2012年11月13日

◆小沢は「必死」で詰み、不死鳥はない

杉浦 正章

 

2審で無罪判決が出ても、国民の生活が第一代表の小沢一郎は将棋で言う「必死」の状況だ。王手と張られて、受けがなく必ず詰む状態なのだ。


これまで数々の修羅場をくぐり抜け、不死鳥のように返り咲いた小沢も、まさにナイヤガラの滝壺に向かって落ちようとしているとうとうたる解散の流れには抗しきれないのだ。首相・野田佳彦が年内解散に打って出るのは、小沢と幹事長・輿石東の連携による「怪しげな動き」も視野の片隅に入れて、巻き返しに出ている側面があるのだ。
 

政局が読めずにハムレットの悩みを続けて来た朝日が12日夕刊でようやく年内解散に踏み切った。今さら報じても、石を見て「これは石だ」というような記事だ。「心の中も明かさない」と解散への言及を避けてきた野田は12日の国会答弁で、心の中をさらけだした。読める人が深く読めば明らかにさらけだしているのだ。


「解散は責任を持って判断する」と発言、ネックになっていた「0増5減」と定数削減との関係について「削減を決着させないことで解散を先送りする考えを持っていない」と述べた。何よりも「消費増税法案が通らなかった場合、将来の国民に申し訳ない、今を生きる皆さんにあすの責任を果たすことができない。議員辞職するつもりだった」という発言は、自公の協力への感謝の言葉に置き換えられる。もう「年内解散する」と言ったのと同様だ。
 

この発言から逆算すれば11日夜の野田・輿石会談の内容がつぶさに分かってくる。野田は解散に反対する輿石をねじ伏せたのだ。もう離党者など出てもよいという考えだろう。国会答弁では「野田おろし」の動きに関連して「内閣不信任決議案が通った場合以外に総辞職があるのか。ちょっと想像がつかない」とも述べた。


一連の発言は、野田が不信任案が通っても総辞職でなく解散で対処する方針を鮮明にさせたものだ。もっともたとえ小沢から不信任案が提出されてても解散を先に断行してしまえば、未決となって成立は不可能だ。


森喜朗と小泉純一郎は不信任案が本会議上程後の趣旨説明前に解散を断行している。したがって永田町で小沢と輿石が狙っているといわれる「野田降ろし」の解散阻止戦略などは、首相の解散権の前にはまず成り立たないことになる。それでもなお輿石は、小沢との関係について「消費税問題では見解を異にしたが、仲間だったのだから一緒にやれる点もあると言った気持ちに変わりはない」と言明した。


裁判の結果について野党が一斉に「小沢氏は説明責任を果たすべきだ」と反応したのとは好対照に、輿石の小沢への忠誠心は不変だ。
 

輿石は12日も「景気対策や外交防衛を考えれば解散で政治空白をつくれるのか」と空しい“抵抗”を繰り返しているが、うつろに響くだけだ。3年半に渡る民主党政権に終止符を打つ解散こそが、政治空白を早期に回避する道であることに考えが及ばないのだ。日教組の視野狭窄(きょうさく)がそのまま露出しているのが輿石だ。


こうして小沢・輿石による一種のクーデターめいた動きは封じられる方向となったが、なお自民党幹事長・石破茂が小沢の動きについて「今後、内閣不信任決議案とか、野田首相に代えて新しい首相を選ぶとか、いろんなことが考えられる」と警戒心を漏らしているように油断は出来ない。
 

しかし冒頭述べたように小沢には「必死」がかかっている。今後いくらあがいても第3極の中核などに躍り出ることはない。日本維新の会もみんなの党も、今日「太陽の党」として発足する石原新党も小沢に対しては「総スカン」の状態だ。石原に到っては「小沢君とだけは絶対に組まない」と述べており、わずかに鈴木宗男の新党大地が接近する様子を見せている。しかし収賄罪、政治資金規正法違反、議院証言法違反(偽証罪)で有罪が確定して公民権を有しない鈴木とまだ刑事被告人の小沢では“説得力”がない。
 

総選挙では落選必至のチルドレンを中心に37人の党員を抱えて、政党交付金も間に合わない。2審の無罪判決と言っても、国会議員に甘い現行政治資金規正法の抜け穴をすり抜けたことは誰でも知っている。事務所では「紙は裏白の紙を使え」と指示するほど細かい小沢が、4億円が動いた収支報告書を「関心は天下国家。収支報告書は見たこともない」と発言しても、信ずるものはいまい。無罪だからといって選挙が勝つ状態など生ずるわけがない。


本人は「消費税反対と脱原発で勝てる」と意気軒昂だが、実態は空元気だろう。恐らく10人が当選するかどうかの状態だろう。よわいは70に達し、もうご隠居さんの年齢だ。「必死」の王手を逃れて不死鳥となるのは無理だ。14日の党首討論が面白い。


<今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)
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