2012年12月07日

◆自民圧勝で民主失政の3年に幕

杉浦 正章

 

安倍は維新との連立に向かうべきでない 。


ここまで来るとアナウンスメント効果はまずないだろう。「大失言」でもない限り自民、公明両党で300議席前後の議席を獲得して、第2次安倍晋三政権が樹立される方向だ。内政外交にわたり失政を続けた民主党政権による空白の3年間は幕を閉じる。


浮動票を狙った第3極は伸び悩み、詭道(きどう)を行く日本維新の会代表の石原慎太郎がキャスティング・ボートを握る事態には至らない。有権者は激動政治より景気回復を軸とした安定を求める選択をしようとしている。


安倍は参院のねじれ対策もあり、民主党との部分連合を考慮すべきだ。維新と連立して3分の2の多数を握り改憲へと動くなど政権不安定の道を選択してはならない。
 

アナウンス効果で1番顕著なのはある候補者が苦戦していると報道されると、激励票や同情票が集まるアンダードッグ効果(負け犬効果)だが、今回負け犬となる民主党に回復の余地があるかというとまずない。


少なくとも同情票をかき集めるには「当落線上」とか、「当選まであと一歩」と報道されることが不可欠だが、つぶさに個別の選挙区を見れば、民主党候補は自民党に挽回不能な状況までリードされているケースが多いのだ。


この状況が意味するものは、自民党への雪崩現象生じようとしていることであり、個人や組織等が優勢候補支持になだれ込むバンドワゴン効果(勝ち馬効果)が生じようとしているのだ。


まず最大の原因は民主党政権の“ていたらく”にある。簡単に言えば、出来もしないマニュフェストで有権者を欺き、想像を絶する無能政治で首相・鳩山由紀夫がつまずき、大震災と原発事故という未曾有の災害に、首相・菅直人が大失策を繰り返した。


最後の野田だけは信念の政治を貫き消費増税を達成したが、党を束ねるリーダーシップに欠け、分裂を招いた。有権者にしてみればこれでもかのダメ押しが相次いだことになる。「いくらなんでも人を馬鹿にするな」という鉄槌(つい)が民主党に下されようとしているのだ。もう民主党政権が復活することは予見しうる将来にわたりない。


この間隙を縫うように、既成政党批判で台頭したのが大阪のポピュリズムであり、最後にはこともあろうに小沢一郎支配の大衆迎合政党まで便乗して出現した。マスコミは新聞、テレビを問わずにこれら第3極をはやしにはやした。しかし民主党ポピュリズムでこりごりした国民は、大勢としてこれに乗ろうとはしていない。


日本維新の会の“風”は大阪を中心とする関西地域でのみ吹くという現象が生じており、全国的な広がりを見せない。


とりわけ橋下徹が極右国粋主義の石原と組んだのは失敗であった。外見の新鮮さがダメージを受け、マイナスに作用したのだ。50議席前後では今後勢いも出ない。参院選までには馬脚が完全に現れる先細りとなるだろう。


滋賀県知事・嘉田由紀子による未来の党も、こともあろうに小沢にオブラートをかけるという“背景”が見え見えとなって、ブームとはほど遠い結果となる。小沢チルドレンらの議員勢力61議席は6分の1に落ち込む。小沢の未来活用の奇策は完全に失敗に終わる。小沢だけが当選しても落城の後始末しか仕事はない。3極について野田が「ごった煮となって輝きを失った」と自分の党を棚に上げて形容している通りだ。
 

さらに何と言っても重要なのは、エネルギー政策だ。朝日、毎日両紙とTBSのみのもんたに代表される露骨な「原発ゼロ」への誘導キャンペーンが、完全なる失敗に終わった。


なぜなら、自民党は安倍や幹事長・石破茂が堂々と「原発再稼働」を表明し、「10年後の原発を含めたベストミックス」を公約した上での選挙に圧勝しようとしているからだ。民主党の野田のように亡国の“ゼロ”でもなければ、維新のような“ごまかし”でもない。また各電力会社の電気料金値上げの動きが、国民を次第に「ゼロ」のもつ「欺瞞性」に目覚めさせているのだ。


有権者も世論調査などでは響きの良い「ゼロ」になびくが、電気料金2倍、企業の海外移転と失業者増大という「亡国のツケ」を前にして、賢明なる選択をしようとしているわけだ。
 

こうして自公連立政権が3年3か月ぶりに復活する方向となったが、肝心の安倍が危なっかしい。自民党支持の国論を誤解または曲解する恐れがあるからだ。とりわけ外交・安保でドラスチックな方向を打ち出す危険性がある。


例えば尖閣問題で、石原の主張に乗って船だまりや、公務員を配置する方針を述べているが、これは中国での第2次暴動、第3次暴動に間違いなく直結する。領有権の問題は米上院による尖閣への日米安保条約適用決議で勝負があったのだ。これを無視して中国が米中直接対決に直結する軍事行動に出ることはあり得ない。したがって安倍政権は関係改善を最大の課題とすべきなのだ。



対韓関係も河野談話の見直しなどは、火に油を注ぐ効果しかもたらさない。急進的な言動は避け、第1次安倍内閣と同じように両国の新政権との融和に動くべきだ。


ましてや維新を利用して自らの政治的野望を達しようともくろんだ石原と結託して改憲に動くようなことをすれば、国論は分裂して収拾が付かなくなる。自らの政権の命を縮めることを良く理解しておくべきだ。


自民党は2度と失敗は許されないと心得るべきだ。ここは自公連立に加えて、民主党と政策ごとの部分連合を志向すべきだ。維新との連立で3分の2を確保して衆院での再議決などの奇策は長続きしない。ゆめゆめ考えるべきではない。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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