2013年07月04日

◆党首討論会、さながら首相の独演会

阿比留 瑠比


3日の日本記者クラブ主催の党首討論会は、参院選公示直前にもかかわらず、どこか盛り上がりや熱気に欠けていた。各党首や記者の質問も自民、公明の連立与党勝利を前提に安倍晋三首相に集中し、さながら首相の独演会か参院選後を先取りした所信聴取のようだった。

「今度の参院選、まさに日本の国のこれからがかかっている」

民主党の海江田万里代表は冒頭、こう参院選の意義を強調した。ところが、これまでに比べてマニフェストに数値目標が少ないと指摘されると、こんなあけすけな本音が飛び出した。

「はっきり言って、参院選は政権を取りに行く選挙ではない。与党の暴走を止める選挙だ」

参院選が政権選択選挙でないのはその通りである。とはいえ、民主党をはじめ野党が現時点でのメディアの予想を大幅に上回る議席を獲得して首相を衆院解散に追い込めば、政権交代に直結するかもしれない。その可能性すら、はなから諦めているように聞こえた。

海江田氏は物価上昇など安倍政権の経済政策「アベノミクス」の副作用も強調した。ただ、これも首相に「それでは民主党はどうやって経済を成長させていくのか」と問われると、こんな具体性に乏しい一般論でかわすのがやっとだった。

「経済の成長にとって大事なのは持続可能性だ。やっぱりこれは国内の内需で、健康的な健全な消費を拡大しなければいけない」

平成21年9月の民主党への政権交代前後には、耳にたこができるほど聞いた「政権交代可能な二大政党制の実現」について、この日は誰も口にしなかった。

6年前の参院選で民主党を率いて安倍自民党を大敗させ、政権交代への道筋をつくった生活の党の小沢一郎代表も、もはや存在感は薄い。注目を集めたのは、日本記者クラブの質問者にこう抗議した場面だ。

「さきほどの質問で私のことを例に出して、しかも事実をちょっと曲解した言い方だ。これは公正じゃない。不適切だと思う」

小沢氏が自由党党首時代、自民党に「連立離脱カードをよく出した」という片言隻句をとらえたものだ。だが、質問者は「決して不適切ではない。時間がないので続けてください」と相手にせず、かつて権勢をほしいままにした小沢氏のちょうらくぶりを見せつけた。

そんな中で、やはり絶好調に見えたのが公明党の山口那津男代表だ。最初の質問では、首相に「公明党の持ち味を連立政権で生かすことが重要だ」とちゃっかりアピール。その一方で、これまで公明党が反対してきた、首相が意欲を示す集団的自衛権の政府解釈見直しにこう含みを持たせた。

「これを変えるのであれば、なぜ変えるかをしっかり主張し、国民の理解を得る必要がある。新しいルールを作りたいのであれば、しかるべき手続きも必要となる。よく見守りたい」

「これを変えるのであれば、なぜ変えるかをしっかり主張し、国民の理解を得る必要がある。新しいルールを作りたいのであれば、しかるべき手続きも必要となる。よく見守りたい」

参院選後に丁寧に説明し、手続きを踏めば解釈見直しを認めようという含意が読み取れる。選挙戦本番前に気が早いが、当面は自公連立体制が続くのだろうと印象付けた討論会となった。(産経新聞政治部編集委員)

<「頂門の一針」から転載>


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