2013年04月16日

◆市長選惨敗で維新の賞味期限切れ露呈

杉浦 正章


“縮み現象”が鮮明になった

14日投開票された兵庫県伊丹・宝塚両市長選で、日本維新の会の惨敗に終わったことが物語るものは、同党の“縮み現象”である。


安倍政権が安定的支持を維持するのと反比例するかのように維新共同代表・橋下徹の人気が下降、選挙の重圧に耐えられなくなってきたのだ。


要するに浮ついた第3極なるものの出番がなくなりつつあるということだ。これは6月の都議選7月の参院選での不振に直結し、維新を軸とする政界再編は極めて困難になったことを意味する。
 

大阪府外の首長選で初めて公認候補を立て、橋下以下幹部をフルに投入したにもかかわらず、結果は惨敗である。参院選に向けて飛躍を目指した作戦が裏目に出たのだ。


神戸新聞幹部が昔筆者に「大阪とは人種が違う」と漏らしていたことを思い出すが、維新の進出への拒絶反応はこの“人種の違い”に根ざしているところが大きい。大阪の“こてこて”の現実主義に対して、神戸が知的・理性的傾向を持つのだ。


そこに維新が大阪都構想なる者を掲げて乱入、兵庫県知事・井戸敏三をして「領土拡大か」と言わしめるほどの反発を招いた。大阪空港廃港論も猛反発を食らった。こうした地域的な事情は、京都など周辺県にも拡大して行くことが予想される。


加えて問題なのは冒頭述べた維新が抱える“縮み”の流れだ。各種世論調査でも総選挙時より支持率は下降傾向をたどっており、ほぼ半減状態だ。加えて、昨年夏以来メディアが天才的救世主の到来とばかりに騒いだ橋下人気が、ぱたと消えた。まるで筋斗雲(きんとうん)と如意棒をいっぺんに失った孫悟空となったのだ。


なぜ失ったかといえば、ポピュリズムの元祖民主党に懲りた有権者が、やはり究極のポピュリストともいえる橋下を信用しなくなったのだ。もはや橋下1人の人気だけを頼りにして大阪以外の選挙で勝とうとする戦略が甘いのだ。


その傾向は既に総選挙に現れている。維新が小選挙区で圧勝したのは大阪にとどまり、それ以外の選挙区はわずかに旧太陽の党系の平沼赳夫と園田博之しか当選していない。維新54議席の内10議席が小選挙区、後の40議席が比例区当選だ。


この傾向を支持率低下の傾向とあわせ見れば、参院選での圧勝などは夢のまた夢ということになる。維新は「自公の過半数阻止」を旗印にしているが、凋落(ちょうらく)の民主と賞味期限切れの維新では、阻止は難しいだろう。


なぜ賞味期限が切れたかといえば、まず橋下のポピュリズム戦略が飽きられたということだろう。


どぎつい言葉で仮想敵をつくって、その場限りの論戦に勝つという、民放テレビののタレント評論家やコメンテーターのやり口を政治の場に持ち込んでも長続きしないのだ。有権者にはガバナビリティ(被統治能力)が民主党のおかげで育ち始めているのだ。


橋下の神通力喪失に加えて、維新の抱える構造的な問題もある。まず、国会議員団の立ち位置が曖昧模糊としていることだ。もともと自民党を出たものの同党保守派と主張の変わらない旧太陽系は、高齢化が進んで加齢臭ふんぷんの世代だ。革新の気風などどこにも感じられない。


議員団を束ねる共同代表・石原慎太郎は、朝日とのインタビューで「日本は強力な軍事国家になるべきだ。核武装を議論することもこれからの選択肢だ」とついに本音を吐いた。


「軍事国家で核武装」というのは、まさに「日本は北朝鮮になれ」と言っているのと同じだ。石原は維新綱領に現憲法を「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)めた」と書き込ませたが、改憲派も尻込みする“突出”ぶりだ。要するに石原は全く国民感情を掌握出来ていない政治家へと“成長”したのだ。
 

高齢で明らかに極端に走る傾向が一段と濃厚になっており、橋下ではこの“暴走老人”を止める力がない。


この石原を自民党副総裁・高村正彦が15日「『憲法破棄』と言ったら、未来永劫(えいごう)改正できない。私は彼を政治家と思っていない。政治家でない人が心情を吐露しているだけだ」と切った。訪中を前にした、下地作りだろうが言うことは全くもっともだ。
 

こうした大衆迎合型政党は、政権政党に大汚職や大失政がないかぎり居場所を見つけることが困難なのだ。あのロッキード事件で新党結成に成功した新自由クラブは、自民党政権の復調の結果10年で自民へと合流したが、維新の退潮はこれより数段速いテンポで進む感じがする。


学級崩壊が止まらない民主党の議員らも、“逃げ場”を維新に設定することはちゅうちょし始めるだろう。ましてや党を分裂させてまで合流する流れは頓挫だ。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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