2012年12月10日

◆安倍は早期訪米で対中包囲網を築け

杉浦 正章
 


3年3か月ぶりの自民党政権で、総裁・安倍晋三が取り組むべき課題は山積している。太筆で書けば民主党政権によるトリッキーな政治から脱却し、即断即行の政治を回復する必要がある。外交・安保での急務は日米安保関係再構築による対中包囲網の確立だろう。


安倍は1月早々にも訪米して大統領オバマとの首脳会談で、この大戦略をまず実現すべきだ。内政では景気の回復だ。市場は「安倍首相」の登場で株価1万円台乗せは確実視されており、いかに景気回復への期待が大きいかを物語っている。
 

とにかく民主党政権の再来を許さない有権者の判断は正しいと言わざるを得まい。自民党圧勝の流れはよほどの失言が無い限り動かないものと見られる。ただし安倍がこの有権者の支持を誤解または曲解してはならない。極右国粋主義の石原慎太郎が馬脚を現して、維新の支持を喪失させているのを見れば分かる。


国民は極端な右傾化を求めているわけではない。極右路線を取れば民主党政権への支持を首相・鳩山由紀夫が誤解して、内政外交で愚かなる失政を繰り返したことと同じ結果を招くことを指摘しておく。
 

安倍の選挙中の発言からすべきこと、してはならないことを指摘する。まずしてもよいことは「集団的自衛権」の行使を可能とすることだ。簡単に言えば尖閣防衛で出動した米艦を中国戦闘機が急襲した場合に、今までの憲法解釈では自衛隊が戦闘行動を起こして米艦を支援することは出来ない。


その事実を目の当たりにすれば米紙は「ジャップが傍観」と報じて、日米安保関係はサドンデスとなる。内閣法制局の憲法解釈を改めさせて解釈改憲で安倍は対処すべきであろう。法制局などはしょせん三百代言であり政権の言うことは何でも聞く。
 

オバマとはこうした問題を率直に語り合い、民主党政権が崩壊させた日米安保関係を正常な路線に乗せるべきだ。おりから米上院も尖閣への安保条約適用を議決しており、絶好のチャンスでもある。東南アジア諸国、インド、オーストラリアも含めた“緩やかなる”対中包囲網の確立は、遅れてきた帝国主義のごとくに膨張路線を取る中国政府への強いけん制になる。


まずこの大戦略を打ち立てるべきであろう。しかしするべきことはそこまでだ。包囲網の確立により、当面の勝負は付くのであり、中国は尖閣に手を出そうにも出せない状況となる。また改憲が必要な「国防軍」も、将来の自衛隊の在り方を唱えるだけで良い。間違っても石原維新との連立で実現しようなどということを考えてはならない。
 

その上で、対中融和に動くのだが、安倍の公約を見れば石原の進言を受けたかのごとくに「尖閣に船だまりを作る」「公務員を常駐させる」とドラスティックな発言に傾斜している。


徹底した反日愛国の“江沢民教育”を受けて育った世代を、またまた習近平新政権が“活用”して暴動を起こさせる口実を与えることになる。


習近平はこれによって国内で確固とした基盤を固めることが可能となる。自民党が圧勝したからといって、国民は第2、第3の暴動による日本企業攻撃を望んでいるわけではない。大勢は友好なる近隣関係の再構築にある。
 

したがって靖国参拝も同様である。安倍は「前回の首相在任中参拝できなかったことは痛恨の極みだ。国民のために命をかけた英霊に尊崇の念を評することに外国からクレームをつけられることはない」と、就任すればすぐに参拝しかねない姿勢だ。


しかし世代は変わった。首相の靖国参拝に感動する世代はもう翁(おきな)媼(おうな)の世代だ。首相が靖国参拝をあえて国益を代弁する最大の位置に格上げする必要など無いのだ。なぜ第1次安倍政権で参拝しなかったことを「痛恨の極み」などと言う必要があるのか。外交的配慮を優先した正しい判断であったではないか。
 

経済では消費税法案が実現したばかりなのに、早くも「景気条項」の論議が活発化している。安倍が「デフレがどんどん進行する中で消費税は上げない」と語れば、首相・野田佳彦が「選挙の前でおびえているのか」とやりかえす。


しかし景気条項は11年度〜20年度の平均で「名目3%程度、(物価変動を除いた)実質2%程度」という国内総生産(GDP)の成長率を目指すための取り組みを求めているのであり、安倍の言うように来年4月から6月の景気動向を条件にしているわけではない。


おまけに2%のインフレターゲットが4〜6月で実現することなど不可能だ。よほどのデフレ状態に陥らない限り消費増税は実行に移すべきだ。
 

ただし、安倍の主張するインフレターゲットでデフレを脱却するという方向は、重要なるオプションだ。世界的な金融緩和、通貨安競争の中で、民主党政権と日銀はなすすべもなく推移した。リーマンショックから世界が立ち直っているのに、日本だけ置き去り状態だ。日銀のデフレ維持政策はもう限界に来ているのだ。


政権はダイナミックなデフレ脱却への動きを示すべき時だ。株式市場が「安倍政権」をはやすのは、なすすべのなかった民主党政権への反動でもある。「安倍相場」は9500円台に乗っており、自民党圧勝は株価を1万円突破に導くだろう。第1次安倍政権時代の株価は平均1万8千円と言う“実績”もある。


できればどっちみち来年4月で任期が来る日銀総裁・白川方明の早期自発的な退職を求め、後任人事に着手すべきであろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 
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