2013年12月20日

◆零戦ブーム“長期飛行”

本間 英士


■書籍やプラモ続々/実機展示で見学1・5倍

先の戦争で活躍した零(ゼロ)戦(零式艦上戦闘機)のブームが続いている。零戦の設計者、堀越二郎氏を主人公にしたアニメ映画「風立ちぬ」(宮崎駿監督)に続いて、21日には零戦がテーマの映画「永遠の0(ゼロ)」が公開。関連本やプラモデルの人気が再燃するなど、ブームは“長期飛行”の様相となっている。
                  
                 ◇

「永遠の0」は、百田尚樹さんの小説の映画化で、特攻で戦死した零戦パイロットの祖父の足跡を孫がたどるという筋書きだ。平成21年に刊行された原作の文庫は増刷を重ね、今年のオリコン年間ランキング(文庫部門)で1位に。7月公開の「風立ちぬ」も、宮崎監督の最後の長編作品となったこともあって現在も公開が続き、興行収入は今月5日に119億円を突破した。

「零戦への関心は高まっている。『風立ちぬ』の公開以降、若い人やカップルの来館者が増えている」。所沢航空発祥記念館(埼玉県所沢市)の学芸員、近藤亮さんはこう語る。

同館では昨年12月から今年8月まで、エンジンが動く本物の零戦を展示。期間中、来館者は通常の1・5倍に増えた。堀越氏の遺品や零戦の未公開資料などを展示した企画展「堀越二郎の生涯」は、9月で終了する予定が全国から延長の要望が相次いだため来年4月まで会期が延長された。

書籍も好調だ。ジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区)によると、今年に入って初心者向けのムックなど多数の零戦関連本が出版され、売り上げも例年より3割程度増えているという。

大手プラモメーカー「タミヤ」(静岡市)によると、零戦モデルの売り上げも「映画などの影響で露出が増え、昨年より伸びている」(広報担当の山本暁さん)。先月には、限定モデルとして「永遠の0」の劇中で登場する零戦を再現した特別版プラモが発売された。

零戦を堀越氏ら技術者の視点でとらえた「零式戦闘機」を執筆した柳田邦男さん(77)は、零戦がいまも日本人の心を引きつける理由を「非常に美しい流線形の機体。大戦初期は空中戦の“花形”として活躍した。

今の日本は国際競争力が落ち、低迷している。多くの人に『日本も捨てたもんじゃない』と思える何かを求める気持ちが強い」と分析し、零戦に「日本人の『ヒーロー願望』の投影」があると指摘する。

「零戦は軽量化やスピードを追求したあまり、防御を犠牲にせざるを得ず、パイロットの人命を軽視する設計となった。零戦を全肯定すべきではない」とくぎを刺す半面、ブームについては、「若い人が過去の歴史に関心を持つきっかけになる」と評価している。
産経ニュース2013.12.15



この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック