2013年01月22日

◆公明は集団的自衛権行使で孤立

杉浦 正章


容認への転換をすべきときだ 
 

2月の首相・安倍晋三の訪米を控えて、自公連立政権を危うくさせかねないのが集団的自衛権の行使をめぐる問題だ。安倍の積極容認姿勢に対して公明党は難色を示し続けている。このまま安倍がオバマとの会談で行使容認に踏み切れば、メンツ丸つぶれの公明党は連立離脱となりかねない。


ここは事前の調整が不可欠な場面である。公明党も政権右傾化の歯止め役を以て任ずるのもいいが、緊迫する極東情勢下において反対一点張りでは国内的にも孤立する。方向転換すべきだ。
 


公明党のお家芸である平和主義も時と場合による。中国による尖閣諸島周辺の領海、領空侵犯が繰り返され、北朝鮮のミサイルは北米大陸にまで到達可能となった。事態は緊迫の度を加え、いつ領土侵攻などの「周辺事態」が発生してもおかしくない状況にあると言っても過言ではない。



米軍への攻撃に自衛隊の反撃を可能とする集団的自衛権の行使は切迫したものとなっているのだ。最近、中国軍の戦闘機が米海軍のP3C哨戒機と空軍のC130輸送機を執拗(しつよう)に追尾しており、米空軍は、東シナ海上空に空中警戒管制機(AWACS)を投入した。端的にいえばそのAWACSに中国機が攻撃を仕掛けたような場合、自衛隊機はこれを守ることが出来ない。
 


そんな事態となれば、尖閣に安保条約を適用するという米国の同盟重視の姿勢が根底から揺らぎかねない。集団的自衛権の問題など知らないノーテンキな米国の特派員が「ジャップが米軍を見捨てた」と報ずれば、それだけで日米同盟は破たんの危機に瀕するのだ。



公明党は日米安保条約支持を前提にして自民党と政権公約を結んでいるのであり、集団的自衛権行使に反対するのはまずこの基本姿勢と矛盾する。
 


加えて総選挙の結果集団的自衛権の容認に反対する国会勢力は圧倒的に少数派となった。これを現す興味深いデータがある。毎日新聞の当選者に対するアンケート調査だ。



3年前の総選挙直後には容認していない政府見解を「見直す必要がない」が50%を占めていたものが、今回の選挙後には何と当選者の78%が集団的自衛権の行使を容認したのだ。内訳は自民党が98%、維新が100%、みんなが83%。逆に公明は87%が反対。民主党は39%が賛成、反対は45%。


要するに社会党対策で72年に佐藤内閣が決めた政府見解は全く時代遅れとなったことを与野党の大勢が認めているのある。この数字が物語るものは、安倍が決断すれば難なく集団的自衛権に関する政府解釈を「ノー」から「ゴー」へと変更できることになる。



自民党は既に「国家安全保障基本法」を決定しており、提出すれば自民と維新だけで348議席あるから、公明抜きでも成立可能だ。参院で可決されなければ衆院に戻して3分の2の多数で成立できる。また法案によらず従来の内閣法制局の解釈を変更するだけでも可能となる。
 


したがって公明党は国会では孤立していることになる。公明党は平和主義政党に徹するあまり、時としてかつての社会党の非武装中立と同様に時代にマッチしない方針に固執するケースがある。創価学会婦人部など国の安全保障安保など天から降ってくると思っている連中に配慮しているのだろうが、共産、社民両党と同じではまさに時代錯誤路線だ。



それでいながら同党は基本的には“政権の蜜の味大好き政党”なのだ。消費税では迷っていたが昨年夏には自民、民主の税と社会保障一体改革に同調して臆面もなく方向転換した。「自公政権」が目の当たりにきたと感じた結果であろう。
 


こうした孤立化傾向を反映してか代表・山口那津男の発言も微妙に変化してきている。選挙期間中は集団的自衛権について「国民も懸念を持つし、外国にも心配を与える。限界が来るかもしれない」と連立離脱の可能性にまで言及していた。



しかし、最近では「 集団的自衛権の行使を認めるということは、日本領空、領海の外で、武力行使を認めるということになっていく。それに歯止めがなくなるということについての十分な議論が必要だ。にわかに変えるべきではないと思っているが、幅広い検討が必要だ」と条件闘争ともとれる発言になってきている。



歯止めがあればよいという風に受け取れるのだ。憲法解釈の中にはいわゆる「周辺事態」において共同行動している米艦、航空機防護には行使が容認されるというものもある。山口発言を分析すれば周辺事態に限定すれば可能となるという“隘路”が感じられるのである。
 


だいいち公明党は第1次安倍政権における有識者会議での集団的自衛権行使の検討を黙認している。安倍は元駐米大使・柳井俊二を座長とする同会議の答申(1)公海上で自衛隊艦船と並走する米艦船が攻撃された場合の反撃(2)米国を狙った弾道ミサイルに対する日本のミサイル防衛(MD)システムでの迎撃―など4類型をさらに煮詰め、2月のオバマとの会談で前向き対処を表明することになろう。



しかし公明党との協議なしでの、方針表明は連立の基盤を危うくする。国会審議も政権内で別々の見解が表明されては持たない。早急に公明党を説得すべき時であろう。公明党も国連憲章も認める世界の常識である。容認する方向に転換すべき時だ。

         <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)
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