石 平
「微博」に見る巨大な絶望といちるの希望
中国では今、「微博(ウェイボ)」というミニブログの利用者が急速に増えている。今月14日までの登録アカウント数は13億を超えているから、微博は今、普通の国民が情報や意見を発信するための最も簡便な手段となっている。
微博の世界を時々のぞくと、中国という国が今、世紀末的な絶望と未来へのかすかな希望が混在している激動の大変革期にあることがよく分かる。たとえば、私が読んだ今月最初の1週間には次のようなものがある。
12月2日、「@公衆新聞」というアカウントを持つ人はこう書いている。「今の中国で、大型プロジェクト・国土開発・対外貿易・証券・金融という5つの利権の大きい分野で、主要ポストの9割以上は政府高官の子弟たちが握っている。“社会主義”の中国は権力世襲社会となっており、人民は単なる傍観者と奴隷である」
同3日、「@万網互通」さんの書き込みはこうである。「今、中国の富の95%は全人口のわずか5%を占める人々の手にある。しかしこの5%の人々はすでに海外へ移民しているか、あるいは移民しようとしている。これから10年後、この国に何が残されているのだろうか」
同5日、「@CCTA」さんはこう書く。「地球上にこのような国がある。80%の河川が枯渇し、3分の2の草原は砂漠と化している。668の城市はゴミによって包囲され、4億人の都市部住民は汚染された空気を吸う。2000万人の女性は売春に励み、刑事事件は年間400万件も発生する。
1000万人の公務員・幹部のほとんどが汚職している。このような素晴らしい国は一体どこか。当ててみよう」
もちろん、それが当の中国であることは誰でも分かっている。この書き手が挙げた一連の数字が正確であるかどうかは問題ではない。要は、多くの中国人が自分たちの国の現状をこのように認識しているということだ。行間からは祖国の惨めな現状への深い絶望と、それをもたらした政治権力への強い不信感と不満が感じ取れるだろう。
こうした中で、政治権力と民衆が対立するような出来事でも起きれば、微博の世論が一斉に政権批判へと向かうのはいつものパターンである。
たとえば同4日、江西省新余市で政府幹部の財産公開を求めた劉萍さんら3人が「違法集会」の罪で起訴されると、微博の世界では政権に対する非難の嵐が一気に吹き荒れる。
「幹部の財産公開を求めて何か悪いのか。この国では正義を主張する人は犯罪者にされるのだ!」「財産の公開をそれほど恐れているのか。それは、政府の幹部が皆不正の財産を隠していることの証拠だ」「当局が劉萍さんたちに罪を問うのは、つまり今の政権は民衆の側ではなく汚職幹部のサイドに立っているということ。民衆の敵は誰なのかが一目瞭然ではないか」などと、痛烈な政権批判が延々とつづられている。
その中で、劉萍さんたちの弁護を引き受けた華東師範大学教授で弁護士の張雪忠氏は、自分の微博でこう宣言した。「今後、私は政治犯と良心犯の弁護を一手に引き受けるつもりだ。権力が銃を持って人を迫害するなら、私は自分の口舌で彼らを助けなければならない。正義を勝ち取ることができなくても、民心はわれわれの方にある」と。
産経ニュース【石平のChina Watch】2013.12.19