2013年11月18日

◆韓国、反日の落としどころ

黒田 勝弘


韓国に「克日」という言葉がある。反日や親日と同じく日本がらみで「日本を克服する」の略語である。「日本に勝つ」とか「日本を追い越す」と似たような意味だが、もっと精神的な意味が込められているので「日本を乗り越える」といった感じだろうか。

1980年代初め、最初の教科書問題で反日運動が高まったときに登場 した。反日世論を沈静化させるため「反日から克日へ」と政府とマスコミが一体となってキャンペーン的に使った。

つまり、日本に対して非難、糾弾するだけの「反日」は日本へのコンプレックスの裏返しで、民族感情の発散にすぎない。日本に勝つためにはやはり自分たちが力をつけるしかない。本当に日本に勝とうとすれば、瞬間的な反日ではなく持続的な自助の努力が必要だ−これが克日論である。

それがさらに「日本を克服するためには日本を知らなければならない」という「日本を知ろう」キャンペーンになった。「敵に勝つには敵を知れ」という“孫子の兵法”である。反日から克日・知日へ…と世論を誘導することでさしもの反日運動も収まった。

当時、韓国は全斗煥(チョンドゥファン)政権で日本は中曽根康弘政権だったが、米国のレーガン政権を加え「日米韓協力の最良の時代」といわれた。世論調査でも対日感情が最も良かったときで、皇太子殿下(現・天皇陛下)ご夫妻の訪韓さえ実現直前までいった。

あれから30年。今や韓国で「克日」を聞くことはほとんどない。死語になってしまったようだ。韓国が大きく強くなったためもう「克日」の必要がなくなったのかもしれない。

ところが最近、久しぶりに韓国メディアに克日論が登場した。安倍晋三政権登場以来、終始“安倍たたき”で反日世論を主導、扇動(?)してきた最大手紙、朝鮮日報(13日付)の楊相勲(ヤンサンフン)論説室長の「世界がバカなのか、われわれが度を越しているのか」と題する論評がそれだ。

最近の日韓関係に関し、ワシントンでは韓国の“意地っ張り”に批判の声が出ていると紹介した後、韓国は日本を非難ばかりしているが国際社会では韓国より日本の方がはるかに信頼度が高いと指摘し、「人が何といおうが自分たちだけでフトンを引っかぶってバンザイを叫んでいるような態度では対日問題は永遠に克服できない」と主張している。

そして「(先進国を目指し?)ここまで走ってきたわれわれにとって最後の関門は合理、理性、礼儀、冷静だ。最後の関門だが最も高い門だ」というのが結論になっている。

官民挙げての反日ムードの中で大胆な自己批判だ。朝鮮日報は韓国を代表するメディアだが、このところ反日キャンペーンからの軌道修正がうかがわれる。「克日」という言葉こそ使われていないが、自らに問題を引きつけて反日を収拾にもっていくというのは韓国でよく見られるパターンである。

識者はもちろん街の声でも対日関係悪化にイラ立ちが募っていて「早く首脳会談を開くべきだ」といっている。後は朴槿恵(パククネ)大統領がいかに対日ハードルを下げられるかだ。
産経ニュース ソウル駐在特別記者 【から(韓)くに便り2013.11.17

<「頂門の一針」から転載>

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