2013年10月31日

◆習氏の弾圧策裏目

〜胡錦濤派と闘争激化も〜

矢板 明夫


【北京=矢板明夫】11月9日に開幕する中国共産党の重要会議である第18期中央委員会第3回総会(3中総会)の前に、中国政治の心臓部である北京の天安門前で発生した車両突入事件が、今後の共産党内の権力闘争を加速させる可能性が出てきた。

中国メディアによると、ウイグル族の関与が明らかとなり、習近平主席が主導する最近の少数民族への高圧的な政策が裏目に出た形だ。今後、習主席と距離を置く党内の改革派を中心に政策転換を求める声が高まる可能性がある。

新疆ウイグル自治区では、4月から6月にかけて警察官とウイグル族グループが衝突する事件が相次いで発生した。その際、習指導部は武装警察官を多数投入し、発砲を許可するなどして鎮圧した。その後、ウイグル族から刀を取り上げ、一部の地域でひげを禁止するなど宗教弾圧を強化し続けた。

共産党筋によると、こうした強引なやり方に対し、「民族間の対立を深刻化させる」と言った批判が、胡錦濤前国家主席が率いるグループなどから寄せられた。

習主席自身の強い意向で実現した6月訪米で具体的な成果をあげられなかったこともあって、習主席の内政・外交政策を否定し、全面転換を求める意見が党内で急増したという。

関係者によると、習主席は後ろ盾である江沢民元国家主席に助けを要請。完全引退したはずの江氏は7月にキッシンジャー元米国務長官と会談した際、習主席への全面支持を表明。ウイグル問題への対応にも言及し、「断固たる決断で、迅速に沈静化させた」との「お墨付き」を与えた。

党内で今でも大きな影響力を持つ江氏が習主席に助け舟を出したことで、習主席への批判は一時沈静化した。

しかし、香港の人権団体によると、今回の突入事件の死者の一人は、新疆ウイグル自治区ルクチンで6月に発生した暴動の際に、警察に射殺されたウイグル族の遺族だという。報復する目的で「自爆テロ」を仕掛けたことが確認されれば、習氏の少数民族政策の「失敗」が証明され、批判の声が再び高まることも考えられる。

3中総会では、習氏に近い張春賢新疆ウイグル自治区書記に対し車両突入事件の責任を問う準備が進められているとの情報もあり、改革派が、習主席から政策制定の主導権を奪う動きに出る可能性もある。
産経ニュース 2013.10.30 22:38

   <「頂門の一針」から転載>
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