書』(1765年)に現れる。

江戸時代初期までは、日本の醤油の主流はたまり醤油であった。しかし、
たまり醤油は製造開始から出荷まで3年かかり、生産量が需要に追いつ
かなかった。

人口が増加し、食品の大消費地になっていた江戸近辺で、1640年代頃の寛永年間に、1年で製造できるこいくち醤油の生産が開始された。

うすくち醤油は、1666年、現在の兵庫県で、円尾孫右兵衛によって開発
されたとされる。

上記のとおり、中国で生産されていた醤、醤油の製法が日本に伝えられ、
日本での製造が始まったという説が有力ではあるが、弥生時代に食塩に
漬けておいた食品に天然酵母がとりついて醤に似た食品が生まれ、ここ
から醤油が中国とは別個に発明されたという説もある。

日本人の洋食化・核家族化が進むと共に和食が調理される機会が少しず
つ減少し、醤油の消費量も伸び悩み始めている。それと同時に日本人海
外渡航者数の増加や、海外における日本食のヘルシーイメージの浸透な
ど受け、醤油の輸出量が徐々に増加していった。

これに目をつけたキッコーマンがアメリカ合衆国に海外工場新設を決断。
その後も海外での醤油消費量は伸び続け、現在では色々なメーカーが海
外に拠点を設けている。

そのため、米国において醤油の一般名詞が「キッコーマン」となってい
る。

醤油の種類と特徴など

こいくち(濃口)

関東地方で発達した最も一般的な醤油で、醤油の生産高の約9割はこれを
占め、通常、単に「醤油」というとこれのことである。色々な料理の味
付けに使われる。食堂にある醤油は、まずこれと思ってよい。

原料の大豆と小麦の比率は半々程度である。生産地として、千葉県の野田市や銚子市、香川県の小豆島がある。

うすくち(淡口)

関西地方で多く使用される。こいくちに比べると、色や香りが薄いが、
塩分濃度はやや高い。食材の色や風味を生かしやすいため、汁物、煮物、
うどんつゆなどに好んで使われる。原料は、こいくちに比べて小麦の比
率が多い。

また、圧搾前に甘酒を加えることも大きな特徴である。一般に、こいく
ちよりも賞味期限が短いので注意。主産地は、兵庫県のたつの市(旧・
龍野市)である。

たまり(溜り)

風味、色ともに濃厚なものである。刺身につけたり、照焼きのタレなど
に向く。原料は大豆が中心で、小麦は使わないか使っても少量である。
中京地方や九州地方が主産地である。

さいしこみ(再仕込み)

風味、色ともに濃厚なものである。刺身、寿司などに向く。一度作った
こいくち醤油のもろみを絞り、その絞り汁に麹を加えて(再仕込み)し
て造る。甘露しょうゆと同義。

しろ(白)

色は薄く、醤油というよりナンプラーのような色である。味は塩分が強
く、少し甘みを含む。煮物に向く。原料は大豆が少なく、小麦が中心で
ある。一般に、こいくちよりも賞味期限が短いので注意。主産地は愛知
県である。

減塩しょうゆ・うす塩しょうゆ

塩分の割合を通常の醤油より減らしたもの。前者は高血圧や心臓病、腎
臓病などの人を対象に、厚生労働省の「特別用途食品」に指定され、減
塩しょうゆの塩分は9%で通常の醤油の半分。うす塩しょうゆの塩分は13%
で通常の醤油の8割程度。通常の醤油から塩分を除去して作る。

地方による好み

醤油は長い歴史の間でそれぞれの地域ごとに独自の風味を持った醤油を
開発してきたため、嗜好に地域性がある。例えば九州では、こいくちで
も関東のものに比べ甘みが多い。

また、刺身醤油に必ずさいしこみを使うことで「九州の醤油は甘口が好
まれる」と言われる。実際に、ごく一部の醤油に砂糖、甘草、ステビア
などの甘味料が添加されているものがある。

九州ではこいくちでも「うまくち」と呼称して区別する場合が多い。カ
ルビー製のポテトチップスにも甘口の醤油の味の「九州しょうゆ」味が
ある。

また、醤油の味によって、料理の基本となる出汁の味や色も変わるので、
醤油の違いが料理の地域性にも少なからぬ影響を与えている。

さらに料理人に至っては複数の地方色のある醤油を混ぜるなどし、独特
の味を作り出す者もいる。

おもなメーカー

ここでは日本を代表する醤油製造業者を上げる。ただし、地域性が強い
調味料であり、醤油の生産高上位とされている大手メーカーと呼ばれる
企業でも全国展開は決して容易ではない。

(ウィキペディアを参照)

大東亜戦争の末期には、醤油の原料たる大豆が確保できなくなったため、
私の郷里である秋田県では醤油が全く無くなった。豆腐も無くなった。
戦争になるとは、そういうことなのである。2006・12・22

 
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