2013年10月15日

◆国会改革は首相の出席緩和を軸にせよ

杉浦 正章



通年国会には無理がある



確かに現在の国会は政権への束縛が強すぎる。改革して首相が世界を自由に飛び回れるようにしないと、中国や韓国のプロパガンダなど国際情勢の変化に立ち後れる。激動する世界情勢は、首相・安倍晋三が率先して行っているように、首相自らのPR戦参入を求めているのだ。


この時間を野党の選挙区目当ての質問などに割いているひまなどない。現在自民、公明、民主、維新で調整中の国会改革は是非実現して、次期通常国会から適用すべきだ。ただし改革はまず首相をフリーにする点に重点を置き、他の改革は問題が多すぎるからじっくり後回しでも良い。
 

安倍の動きを見ていると、しっかり休養が取れるのは首相専用機の中くらいではないかと思えるほど、よく働いている。やはり、一度首相を経験すると、その体験が下野中に様々な政策上の発想を生み、それを今花咲かせようとしている事がよく分かる。


とりわけ重要なのは、軍事膨張路線を取る中国の海洋進出であり、安倍が世界各国を回ってその非を説いた結果、かなり世界世論の共鳴を得ている。習近平はたじろいでいるのが実情だ。安倍が国会に足を取られて動けなくなることは何が何でも回避しなければなるまい。


民主党政権時代にも首相の国会への束縛を緩和させようとする法案提出の動きがあった。その際国会に移出された資料によると主要国首相で国会への出席日数が一番多いのが日本の首相で年間127日。それに比べると英国36日、フランス12日、ドイツ11日で格段と少ない。日本だけ首相がけた外れに束縛されているのだ。


それには戦後の国会の慣習がある。まるで首相を国会に貼り付けてやり玉に挙げることが野党の手柄であり、それのみに専念した悪習の傾向である。予算委には貼り付けられる、衆参両院で同じ施政方針演説をするなど無駄は枚挙にいとまがない。


野党の議員が幹部の質問に続いて全く同様の質問を延々と繰り返す。首相に対する質問は国会中継されるから、野党議員は選挙区や支持団体向けの質問を持ち出して、自己の利便に活用する。長時間の首相への質問は、結局「日本の足」を引っ張るのだ。


まさに国会は国際情勢を意識して改革されるべき時に来ているのだ。


自民党の改革案は(1)首相の委員会出席は原則予算委員会に限定し、出席日数質疑時間に上限を設ける(2)委員会の答弁は原則として副大臣と政務官が行う(3)党首討論は45分を1時間として毎週1回を厳守するーなどである。また国会を通年国会化する方針も検討されている。


自民党はこれらの改革案をさる6月に維新が提案した構想に基づいていると説明している。たしかに形式的には維新の案に乗った形だが、永田町には政権側から「維新が出してくれたら助かる」と持ちかけたという説がある。


たしかに首相の日程にまで配慮した国会改革案を維新独自の発想で出すのは、野党としていささか人が良すぎる。鐘が鳴ったか撞木(しゅもく)が鳴ったかだが、どうも怪しい。


今や維新の支持率は1%。1%とはゼロに等しいことを意味する。何とか存在感を示すには政権に寄り添って事を成し遂げるしかない。政権補完勢力と言うより、政権補強勢力になるしか生きる道がないのかも知れない。


動機は不純だがやっていることはおおむね正しい。しかし問題点もある。閣僚の所轄委員会の答弁を副大臣や政務官に任せることだ。これはやめた方がいい。あまりにも野党を軽視している。閣僚は首相に比べれば格段に時間に余裕があり、各省の最高責任者が総じて国会答弁に望むべきだからだ。


国会のチェック機能は重要であり弱体化させてはならない。また、国会開催を通年国会化することも疑問だ。日本的な政治風土とは全く合致しない。日本的政治風土とは終わりが区切られている状態の中で、与野党がせめぎ合って白黒の決着をつける風土だ。


通年国会にすると予算案にしても、法案にしてもいつ成立するか分からなくなりかねない。だらだらと審議が進み、メリハリが利かなくなるのだ。問題が生じたときは通常国会は1回延長できるし、臨時国会も延長できる。そうすればいいのだ。


党首討論は政権側も野党側も定期的に行うことに固執してこなかったが、首相の予算委の負担が軽減される分、週1回1時間程度の討論は実行すべきであろう。習慣化すればよい。国会改革は民主党政権時代にも首相の束縛を緩和する法案提出の動きがあったが、実現にはいたらなかった。

民主党は政権が変わったからと言って、自らの政権時代にいったん提案した方針を、野に下った今も転換すべきではない。少なくとも首相の束縛緩和だけは広い視野に立って実現すべきであろう。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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