2013年11月15日

◆秘密保護法で左傾民主抱き込みは無理

杉浦 正章



維新、みんなは「半落ち」競争?


昔はこのような場面では、政権側から政治資金が野党とりわけ中間政党に回るのが常であった。当時の中間政党・民主社会党が強硬な反対を唱えたうえに、賛成に回ると「ドカーンがあった」とささやかれた。「ドカーン」とは「巨額な資金が回った」という永田町の隠語だ。


今そんなことが行われたら、大問題になって政権維持も困難になる。しかし「ドカーン」はなくても「頭なぜなぜ」はある。首相動静を見ていたらなんと14日夜は2時間も首相・安倍晋三とみんなの党代表・渡辺喜美が料理屋で会食しているではないか。

渡辺はこれに先立って「情報漏えいの防止策を強化することなどを基本政策に掲げ、選挙戦を戦ってきており、秘密保護法の整備に『総論賛成』が基本スタンスだ」と述べている。いま与党は維新と修正協議の最中であり、渡辺発言は維新を追い越して早くも「半落ちか」ということになる。


一方でその維新は、やはり「半落ち」の様相を深めているかのように見える。修正協議で、与党側が維新の主張に配慮して秘密指定の期間を「原則30年以内」とする見直し案を示した。


維新は持ち帰り、15日改めて3党で協議するが、国会議員団政調会長・片山虎之助は14日「すべて聞き入れてもらわなければ、賛否に大きな影響がある」とすごんでいる。しかしこの正直者は“演技”をしているに違いない。重要ポイントは別ルートで進んでいることを知っているのだ。


官房長官・菅義偉と維新幹事長・松井一郎のルートがこれまでもぎりぎりのポイントで“利き”をみせたし、今度も最大の着目点だ。極右の共同代表・石原慎太郎をはじめ旧太陽系議員らは秘密保護法には大賛成だ。修正に全部応じなければ反対などと言うスタンスにはない。


こうして維新とみんなは与党がうまく誘導すれば「半落ち」が「完落ち」になりうる状況だ。メンツを立ててやり、世間体が成り立つようにすればいいだけのことだ。


生活、社民、共産の左翼3党は「絶対反対」だから最初から修正協議などするまでもない。問題は民主党だ。自民党幹部筋はその対応ぶりに「一番たちが悪い」と漏らしている。なぜかというと、「旗幟を鮮明にせずに引き延ばし、時間切れの廃案か継続審議を狙っている」というのだ。


確かに同党の対応ぶりを見ているとすべてが“引き延ばし作戦”に基本を置いている。問題点を50項目も挙げた上で、その内容を自民党には「全然説明しない」のだそうだ。修正とは名ばかりで別の法案を対案として用意している。その内容を決めるのも来週19日の次の内閣で決めるのだという。


自民党は21日に衆院通過を図る方針であり、それを対案提示を理由に遅らせようとしているのだ。民主党執行部は政権離脱後左傾化が著しく、秘密保護法制そのものに反対する姿勢を強めている。共産や社民寄りといってよい。


自民党の戦略としては、与党だけの強行突破は世間体を考えて避けたいのであり、維新でもみんなでも賛成に回らせるようあらゆる手を尽くす方針だ。民主党については修正協議をしても引き延ばしになるだけで無駄だと判断しているようだ。


こうした中で焦点として台頭しているのが民主、維新、みんなの3党が主張する「第三者機関」と国会議員への情報提供問題だ。第三者機関は閣僚の決めた特別秘密事項が妥当かどうかを検討するためのものだが、これは民主党の主張では明らかに法案の骨抜きを狙っているとしか思えない。


そもそも内閣とは憲法の議院内閣制に基づくものであって、その決定をどこの馬の骨か分からない有識者なるものにチェックされては内閣制度そのものが根幹から覆るのだ。


また国会議員に知らされないのはおかしいという主張と修正構想があるが、国会議員の院内での発言は責任を問われないのが憲法の規定であり、いくら秘密会を設置しても発言されたら秘密保護のすべてが成り立たない。


石破が国会法を改正して秘密会を作り、漏洩には一般公務員と同じ罰則を設けると主張しているのは、百家争鳴となって絶対に実現しないと思っているからに他ならない。


ただ第三者機関については方策が検討されている。担当相・森雅子が「さらなる改善を法案成立後に考えてゆく」と述べているのはなぜかと言えば「付帯決議方式」が念頭にあるからだ。先にNSC法案が衆院を通過した際には、民主党の主張する議事録の作成を付帯決議とすることで同党を納得させて通過を図った経緯がある。


秘密保護法の場合は恐らく民主党はこれに乗らないだろうが、維新とみんなは乗る可能性がある。

朝日の論説委員が報道ステーションで「野党の皆さんに指摘しておきたい。付帯決議だけでお茶を濁して修正に協力して欲しくない。歴史の検証を意識してそれに恥じない協議を」と“大演説”をぶっていたが、朝日の一番恐れている事が流れとなりそうな気配だ。


いずれにせよ衆院における審議は尽くされつつある。首相・安倍晋三はちゅうちょなく来週中の衆院通過にまい進すべきである。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 
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