2013年01月27日

◆作詞家の罪の数々

渡部 亮次郎

楡(にれ)の木に鳥が鳴く アルプスの牧場よ と灰田勝彦が良く歌っていたが、楡の木を見たことが無かった。高校の先輩、東海林太郎も「楡の花咲く時計台」と言う歌を歌っている。よほど詩心を揺すられる木なのだろうか。

私の生まれた環境は四方が水田ばかり。写生する風景がどこにも無かった。ところが老年になって東京湾岸、江東区に住むようになって、都立猿江恩賜公園で楡の木を見つけた。なんとも穢い樹皮をまとった木では無いか。

公園事務所がわざわざ「にれ」と言う札を付けてくれなければ見向きもしなかっただろう。とにかく、樹皮は黒くひび割れて、ばらばらと今にも剥げ落ちてきそうである。

にれ(楡)はニレ科ニレ属の落葉樹と半落葉樹の総称である。シベリアからインドネシア、メキシコ、日本まで北半球の広範囲で見られる。にれの実は丸い翼果である。にれの全ての種は土壌pHに耐性がある。

にれには20から45の種類がある。数の曖昧さは種の範囲設定についての困難さに起因する。にれの木材は木目が絡み合っていて、結果的に分割に抵抗がある。主に車輪、椅子のシート、棺に使われる。この木材は腐食にも強い。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

昭和38(1963)年に大ヒットした歌謡曲に西田佐知子の「エリカの花散るとき」と言う実に詩情溢れる歌がある。

エリカという響きはなんとなくロマンティックだが、実物を見ると、わたしなら見て詩を書くような気にはならない。詩人は現物よりも名前の響きに詩心を寄せるものらしい。

「青い海を見つめて 伊豆の山かげに エリカの花は咲くという 別れた人のふるさとを 尋ねてひとり 旅をゆく エリカ エリカの花の咲く村に 行けばもいちど 逢えるかと」。ベテラン水木かおるが謳いあげた。

エリカ Erica ヨーロッパからアフリカに分布するツツジ科エリカ属の常緑低木群(→ 低木)の総称。

荒地や岩場に生える(→ ヒース)。高さは15cmくらいから3mまでさまざま。葉はふつう3〜6枚で輪生し、線形で厚く、裏面に深い溝が1本はいっている。花は総状または散形花序(→ 花序)につき、花の色には白、ピンク、赤などがある。

日本では南アフリカ原産のジャノメエリカが切り花、鉢植え用としてよく栽培される。喫煙用のブライヤー・パイプは地中海沿岸から西南アジアに分布するエイジュの根からつくられる。

ギョリュウモドキはエリカ属ではないが、花がエリカに似ているので、園芸上、エリカとみなされることもある。

「空の雲に聞きたい 海のかもめにも エリカの花の 咲くところ 逢えなくなって なおさらに はげしく燃える 恋ごころ エリカ エリカの花が散る時は 恋にわたしが 死ぬ時よ」

確かにエリカには「孤独」と「寂寞」という花言葉がある。詩人はそれを知って歌をつくった。西田佐知子の代表作として残っている。作詞家とは何も無いところから恋の歌もつくる。罪なことをなさる。

反対に川内康範氏のような「生命を賭けて」作詞する人もいる。大島紬を着た女性が出てくる、文章にすればわずか5、6行の場面を書くために、八丈島の泥染めをしている老婆に会ってきたことがある。それだけ作品に対して真摯に取り組んでいることを示す著名なエピソードである。

だから「おふくろさん」に関して起きた森進一氏とのトラブルの行方は森氏が考えるような簡単なものではない。私も何度か会って、その激しさを知っている。その理由を2007年3月15日発売(東京)の「週刊新潮」が詳しく書いている。

参考. (C) 1993-2005 Microsoft Corporation. All rights reserved.
2007.03.03

「愛染(あいぜん)かつら」。昭和13(1938)年に公開された松竹映画。明治天皇の落胤と伝えられた作家川口松太郎の原作。当時、物凄くヒットした映画であり、主題歌「旅の夜風」も大ヒットした。

当時2歳だった私はそんな事は知らない。愛染桂という木があるのかと捜したがなかった。桂といえば、昔赴任した秋田県大館市の昔の城は桂城。桂とは何となくロマンティックだが、猿江公園で確認した桂は穢い肌の木に過ぎなかった。

カツラ(桂) 山地の渓流沿いに生え、新緑と黄葉がうつくしいカツラ科の落葉高木。北海道から九州までと、中国、朝鮮半島に分布。日本各地の庭や公園などにも植えられている。高さ20〜30m。

樹皮は縦に割れ目があり、はがれやすい。葉は対生し、丸みのある広卵形で、基部はへこむ。雌雄異株。4月ごろ、葉に先だって雄花と雌花が短枝に多数ひらく。

花には萼(がく)も花冠もないが、雄花の多数の葯が赤紫色でうつくしい。果実は円柱形の袋果でややそりかえる。黒紫色に熟すとわれて、先端に種子をだす。

カツラ材は香りがよく、緻密で耐久力があるので、建築、家具、船舶、楽器、彫刻、鉛筆などにつかわれる。

近縁種に葉がカツラより大きいヒロハカツラがあり、中部地方以北に分布する。

桂という漢字は、元来ニッケイやモクセイ(木犀)など香りが高い木にあてられるものであった。景勝地として知られる中国の桂林などはキンモクセイにちなむとされる。また中国では、月に生えると想像された木にもこの字があてられた。

文句をつければ只の栃の木をわざわざフランス語で「マロニエ」と言って、上等のように見せるのにも腹が立つが、いい加減に止めておこう。


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