2013年05月09日

◆ニュアンスの違う「改憲論」

川原 俊明(弁護士)


安倍政権のもとで、自民党支持率の堅調さを背景に改憲論議が意気盛んです。
改憲論者にも様々なニュアンスの違いが見られます。

● 一つの改憲論。
今の憲法は、日本が第二次大戦の敗戦後、占領下のアメリカによって押し付けられた憲法である。自主的な憲法ではない。だから新たに日本の意思に基づいて新たに制定すべきである。占領時の手続的な問題を指摘する感情派の主張です。

しかし、直前まで軍国主義一辺倒の日本が、敗戦と同時に平和主義、国民主権を謳歌する憲法草案など作れるはずがありません。その意味で、今の憲法は、民主主義国家アメリカからの日本に対する素敵なプレゼントでもあります。

憲法前文に謳われた崇高な理想は、むしろ人類の永遠の願いです。こんなすばらしい憲法をいだく日本は世界に胸を張れることができます。

その意味で、基本的には実に良くできた憲法と私は評価しています。
憲法前文を変えたり、なくしたりしてはいけません。

● 二つ目の改憲論
以前から問題になっている自衛権をめぐる憲法9条改正論議です。9条に定めた戦争放棄条項をなくそうというものです。

独立国家である限り、他国からの侵害を防御するのは当然で、自衛権の範囲で武力を保持するという自衛隊合憲論が基調になり、自衛権だけではまどろっこしい、というのが論拠です。

しかし、日本が第二次大戦で莫大な被害を被った歴史を忘れてはいけません。戦争を知らない世代が、映画、テレビゲームの世界だけで伝わってくる戦争というものに対する格好良さで済まされないものがあります。戦争は人格を否定する悪そのものです。

これに手をつけるべきではありません。戦後70年近く日本が平和でいられたのも憲法9条のおかげなのです。
 
● 三つ目の改憲論
96条改正論。改正条項そのものを先に変えてしまおう、とするものです。さまざまな憲法条項を変えるにしても、日本の憲法はとてつもなく手続を困難にしています。衆議院、参議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成、さらに国民の過半数の賛成、という二重の制約を課しています。

一つ一つの問題を議論していたら憲法改正はあり得ないことになるので、手続条項そのものを憲法改正しやすくなるように先に変えましょう、という議論。

手続だけなら、というご意見もあるでしょう。しかしこれが一番怖いです。
時の為政者によって国民が振り回される恐ろしい世界が見えてきます。

● そして私の改憲論
私は、やみくもに憲法改正を反対するものではありません。憲法といえども、たかが国の決まり事。永遠に、というのはあり得ません。

しかし、日本の国をどうするのか、この根本的な議論を国民全体で議論しましょう。政治家に頼らないで。そうすれば、何を改正すべきで、何を改正すべきでないか、が国民の共通認識になってくると思います。

私の持論は、二院制の廃止。

すなわち参議院の廃止を求めます。これには憲法改正が必要です。いまの日本は、変化する世界のスピードについて行けていません。参議院制度が元凶の一つです。

同時に、議院内閣制も廃止。大統領制に向かうべき、と。国民主権といいながら選挙権の不平等すら是正しようとしない政治家しか選べない選挙制度、そして政治制度はさっさとやめましょう。
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