2014年01月12日

◆そこまでやるのか中国寄り

黒田 勝弘


韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が6日、テレビの生中継で年頭の記者会見を行った。彼女にとってこれは昨年2月の大統領就任以来、初めての記者会見だ。会見の後、大統領官邸の記者室に顔を出して記者たちとなごやかに握手をしていたが、こんな風景も初めてだという。

彼女は国内ではよく「プルトン(不通)」といわれている。「意思疎通が不十分」、つまり国民との対話が足りないという批判だが、品のあるソフトな笑顔の裏は意外にガンコなようで、記者会見嫌いもその批判の対象になっていた。

ところが、今回の記者会見にはいくつかの異例があって驚かされた。外国人記者も出席したのだが、12人だけに制限された。こんな厳しい制限は歴代大統領では初めてで、女性大統領へのせっかくの「お近づき」を期待していた外国人記者たちをいたく失望させた。

また外国人記者に対しては、事前に大統領官邸当局が一方的に指名した2人にのみ質問の機会が与えられたが、このやり方は過去、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代など時にはあったから仕方ない。

その2人を欧米系と非欧米系のメディアに分けたのもよくやるやり方だ。ところが今回、その非欧米系の1人に選ばれたのが何と中国中央テレビ(CCTV)の記者だった(欧米系はロイター通信)。

過去の大統領会見で非欧米系メディアからとなると必ず日本人記者が含まれていた。ソウルの外国人記者団では日本系が最大だからだ。近年、中国の記者も増えているので、非欧米系で複数が指名されるときは中国人記者も入るようになっていたが、今回のように日本人記者を差し置いて中国人記者だけを指名というのは史上初めてである。

CCTVをはじめ中国メディアは共産党独裁下の国営機関だ。そうしたメディアに非欧米系を代表させるとは。朴政権の「中国寄り」と「日本無視」を象徴する風景である。

中国人記者の質問に対する朴大統領の答えも興味深かった。記者は、韓国の大学関係者が新年の四字熟語に選定したという「チョンミケオ(転迷開悟)」を紹介し、解釈をたずねた。

仏教用語で「迷いを脱し悟りを開く」の意味だが、朴大統領はまず「そうした四字熟語で新年を展望するというのは、韓国と中国がいかに人文的に近いかを示すものだ」といい、さらに記者の韓国語をほめた上で「姿も韓国人と似ているので韓国人と思われるだろう。いろんな面で近しい感じを受ける」と語った。

ついでに「“転迷開悟”は、習近平国家主席が進める腐敗反対などの政策にも通じる」と“ヨイショ発言”をするなど中国ベタベタの雰囲気だった。

ただ、韓国では漢字は排斥されているため「チョンミケオ」などといわれても国民の大多数はチンプンカンプンだ。最近の新聞報道によると、子供の名前を漢字で書けない親も多いとか。中国文化の核心である漢字を排斥しながら「人文的に近い」はないと思うのだが。

朴大統領はこれまで自らの国政の基本としてしきりに「非正常の正常化」を強調している。

とすると、その中国寄り政策も、日清戦争で日本が清(中国)に勝つことで韓国がやっと中国の影響(支配)を脱して日本の影響下に入った19世紀末より前の、中国影響下の時代に再び戻るという「正常化」なのかもしれない。日本としてはそれこそ「転迷開悟」を求めたいところだが。産経ニュース【緯度経度】(在ソウル)2014.1.11


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