2013年04月17日

◆区割り法案は再議決してでも先行処理

杉浦 正章

 

民主党の“扇動ポピュリズム”は見苦しい
 
落ち目の時はジタバタしない方がよいものを、民主党が区割り法案で自分の掘った穴に落ちてしまった。相次ぐ高裁違憲判決に勢いづいて、いったんは賛成して成立させた0増5減法の区割り法案に反対すれば、大向こううけするという誤判断をした結果だ。


ところが世論調査でも新聞の論調でも国民は区割り先行処理が圧倒的。民主党がこびを売るかのように提示した議員定数の大幅削減などは見向きもされない。この際自公両党はたとえ参院で法案が否決されてもちゅうちょなく、衆院で再議決してでも成立を図るべきだ。


衆議院議院運営委員会は、区割り法案の審議入りを巡って与野党が折り合わなかったため、16日夜、民主党などが欠席するなか採決を行い、与党側の賛成多数で、法案の特別委員会への付託を決めた。


19日にも衆院を通過させ26日の成立を目指す。参院で否決されても憲法の60日ルールによって6月26日までの今国会で衆院の3分の2以上による再議決が可能になる。


与党の狙いは今国会で成立を図らなければ最高裁でそれこそ無効判決がでかねないからであり、ぎりぎりの政策判断を迫られた結果だ。これに対して民主党などは早くも審議拒否をしようとしている。


それにしても今回ほど民主党の政治改革推進本部長・岡田克也の国民へのぎょろ目の秋波が気色の悪いことはない。いったん成立させた0増5減法案を反対に回った理由について岡田は、「高裁での判決が0増5減では不十分とした」ことを理由に挙げている。


しかし、これは高裁レベルのしかもエキセントリックな判決を根拠にしており、判決時のマスコミ報道にあきらかに惑わされた結果だ。0増5減批判まで踏み込んだ判決は16判決中3件のみであり、判決の方に無理があるのだ。


加えて岡田は「0増5減ではその後の人口移動で最高裁の指摘した2倍以内にならない」としているがこれは間違いだ。法律では人口変動の反映はあくまで国勢調査の結果に基づくとしており、住民基本台帳は参考にならない。


共産党委員長・志位和夫までが「住民基本台帳では、もう2倍を超えている選挙区が六つもある。0増5減はすでに破綻(はたん)している」と述べているが、共産党も少しは法律を勉強した方がいい。
 

岡田の狙いは一種の扇動ポピュリズムだ。判決を根拠に違憲を声高に主張することで、国民を扇動して参院選を有利に導こうという魂胆が透けて見える。


しかしこの民主党の手法は一度でも政権に就いた党とは思えないほど姑息(こそく)だ。そもそもの経緯を見れば最高裁の違憲判決以来2年間も問題を放置してきたのは民主党である。


少なくとも自民党は0増5減法案を国会提出して対応しようとしてきたが、民主党政権が解散を恐れるあまりに党利党略で引き延ばしをはかり、やっと昨年11月に成立に踏み切ったのだ。それをエキセントリック判決で鬼の首を取ったように反対に回るのは、いくら野党でも卑劣極まりない。
 

だいいち仮に民主党の80減案が今国会で成立しても区割りには1年かかる。秋には最高裁の判決が出るが0増5減すら実現しなかったら、それこそ最高裁まで無効判決を出しかねないのだ。こうした状況は国民の方が理解している。


読売の世論調査では、区割り法案を今国会で成立させるべきだとの回答が65%に上った。衆院の選挙制度の抜本改革案を有識者などによる第三者機関で検討すべきだとする人は75%に達した。民主党の相次ぐ大失政の結果国民の政治への関心はよい方向に転じて、実に政治への監視力が高まっている感が濃厚だ。


つまり新聞をよく読んでいるのだ。全国紙の論調も、とりあえず区割り法案を成立させて事態を一歩前進させ、政党の利害にかかわる抜本改革は選挙制度審議会に図るべきだとの点で全く一致している。
 

民主党はこうした国民の判断すら理解できないようでは、選挙大敗北の脳しんとうが悪化しているとしか思えない。


折から国会は13年度予算案が衆院を通過、焦点は区割り法案に絞られた。岡田は政権側から3分の2で再可決の声が出ていることについて「謝罪して撤回せよ」と声を荒げている。しかし棒を飲んだように審議拒否するなら、渋渋ながらも与党は再議決権を発揮せざるを得まい。


維新も朱に交われば赤くなるだ。悪い見本の民主党を真似て付和雷同すべきではない。与党が審議に徹した上で再議決に踏み切るのなら、今度ばかりは全くやむを得ないことだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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