2013年10月13日

◆安保政策 公明代表の論拠消滅

阿比留 瑠比


公明党の山口那津男代表は今回、安全保障政策に関する主張の論拠をまた一つ失った−。インドネシアとブルネイを訪問し、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳らとの会談を重ねた安倍晋三首相に同行取材し、そう実感している。

「首相としては、集団的自衛権の見直しを含む自らの安保政策『積極的平和主義』に、各国から理解が得られたのが大きい。否定的反応は全くなかった」

同行筋はこう指摘する。むしろ首相の説明に対し、「日本はもっと積極的に役割を果たしてほしい」と求める声もあったという。

同行筋は、秋の臨時国会での野党による安倍政権の安保政策に関する追及を念頭に語ったようだ。ただ、筆者はこれを聞きながら9月26日の山口氏の記者会見の言葉を連想していた。

集団的自衛権で溝

山口氏は集団的自衛権の見直しについて、「断固反対」と述べた7月段階よりトーンを弱めつつも、こう強調していたからである。

「周辺諸国、近隣諸国および同盟国の理解を促す努力も求められる」

それが今回、首相はASEAN各国のほかオーストラリアやニュージーランドなどの首脳からも理解と支持を得て、「周辺諸国」という条件は難なくクリアできた。

「同盟国」である米国はすでに3日、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が東京を訪れて開催した日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の場で、集団的自衛権の行使について正式に歓迎を表明している。

また、山口氏自身が9月に訪米して米国から慎重姿勢を引き出そうとした際も思惑が外れ、会談したリッパート国防長官首席補佐官にこう突き放されていた。

「日本が集団的自衛権の行使を解禁して、国際社会で積極的な役割を果たすことを歓迎する」

結局、残るは「近隣諸国」、つまり中国、韓国の特定2国だ。それに国交のない北朝鮮を含めても3カ国・地域だけなのである。

だが、独立国家が自国の安全保障確保に当たり、なぜ近隣諸国の意向をうかがわなければならないのか。

逆に、中国や北朝鮮の軍事的脅威が際限なく増大してきたからこそ、安保政策の転換が喫緊の課題となったのである。山口氏の主張は現実を見ようとせず、論理が逆立ちしている。

また、韓国の反対はどうみるべきか。北朝鮮有事では、日本が集団的自衛権を行使できる方が韓国にとってもありがたいはずだが、韓国は対日関係で正常な判断力を失っており、気にするだけ無駄だろう。

いたずらな遅延策

「連立政権のあり方も含めて議論していく課題だ。短兵急な、乱暴な進め方は受け入れられない」

 山口氏は9月29日のNHK番組では、連立離脱カードまでちらつかせて問題の引き延ばしを図った。

支持母体である創価学会の事情もあろうが、「アジアの安全保障環境は一層厳しくなっている」(安倍首相)。安保政策でいたずらな遅延策を続けるようでは、山口氏は国民の生命・自由・財産の保護を軽視しているとのそしりを免れない。(政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2013.10.12 13:04

<「頂門の一針」から転載>
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