2013年11月06日

◆度し難い朴槿恵の“言いつけ”外交

杉浦 正章



なぜ首脳会談で直接言わない
 

じわじわと韓国大統領・朴槿恵の方が追い詰められ始めたのが、日韓関係の現状と言えそうだ。そのきっかけは10月初めの日米外務・防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会」(2プラス2)だ。


韓国の予想に反して、共同声明で集団的自衛権の行使を歓迎する方針を打ち出したことに「韓国政府ががくぜんとした」(官邸筋)のだという。韓国内はまるで自衛隊が朝鮮半島に上陸するとばかりに大騒ぎ。


朴は日本に真意を質さず米国に人を派遣して、「韓国政府の意見が反映されるべきだ」と申し入れたが、共同声明は重い。安倍の来春の憲法解釈変更決定を受けて夏にもまとまる日米防衛協力の指針(ガイドライン)には盛り込まれる方向だ。


集団的自衛権の行使に反対するのは朝日新聞と共産党だけかと思っていたら、韓国で火の手が上がっている。反日メディアを中心に「朝鮮半島有事に米軍を助けるために自衛隊が上陸してくる」とか「集団的自衛権の行使を理由に日本が独党(竹島)を奪いに来る」など相変わらずの曲解と被虐思考の報道で湧いている。


自分の国が米韓相互防衛条約を結んで、集団的自衛権そのものを享受していることなどとんと忘れてしまったか、知識がない様相だ。少しまともな論調は「公海上で北から米艦を目がけて飛来したミサイルに、日本が撃ち返すと、韓国が全然考えていないところで戦争に突入してしまう」というものだが、これも被害者意識に満ちあふれている。


米艦が攻撃されれば日本が防御しようがしまいが、戦争突入であり、日本のせいにしてはいけない。そもそも朝鮮半島有事は過去に日本が予期しないところで勃発したし、今後も予期せずに起こり得る。


迷惑なのは日本の方だからだ。「極東の秩序の変更になる」というもっともらしい反対論もあるが、尖閣への公船の侵入を繰り返し、秩序を破壊しているのは中国である。こうした見当外れのマスコミの論議に踊らされ、常に右往左往するのが韓国政府だ。


「2+2」に対抗するかのように朴槿恵は大統領府国家安保室長・金章洙(キムジャンス)・を米国に派遣、国務長官・ケリーや国防長官・ヘーゲルらと会談させた。


金は、日本の集団的自衛権の行使に関し、「日本の国民が選択する問題」としながらも「拡大解釈され、半島や韓国の主権に関する問題まで及んではならない。その行使では韓国政府の意見が反映されるべきだ」と指摘、ガイドラインでの言及に慎重な対応を求めている。


この韓国政府の対応の基本的な間違いは、問題が日本政府の憲法解釈変更なのであり、その理由は日本に人を派遣して、内政干渉にならないように丁重に聞くべきものであろう。


日本の主権の核心である集団的自衛権の行使を、いちいち韓国に相談していたら同自衛権そのものが成り立たないのだ。それを米国に人を派遣して、日本の悪口を言うかのような態度を取るのはどうみてもおかしい。


いくら何でも歴代大統領はこのような対応は取らなかった。ところが朴槿恵は、まるで女学生が他の生徒の悪口を先生に言いつけるかのようである。きっとそうして育ったに違いない。5月の訪米では大統領・オバマに「地域の平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たなければならない」と直訴。


9月30日には国防長官ヘーゲルに「歴史に逆行する発言をする日本の指導者のせいで信頼を築けない」。最近ではヨーロッパ向けにも“言いつけ”が佳境に達している。


今月に入って仏フィガロ紙にとのインタビューで「我々は未来志向的な関係を発展させたいが、一部の日本の政治家らが過去の歴史問題に関し、不適切な言行を続けている」と安倍を“刺し”た。続けて英BBCとのインタビューでは、「元慰安婦などの問題が解決しない状態では、首脳会談はしない方がましだ」と陰口をたたいた。


さすがに日本政府も執拗なばかりの“言いつけ”外交にかちんときたか、外相・岸田文男が「慰安婦問題でのわが国の立場、努力はこれまでも丁寧に説明してきた。現時点で懸念が表明されたのは大変残念だ」と不快感を示すに至った。


集団的自衛権の問題も宣伝戦の様相を呈しており、安倍がASEAN首脳会議などの機会を捉えて、中国や韓国からの批判の封じ込めを展開している。官房長官・菅義偉も集団的自衛権の問題について「フィリピン、ベトナムをはじめとするASEAN諸国や米国、英国、オーストラリア、カナダなど欧米各国から歓迎、支持が表明されている。


引き続き近隣国を含む関係国に丁寧に説明していきたい」と国際社会の理解を得られつつあるとの認識を強調するに至っている。国連憲章に明記されている権利を行使するだけのことであり、韓国の批判は“上滑り”するものに他ならない。


このところ安倍は靖国参拝を控え、歴史認識での発言を控え、首脳会談にはいつでも応ずるとの発言を繰り返しており、朴槿恵の“言いつけ”外交の異様さだけが目立っている。度し難いのは外交の場では相手国に直接言うべきことを他国に向けて言いふらすことほど、軽蔑されることはないことが分かっていないことだ。


その狙いは50%を超える支持率維持にあるとしか思えない。反日をあおり立てることで支持率を維持するという“邪道”を歩む大統領を相手にしては、安倍が本気で首脳得会談を目指す構えにないのもうなずける。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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