2013年12月08日

◆スパイ防止法案概要

渡部 亮次郎


密保護法が6日にやっと成立したので安倍政権が次にほしいのはスパイ防止法だろうが、野党とスコミをまともに敵に回すのでおいそれとは取り組めない。

国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案は、1985(昭和60)年の第102通常国会で自民党所属議員により衆議院に議員立法として提出されたが、第103臨時国会で審議未了廃案となった法律案。通称「スパイ防止法案」。

全14条及び附則により構成。外交・防衛上の国家機密事項に対する公務員の守秘義務を定め、これを第三者に漏洩する行為の防止を目的とする。

また、禁止ないし罰則の対象とされる行為は既遂行為だけでなく未遂行為や機密事項の探知・収集と言った予備行為、過失(機密事項に関する書類等の紛失など)も含まれる。最高刑は死刑または無期懲役(第4条)。

憲法が保障する基本的人権に対する配慮から、第14条において「この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」と定められているが、飽くまでも政府の努力義務とされており、法律の適用により一般国民の人権が侵害された際の救済措置が担保されていない点が特に批判の対象とされた。

自民党内においてスパイ防止法の必要性は1980年代前半から活発に議論されるようになり、当時の内閣(海部)の許でその気運が高まった。

これに対し一般国民の権利制限に直結する法律であることや報道の自由が侵害されることに対する懸念から、大多数のマスメディアが反対に回った(推進の立場を表明した主たるマスメディアには世界日報がある)。

そのため、政府は内閣法案として提出することを断念するが通常国会の閉会を間近に控えた1985年6月6日に伊藤宗一郎ら10名が衆議院に議員立法として法案を提出した。

これに対し、当時の野党(日本社会党・公明党・民社党・日本共産党・社会民主連合他)は断固反対を主張。法案は継続審議となるものの10月に開会した第103臨時国会でも野党は徹底して審議拒否を貫き、12月21日の閉会に伴い廃案となった。

なお、2001年に改正された自衛隊法において従来の第59条における「秘密を守る義務」規定に加え第96条の2に「防衛秘密」規定が新設され、廃案となったスパイ防止法案の一部と同趣旨の規定が盛り込まれた。

2007年2月には航空自衛隊の一佐が読売新聞記者に機密情報を漏洩し、この規定に違反したとして警務隊が事情聴取や家宅捜索を行ったと報じられている[防衛省、読売新聞に機密漏洩の疑いで一佐宅を捜索(J-CASTニュース)]。

世界基督教統一神霊協会(統一教会)及びその政治組織である国際勝共連合が本法の必要性を特に強く主張しており、系列紙世界日報がたびたび「スパイ防止法の早期制定」を訴える社説や記事を掲載している。その論調は概して「先進国でスパイ防止法が存在しないのは日本ぐらい」というものである。

文献
賛成の立場
スパイ防止法案――その背景と目的(自由民主党広報委員会出版局・1982年)
間接侵略の危機―日本だけにないスパイ防止法(河西徹夫・日高明、日本工業新聞社・1982年)
機密保護と現代――スパイ防止法はなぜ必要か(スパイ防止法制定促進国民会議、啓正社・1983年)
誰にもわかるスパイ防止法―正しく学ぶ三つの章(スパイ防止法制定促進国民会議、世界日報社・1987年)

反対の立場
国家秘密法〈スパイ防止法〉―いま資料の時代 国家秘密法案阻止のマニュアル集(晩稲社・1985年)
暗黒時代を再現する自民党の「スパイ防止法案」に反対しよう(自由人権協会・1985年)
エッ!わたしがスパイ?―あなたも「スパイ防止法」に狙われる(東京弁護士会・1985年)
あなたの目、耳、口ふさぐ国家機密法(日本共産党中央委員会出版局・1985年)
悪魔(サタン)があやつる“スパイ防止法”と霊感商法(荒井荒雄、青村出版社・1985年)

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2008・09・23執筆。再掲。


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