2007年01月04日

◆カネを喰うのは有権者


渡部亮次郎

<実体のない事務所の経費を政治資金収支報告書に記載する虚偽報告を
していた佐田玄一郎行政改革担当相が辞任を表明した。

国の無駄遣いをチェックする行革担当相の政治団体がその会計処理で巨
額の架空支出を計上していたのである。言語道断であり、辞任するのは
当然だ。

安倍政権にとっては、本間正明氏が政府税調会長を辞任したばかりであ
り、政権発足後、3カ月で閣僚が辞任表明したことは手痛い打撃である。
>産経新聞{主張}(2006/12/28 05:10)

産経の主張は最後に

<安倍首相は自民党幹事長時代、人事評価委員会の設置などの党改革案
をまとめた。だが、一部を除き、実現されていない。ここは自民党的体
質にメスを入れる党改革を断行する好機だ。>

と結んでいるが、こんな他人事(ひとごと)でいいのだろうか。



なんと言っても政治に金のかかり過ぎが原因である。知らぬ人は何にそ
んなにかかるのか、理解に苦しむと言う。私も若い政治記者の時はそう
思ったこともあった。しかし大臣秘書官になって内懐を見てはいじめて
得心が行った。有権者が悪いのである。

仕えた代議士がある省の大臣になった。秘書官に発令されたので従いて
言ったところで、秘書官室長に、来客のお茶代として月20万円を拠出し
てくださいと言い渡された。

議員会館と個人事務所にも陳情客が来る。何十人と言う人がやってくる。
1杯の御茶と言うがそれだけでも月に何十万円とかかる。昼時になれば蕎
麦なり丼物を出さないとけちだと言われる。月にすれば何百万円である。
それを国会議員の歳費で賄う事は不可能だ。

案外知らないのは日々開かれる議員同士の励ます会と称する資金パーテ
ィーへの義理立てである。大物と言われていれば会費2万とか3万円と言
われてそれしか包まないと言うわけには行かない。

その都度10万円を包んだとすれば、1日に50万や100万はは消えて行く。
そのカネを何処からどう工面してくるのか。談合なり不可解な事件に関
係せずには不可能なのである。捕まるまでの田中角栄氏のやり口がそれ
を実証している。

佐田氏の政治団体が平成2年の発足当初から、賃貸契約のない都内のビ
ルに事務所を置き、12年まで事務所費や光熱費の名目などで約780
0万円を支出したとする虚偽の政治資金収支報告書を国に提出していた
という。

推測だが、これで浮かしたカネは選挙対策費に秘密裏に使われた。実際
観ていると、如何なる大物国会議員といえども、解散、総選挙に当って
子分を名乗る県会議員、市区町村議員が只では動かない。

選挙違反事件が摘発されるたびに「○○議員に多額の現金を渡して投票
のとりまとめを依頼した」と言う決まり文句が出るが、真実は選挙を機
会に捉えて日ごろの活動資金を渡しているのである。

それは殆ど警察の目をくぐる。警察も大物のところには手を出さない。
新人や小者、無所属候補には目を皿にして内偵し、一番弱い(殆ど落選)
候補者を逮捕する。容疑はこれまた殆どが買収となる。いまどき飲み食
いで集票はできない時代になったからだ。

いかに民主主義だの勝手連だのといったところで活動資金は裏できっち
り取りに来るのが実態である。それをマスコミは知っていながらきれい
ごとしか書かないから、読まされたり聞かされたりする人はきれいごと
を論ずる。

カネをつくる政治家が悪いのではない。作らせるように使わせる有権者
が実は犯罪のタネを作っているのである。中には酷い陳情に来る有権者
もいる。司法試験の裏口を紹介しろとか、医師の国家試験を裏で合格さ
せろ、伝統ある私立高校の落第を取り消せとか。

有権者様だからできないとはいえない。何とか頑張ってみますと言うし
かない。こんなことまで相手にしなければ落選するのが国会議員だとい
うのなら私は辞めた、辞めたと降りてしまった。悔いはない。

マスコミはこうした実態を見ようともしない。冒頭の産経論説のように
言語道断だとか手痛い打撃だとか、一応、理屈の立つ論を並べはするが、
ことの本質をわかっていなから空念仏に過ぎない。政治の実際を分って
いないから記者を廃業し論説委員にさせられたのではないかと疑ってし
まう。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック