2013年02月18日

◆「独裁」は最悪のレッテル

平井 修一


産経新聞の黒田勝弘・ソウル駐在特別記者が「『極右言論人』は忙しい」と書いている(203年2月11日)。

それによると政治的な右側勢力のレッテルは、保守→右派→右翼→極右だろうという。それなら左側勢力は、福祉左派→容共左派→反日左翼→極左ではないかと小生は思う。

それぞれの違いがはっきりしているわけではない。右の色、左の色というのはあるだろうが、粘土のようにまぜこぜになっていることもあるし、空気次第でカメレオンのように色を変えることもあるだろう。

米国では右側が共和党で個人の自主独立を重んじ小さな政府を、左側は社会福祉・所得の再分配を重んじ大きな政府を標榜するようだが、国民は時と場合によって支持政党を選んでいたりする。はっきりしているわけではない。

日本も右側は概ね自民党、左側はこの前までは民主党だったが、左側は今では大体が弱小諸派に分裂しているようである。これまた支持政党がはっきりしているわけではなく、無党派層に左右されることが多い。

右にせよ左にせよ、世界的に見て自由、民主、人権、法治を価値観とする国では基本的に穏健であり、日本でもそうではあるが、極右と極左は暴力・武力を含めた非合法的手段や戦争・戦闘を厭わない。「正義のためには何でも許される」と思っている。強圧的な独裁政治もその一つだ。

多民族、多部族、多宗教など価値観が多様な人々を国家としてまとめ上げるためには独裁政治が便利である。独裁者は圧倒的な武力を背景に、文句を言う者や反対する者は強制収容所に監禁するか殺せばいい。政治的なレッテルで「独裁」は最悪である。


ちょっと資料は古いが、米外交専門誌「Foreign Policy」電子版(2010年版)に「独裁者ワーストランキング」というのがある。それによるとワースト10は――

1位 北朝鮮      金正日総書記
2位 ジンバブエ    ムガベ大統領
3位 ビルマ      タン・シュエ議長
4位 スーダン     バシル大統領
5位 トルクメニスタン ベルディムハメドフ大統領
6位 エリトリア    イサイアス・アフェウェルキ大統領
7位 ウズベキスタン  カリモフ大統領
8位 イラン      アフマディネジャド大統領
9位 エチオピア    メレス・ゼナウィ首相
10位 中国       胡錦濤国家主席

現在の状況を見ると、北朝鮮は2012年、金正日の三男である金正恩が最高指導者の地位を継承した。ジンバブエは引き続き経済が混乱している。ビルマ(ミャンマー)は民主化と国民和解、経済改革を推進中だ。

スーダンのバシル政権はイスラム原理主義政権であり、テロ支援国家の指定を受けて経済制裁が続いている。トルクメニスタンはベルディムハメドフ大統領政権の下で、教育分野の重視、衛星放送やインターネットの普及等の新しい政策が取られ、一部政治犯の恩赦も行われた。

エリトリアでは暫定政府が事実上の一党独裁制のもと統治を継続している。ウズベキスタンではカリモフ大統領支持勢力が議会を支配しているが、近年は豊富な天然ガス関連の投資を多く受け入れており、比較的好調な経済成長を遂げている。

イランの最高指導者はアリー・ハーメネイー。アフマディネジャド大統領は最高指導者の専権事項以外で、執行機関たる行政府の長である。核開発計画により国連安全保障理事会はイラン企業への制裁を決議しており、国際社会におけるイランの経済的孤立性は強まっている。

エチオピアではメレス・ゼナウィ前首相の急逝を承け、ハイレマリアム・デサレン首相が2012年8月に就任した。

中国では2012年11月の第18回党大会を以て胡錦濤・温家宝ら第4世代の指導者は引退し、11月15日に開催された第18期1中全会において習近平が党の最高職である総書記と軍の統帥権を握る党中央軍事委員会主席に選出された。

以上のような独裁国家が穏健な国に変わるのは容易ではないだろう。独裁というタガが外れたために、民主化運動「アラブの春」による混乱が落着く兆しも見られない。
           <「頂門の一針」から転載>
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