2013年10月08日

◆GHQ「焚書図書開封」読書メモC

平井 修一


西尾幹二著「GHQ焚書図書開封 - 米占領軍に消された戦前の日本」で紹介されている焚書図書のサワリ。今回とりあげる「濠州聯邦」とは豪州(オーストラリア)連邦のこと。英連邦王国の一国である。

小生がオーストラリアへ行ったのは10年以上前で、観光資源の視察が目的だった。関係者が言うには「オーストラリアは若い国だから過去にとらわれない斬新な発想をする」そうで、ホテルの厨房でコックさんの仕事ぶりを見ながらディナーを楽しむというのも同国が最初だったから、「なるほど斬新なんだなあ」と思ったものである。

シドニーではOLが裸足で道を歩いていた。銀座、丸の内を裸足で歩く人はいないから、「ああこれも斬新のひとつか」と妙に感心した。

この国がいつできたのかは曖昧だ。1901年には豪州連邦が成立しているが、1986年のオーストラリア法制定で英国から完全独立をしたというから、ついこのあいだ建国されたと言うこともできる。

オーストラリアが欧米に知られるようになってからの歴史は浅い。1770年に英国人探検家ジェームズ・クックが現在のシドニー郊外、ボタニー湾に上陸して領有を宣言した。

1770年は日本の明和7年で、田沼意次が政権を握っていた田沼時代の真っ盛り、蘭学が始まった頃だった。明治維新の100年前だから古い話ではない。

領有宣言以降は入植が始まったのだが、1788年からアメリカに代わる「流罪植民地」として英国囚人の移民が増えていった。それまではアメリカが英国の流刑地だったが独立によりオーストラリアが流刑地になったのである。初期移民団1030人のうち736人が囚人で、「囚人の総数は6万9000人にもなった」(西尾先生)という。

1800年代から自由移民が増えていったが、今でもオーストラリア人は出自を語るときに「自分の先祖は19世紀に移民してきた」と必ず言い、つまり「囚人の子孫ではない」とアピールするそうである。

1828年に全土が英国の植民地となり開拓が進んだ。内陸を探検し、農牧地を開拓したのだが、その過程で先住民から土地を取り上げて放逐、殺害が相次いだ。1830年までに純血のタスマニア島先住民は絶滅させられた。英国の植民地政策はこのようなもので、アメリカではインディアンを絶滅寸前にまで迫害したことは広く知られている。

現在、オーストラリア住民の90%がヨーロッパ系白人であり、アジア人が7%、アボリジニなどが2%。移民は全体の約2割を占め、出身国はイギリス、ニュージーランド、中国、イタリア、ベトナムが多い。1975年に人種差別禁止法が制定されるまでは白色人種以外の移民を受け入れることを基本的に禁じていた。

住民の主流を占める白人による、先住民アボリジニや有色人種に対する迫害や差別の歴史があり、現在も黄色人種、黒人、中東系などの有色人種に対する優越思想「白豪主義」が一部に存在しているという(注)。

戦前の日本はこうした英国、オーストラリアの植民地支配を非常に恐れていた。「斬新な国」の裏の顏は「残虐な国」だった。今では「日豪は基本的価値と戦略的利益を共有する戦略的パートナー」などと両政府は言っているが、「英豪は油断できないぞ」と警告しているのが「濠州聯邦」という本だった。

■宮田峯一著「濠州聯邦」昭和17年9月、紘文社刊

<(英国植民地オーストラリアの)英人移住地方において、原住民が急激に滅亡したについては、三つの主な原因がある。殺害によるもの、悪病と酒類の伝播によるもの、生活様式の急激な変化のよるものである。最悪なるは殺害で、ブリスベン総督のごときは原住民を一団にして射殺することを許可している。

また移民の中には食物にヒ素を混入して黒人に与えて毒殺するといった悪辣で卑劣極まる殺人を犯すものもあった。これはラング博士も1847年に発行した著書の中に述べている。ジョージ・ロビンソンも毒殺は原住民減少の一原因であると述べている。

原住民族の滅亡の経路は戦慄すべく、嫌悪すべき一大悲劇であって、われわれは湧き上がる義憤を禁じ得ないのである>

■西尾先生曰く、「これらはアングロサクソンの常套手段であった。彼らはタスマニアの原住民を絶滅し、二十万人から百万人いたオーストラリアの原住民をわずか二万人にしてしまった。絶滅を意に介さない一連の行為の中に、昭和二十年三月の東京大空襲や広島・長崎に対する原子爆弾の投下もあったと見るべきだ。

アングロサクソンには白人以外の人間や文化を支配し滅ぼそうという傾きが根源的にあるのではないか。だから、最後まで抵抗しようとした日本民族に対しても徹底的な打撃を与えようとした。それが大東亜戦争の発端であり、帰結だ。誇り高き日本民族はなんとか抵抗しようとしたが、刀折れ矢尽き、力尽きたというのが現実だ」(2013/10/6)

           ・・・

注)白豪主義:白人最優先主義とそれにもとづく非白人への人種差別的な排除政策、およびその思想。ウェスタンシドニー大学の調査によると、オーストラリア国民の10人に1人が「白人至上主義者」であり、人種差別的視点を持つ者が少なくないことが明らかとなった。

<「頂門の一針」から転載>
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック