2013年04月08日

◆TPPと南北戦争

山堂コラム 465


米国がこれまで関わってきた戦争で最も死者の数が多かったのは南北戦争である。ベトナム戦争が6万人余。第1次世界大戦が12万。日独伊(枢軸国)相手に欧州から太平洋にまで戦線の拡がった第2次世界大戦でも41万人とされている。

これに対し、国内戦争に過ぎなかった南北戦争で死者数は63万人に上った。

南北別の内訳も南が26万人に対し、北の戦死者は36万人である。じゃが芋の疫病による飢饉でアイルランドから移民して新大陸に渡った若者たち。上陸した途端に北軍の兵士に徴発される場面。ウェストポイントにある陸軍士官学校の戦争博物館でみた。

黒人の戦死者も40%と割合が高い。奴隷解放が謳い文句の戦さだったからして意外ではない。

しかしその後の米国の対外戦争でも黒人の戦死者比率は大きい。もっとも其の度に黒人の地位は上がっていくがの。

米国でもきちんとした国籍や市民権、社会的地位を獲得するには星条旗への忠誠を血で購(あがな)わねばならぬこと――在日外国人の安易な帰化や杜撰な受け入れを何とも思わない現在の日本政府は知る必要がある。合衆国でオバマという黒人の大統領、突然出現したのではないのである。

その南北戦争――日本の社会科教科書では奴隷解放と「人民による、なんたらかんたら政治云々」所謂リンカーン・ゲティスバーグ演説を教えている。

しかしそれはこの戦争の美化された上っ面のこと。63万人もの戦死者を出した血みどろの国内戦争はそんな綺麗ごとではなかった。北の工業地帯と南の農業地帯の国家覇権をかけた戦い――。

産業革命を達成した欧州の安い製品流入を高関税で阻止して工業発展しようとする北。農産物、特に綿花を無関税で輸出するため北からの離脱も辞さない構えの南。

奴隷解放が絡んだことは確かだが、本質は独立直後だった合衆国。北にとっては新興財閥の権益伸張と国土の分裂・南の離反を阻止するのが目的の戦争だった。

北の勝利後150年を経た。日本国内でTPP(環太平洋パートナー協定)。加わるか否かをめぐり経団連・財界とJA・農業団体の対立。南北戦争のミニ版みたいなのが起きたが、選挙で自民党が圧勝し日本のゲティスバーグはうやむやに。たいした議論さえしないまま安倍内閣はTPP加入へ突入した。

大手メディアも手放しでこれに賛同。唯々諾々の提灯一色。協定の中身にまで踏み込んで問題点を指摘する記事は少ない。只管(ひたすら)「対中国包囲網に不可欠」と喚(わめ)くだけ。政府が「交渉内容は公表しない」と言うと「ヘイ、何も書かん」だ。

TPPの「対中国包囲網」という主張。もっともらしいが本当は少し違う。米国の南北戦争が奴隷解放だった、いや大東亜戦争がアジア諸国の植民地解放戦争だったと言うに似て、日本が勝手に思い込む正当化願望のお題目――協定発足時にそんなこと言う国はどこもなかった。

事実、この協定は決して軍事的・戦略的なものに非ず。米国が目論むのはずばり加盟相手国の規制緩和。

食糧、資源エネルギー、保険、医療、法律、金融、そうした米国既存の大資本。いわゆるハゲタカが外国でもその国の法律に縛られず自由に商売ができる。体よく言えば収奪できる。さらなるハゲタカの儲けが増える。そうしたシステム構築が最大の目的。TPPの本質。

小泉行革で米国のエイジェントではないかと見紛う活躍をした竹中某。またまた安倍内閣で復活し、蠢き始めているのを見れば言わずもがなのCIA。竹ちゃんマンならPTA(了)

<「頂門の一針」から転載>
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。