2013年05月19日

◆日本右傾化論への“弁明”法

黒田 勝弘


 “アベちゃん”のおかげでこちらも大忙しだ。安倍晋三首相の発言が出るたびに韓国のメディアに呼び出され、弁明や反論をさせられているので他人とは思えない。韓国メディアがいうところの同じ「日本の極右」のよしみから“アベちゃん”と呼ばせてもらう。

今回の韓国の反日は閣僚や国会議員の靖国神社参拝に対する反発から始まり、憲法改正問題や村山談話にかかわる歴史認識などで広がった。

昨年、李明博大統領(当時)の竹島上陸や「天皇謝罪要求発言」で日本世論の激しい反発を受け守勢に回っていた韓国が、ここぞと巻き返しに出ているのだ。

テレビ、ラジオのインタビューや討論に呼ばれて分かったのだが、靖国問題や憲法改正問題への反論や弁明はそれほど難しくない。靖国問題ではいわゆるA級戦犯の合祀(ごうし)を決まって追及してくるが、これに対してはA級、B級、C級合わせ約1千人が合祀されている。

彼らは刑死ですでに罪をあがなっている、国のために殉じた人の霊をまつるのは当然ではないか、日本では「死ねばみな仏」という、韓国人も日本人の国民感情をもっと理解してはどうか…これでだいたいOKである。

憲法改正問題も「普通の国家になるため自前の憲法を作るのだ」という「普通の国家」論で十分対抗できる。韓国人の多くは今の日本の憲法が米国の手でつくられ、軍隊も持てず交戦権もないことなど知らない。マスコミの扇動で「改憲すれば軍国主義になる」とだけ思い込まされているのだ。

しきりに非難される「右傾化」論もそうだ。「右傾化ではなく正常化です。憲法は自分たちで作り、自分の国は自分で守れるよう韓国のような“普通の国”になりたいということですよ」と反論すればそれでおしまいだ。

慰安婦問題でも「日本は何もしていない!」と追及されるが、日本はすでに官民共同の「アジア女性基金」で61人の元慰安婦に償い金を手渡し首相のおわびの手紙も出していることなど、ほとんど知られていない。こんな話を紹介するだけで討論の幅は広がる。

やっかいなのは村山談話問題だ。安倍発言に対し韓国では「侵略否定発言」として官民挙げて非難キャンペーンが展開されているため「過去の戦争を美化するのか、安倍の真意は何か、クロダ記者はどう思うか?」とくる。

「たしかに侵略の定義は立場によって異なる。ベトナム戦争参戦の韓国もあれを侵略戦争とはいわない。日本の大東亜戦争には東南アジアをヨーロッパの植民地支配から解放した効果もあり、日本人の間には過去を侵略一辺倒で語られることに不満の見方がある。

安倍首相は、村山談話否定というより過去の歴史について彼なりの談話を出したいようだから、もうちょっと見守ってはどうか」−弁明としてはこんなあたりが精いっぱいである。

それにしても韓国は毎日、日本、日本、日本である。一般の普通の人はもうそんなに日本、日本、日本じゃないのにメディアだけが“日本離れ”できず意地になって反日をやっている。ただ相手は李朝時代の“党争”をはじめ、激烈な論争体質を持つ民族である。揚げ足を取られないよう発言には注意した方がいい。

ソウル駐在特別記者・ 【から(韓)くに便り】
産経ニュース2013.5.19 03:16

<「頂門の一針」から転載>
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