2013年08月21日

◆中国で銀行の不良債権が急増

藤村 幸義


輸出停滞、設備過剰など要因

中国の銀行の不良債権が今年に入って急増している。輸出の停滞に加え、鋼材、船舶、太陽光発電などの設備過剰問題、さらには理財商品の発行に伴う資金回収難の問題も影響している。特に浙江省、江蘇省、山東省といった経済の発展した沿海地区での増加が目立っている。

中国銀行業監督管理委員会の発表によると、今年6月末の全国商業銀行の不良債権は6395億元(約8兆6158億円)で、年初比467億元の増加となっている。このまま増え続けると、年間では増加額が1000億元を超えてしまいそうだ。

省別にみると、以前から不良債権の多かった浙江省だけでなく、最近はこれまであまり問題視されていなかった江蘇省や山東省などにも拡大していく傾向がみられる。

浙江省の銀行業監督管理委員会の発表では、6月末の浙江省の不良債権は1,046億元だった。全国のトップである。江蘇省は未発表だが、昨年末現在で528億9000万元だったので、今年6月末では約700億元に達しているとみられる。もう一つの山東省は725億6600万元と発表。つまり3省を合計すると、約2471億元となり、全国の約45%を占めていることになる。

不良債権比率も上昇している。全国ではまだ0.96%にとどまっているが、この3省は飛び抜けて高い。例えば浙江省は1.65%で、全国平均を0.69%も上回っている。

山東省も1.58%と高い。山東省は貿易が盛んだが、ことし上半期は前年同期比で5.4%の伸びでしかない。輸出が輸入を下回り、ここ数年で初めての貿易赤字を記録している。

最近発表されたいくつかの銀行の決算をみても、軒並み不良債権が増えている。その一つ華夏銀行は、この半年間で7億2600万元増え、70億6500万元となった。この銀行は昨年末、理財商品の満期返済に必要な資金が足りなくなり、怒った購入者が銀行にプラカードを持って押し寄せ話題になった。この6月にも資金不足が再燃している。

6月半ばに発生した銀行間短期金利の急騰は一応、収まった。しかし理財商品の発行残高はむしろ増え続けており、銀行の資金不足がいつ再発するか、予断を許さない。

このほか宴会や公用車使用の自粛は消費の停滞を引き起こし、各産業分野での設備過剰の調整も、企業の経営悪化につながる可能性が強い。銀行の不良債権がさらに増えるのは避けられそうにない。(拓殖大学国際学部教授)(フジサンケイビジネスアイ 2013.8.21 11:04)

<「頂門の一針」から転載>
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