2014年01月14日

◆手がつけられぬ細川「ご乱心」

杉浦 正章



直下型地震でまたも投げ出すのか


荘子に「寿(いのちなが)ければ則ち辱多し」があるが、肥後細川家18代当主は御年75歳のご高齢だ。はっきり言っておやめになった方がよい。6年後のオリンピックまで都政に責任を持てるのか。


今あっても遅くはない直下型大地震に、かって国政でそうしたように殿様の身勝手で知事の座を投げ出されては、辛酸をなめるのは都民にほかならない。猿が水に映った月を取ろうとして溺れることを「猿猴(えんこう)月を取る」というが、その月を取ろうとしているのだ。


都知事の職は激職だ。おまけに朝日新聞の狙い通りに「原発ゼロ」を訴えて、国政を揺るがすのは邪道としか言いようがない。


それにつけても都知事というのはどうしてこうまともな政治家が少ないのだろうか。マルクス主義者の美濃部亮吉に財政をくしゃくしゃにされたかと思うと、極右の石原慎太郎に尖閣購入費と称する募金をされて、16億円も集まったままたなざらし。


天皇に直訴する芸能人を参院議員に当選させたことなどを考え合わせれば、都民のガバナビリティ(被統治能力)自体に問題があるとしか考えられない。今回も永田町では「嫌なやつ」で定評のある舛添要一と、「ご乱心」の殿と、共産党の三つどもえの絡み合いになりそうだが、やはり一番お粗末なのが細川だ。


引きこもってロクロを回していれば、まだ「文人」的で好印象となるが、その「文人」的好印象をいつの日か政治に使おうとしていたのかと思うとその権力欲にはあきれるしかない。都民は「文人」にころりと参ってしまう体質がある。そこを狙ったのだろうか。


父の護貞は細川が衆院に出馬しようとしたときに反対し、「そんなヤクザな道に入るのなら、家とは縁を切ってくれ。カネも含めて今後一切の面倒は見ない」と勘当を言い渡した。父親は息子の本質を見抜いていたのだろう。


首相になって何をしたかというと、あのルーピー鳩山由紀夫に勝るとも劣らぬ暗愚さをさらけだした。殿は記者など下僕としか思っていないのか、夜中に突然記者会見を招集して「消費税を引き上げて7%の国民福祉税とする」と宣うた。


小沢一郎がかねてからの持論「御輿は軽くてパーがいい」を地でゆくもので、小沢の掌で踊ってしまったのだ。直ちにつぶされたが鳩山の「最低でも県外」の普天間移転論に匹敵する政治誤判断だった。


これで「首相失格」は確定したが、これに追い打ちをかけたのが佐川疑惑だ。その内容は猪瀬直樹の徳洲会疑惑そっくりで、金額もさすがに殿様だけあって、猪瀬の倍の1億円借り入れだ。国会に返済の証拠として提出した領収書も猪瀬のケースと同じで、印鑑も押してないし誰が発行したのかも分からない。


ついに進退窮まって、たったの8か月で政権を投げ出したが、立候補すればまずこの佐川問題がぶり返される。そもそも殿は自分の年齢をどう思っておられるのだろうか。年齢で差別をするわけではないが、どうしてもハンディがある。


戦後最高齢で首相になった政治家の例を挙げれば、旧憲法下では幣原喜重郎が73歳、新憲法下では石橋湛山が72歳。幣原は5か月、石橋は3か月しか在任していない。美濃部亮吉は都知事を13年務めたが、退任は75歳であった。


殿は当選すれば6年後のオリンピックは81歳で迎えることになるが、それまで体力、気力が持つのか。一番気になるのがいつあってもおかしくない首都圏直下型大震災だ。これに不眠不休で陣頭指揮に当たれるのか。


殿の首相在任中の政治姿勢は、国政より自らの“都合”を重視する傾向が顕著であった。一身をなげうつほどの政治力が求められるときに「自己都合退任」されては都民はたまらない。


唯一の主張らしい主張が「原発ゼロ」である。これは狙い所としてはうまい。しかし元首相・森喜朗が「卑怯だ。フェアではない。原発を絡めて通ろうとする人は心がやましい」と口を極めて批判しているが、まさにその通りだ。


国の生命線であるエネルギー政策を、己の栄耀栄華のために“活用”するのだから「卑怯者」呼ばわりされても当然だ。おまけに「変人」小泉純一郎が応援しそうだという。「変人」が「ご乱心」を推すのであるから、当選すれば都政ははちゃめちゃだ。


ポピュリズムを狙う政治家は、どうも「原発ゼロ」の誘惑に駆られる傾向がある。しかし国政選挙では見事に失敗している。


あの小沢ですら起死回生の仕掛けを「原発ゼロ」に持っていった。一昨年末の総選挙である。琵琶湖周辺に潜む山姥のようなお方を担ぎ上げ「日本未来の党」と称する政党を結成、“卒原発”で旗揚げしたが、見るも無惨に惨敗。


昨年の参院選挙では、自民党以外の政党すべてが「原発ゼロ」を掲げたが、首相・安倍晋三も幹事長・石破茂も堂々と「原発再稼働」を唱えて圧勝した。


国政選挙とともに惨敗したのは朝日であったが、懲りずに今回も9日の朝刊一面トップの“スクープ”で殿を担ぎ上げた。狙いは紛れもなく東京都を「原発ゼロ」で固めて、にっくき安倍政権を揺さぶろうというところにある。


細川は「殿もおだてりゃ木に登る」で乗ってしまった。問題は国民は国政選挙で「原発ゼロ」を排除したが、都知事選でそれができるかと言うことだ。原発立地県も含めて国民は総じて正しい判断をしたのだが、るる述べてきたように東京都は別だ。


ガバナビリティがなく、民度が地方より低いのだ。「原発ゼロ」は結構いい票を稼ぎそうだ。選挙予測は、この場合世論調査を抜きにやれるものではないが、晩節を汚す元首相が一人でることは確定的。せめて小泉が支援に加わって二人にならないことを祈る。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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