2013年12月01日

◆ロシア帝国を潰した日本(1)

平井 修一


20世紀の世界的大事件はいっぱいあるが、有色人種が白人帝国主義に初めて勝った日露戦争(1904〜5)、帝政ロシアを覆して初めて共産主義国家を立てたロシア革命(1905、17)、有色人種が欧米列強を世界中の植民地から追放した大東亜戦争(1941〜45、注)はベスト10に入るだろう。

ロシア革命についてあちこちの資料を漁っていたら、アレクサンドル・パルヴスが日露戦争勃発直後の1904年2月頃に書いた「戦争と革命」という論文があった。これがすこぶる示唆に富んでおり、「日露戦争が帝政ロシアに大打撃を与える」というのだ。

日露戦争は1904年2月8日、旅順港のロシア艦隊に対する日本海軍駆逐艦の奇襲攻撃(旅順口攻撃)で始まった。同日、日本陸軍先遣部隊の第12師団が朝鮮の仁川に上陸している。

この時点で早くも彼は「戦争は始まった。その結末がどうであろうと、ツァーリ(皇帝)専制君主の玉座は崩れるだろう」と見事に予言したのだ。以下、抄録する――
・・・

現在の戦争の部分的終局は考えられない。ツァーリ政府は満洲を譲歩することはできない。政府はこの地を奸策と背信により占領したが、今譲歩すれば武力でしか取り戻せなくなるからだ。しかもその戦争は、無防備の支那に対してではなく、堡塁、兵力についてまったく不安のない日本に対して行わなければならない(から難しい)。

日本は東アジアでの主導権を獲得するだろう。ここに日本の侵略政策の目的と意義がある。日本は自分の政治的・経済的発展全体を賭ける戦争を決心したのだ。日本の目算が正しいかは、あらゆる報道が支那での日本のプレゼンスが非常に強くなっていると報じていることから明らかである。これと並んでモンゴル人の(独立への)民族感情が高揚している。

満洲、朝鮮、支那で日本が実施している第一の改革は、軍隊のヨーロッパ式再編成、戦略的で商業的な鉄道建設などに現れている。日本のこの政策は、単なる政治判断ではなく、歴史的発展の結果なのだ。

日本だけが東アジアにおけるヨーロッパ流資本主義の歴史的完成者であり、日本に資本主義国家をつくり出したように支那の全沿岸地帯に商工業都市をつくり、川を上って奥地に忍び込み、中華帝国の経済、政治を蚕食し、支那に資本主義のための準備教育を施したのだ。

ツァーリ政府が満洲を失うということは、新しい港を失い、航行に適した緯度での太平洋への出口は閉ざされてしまい、極東政策の完全な失敗になる。日本の軍事的威力をなくすとツァーリが決定した所以である。

ロシアが満洲で日本に勝てば、北京の前で止まることなく、さらに南下するだろう。しかし、競合する列強が支那の分配で武力衝突なしに妥協することは疑わしい。イギリスなどとの世界戦争に生き残るに十分な力をツァーリ政府はもっていない。

現実には、日本に対する速やかな勝利はあり得ず、ツァーリ政府は力をすり減らすだろう。

ヨーロッパのすべての軍事評論家は、日本が旅順口攻撃でロシア海軍に与えた打撃により海軍は麻痺したと言っている。ロシア・トルコ戦争(1877〜78)の時は、戦場はヨーロッパだったからツァーリ政府と戦場の連絡は密接であり、食糧も不足しなかった。今はアジアの片隅で、極度に困難な諸条件のもとで戦争を行わなければならない。

ペテルブルク(首都)から戦場までの距離は8000キロで、ニューヨークの方が近いほどだ。確かにロシアは支那と国境を接してはいるが、人口希薄なシベリアの広大な地域によって本国から分離されている。

運輸の点でも、軍隊の派遣はシベリア鉄道によるしかないが、鉄道の満洲支線をうまく防衛できるのか。住民からなる大軍が、小部隊で全線に配置されており、明らかに日本人の指揮下に作戦行動をとっている。

いろいろな地点で鉄道の数キロを破壊すれば、ロシア軍は満洲を徒歩で動かなければならなくなる。
(つづく)
・・・
注)中共御用作家のアグネス・スメドレーはこう書いている。

<数世代にわたってアジアの民族を支配してきた西欧列強は、太平洋戦争の最初の2年間というもの、西欧帝国主義排除という日本の強力な宣伝を信じた南太平洋の諸民族が、日本軍を解放者として歓迎していたときは、にが虫をかみつぶした思いだった。

イギリスが118年も抑えていたシンガポールは、真珠湾(1941)の2か月後に陥落した。(1942年)3月にはインドネシアのオランダ勢力が壊滅した。1942年初夏にはビルマの連合国軍(英と支那)は、ビルマ人にまわりの森を焼き立てられながら、さんざんな状態で退却した。

インドでは、反抗する数千人の愛国者で監獄がいっぱいになり、チャンドラ・ボースの指揮する強力なる親日運動が広まっていた>(「偉大なる道」)(2013/11/27)

<「頂門の一針」から転載>
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