2014年01月30日

◆「戦争と共産主義」を読む A

平井 修一


街には赤旗を押し立てたデモ行進が延々と続いている。インターナショナルの歌声が怒涛のごとく響いてくる。私はふと奇妙な錯覚にとらわれる。この同じ町を、同じ我々の同胞が、手に手に日の丸の旗を打ち振り、愛国行進歌を高らかに歌い、延々長蛇の列をなして通っていく姿が瞼に浮かんでくる。それがついこの間のような気がするし、また遠い昔のような気もする。

そしてあの日の丸の旗を振り、愛国行進歌を歌って通った何万、何十万かの人間はどこへ行ってしまったのだろうか。

また赤旗を押し立て、革命家を歌い、堂々デモ行進をやっている何万、何十万かの人間がどこから出てきたのだろうか。あの頃、全国民が戦争熱に圧倒されていた頃、どこで何をしていた人々だろうかと思う。

それから静かに考えてみて、大変なことに気がつく。あの戦時中、日の丸の旗を振り、愛国行進歌を歌って通った人間も、今、赤旗を振り革命家を歌って通る人間も、同じ人間ではないのかと。

そのころ、軍閥の御用を勤めていた軍需会社の重役どもの手で、工場から、職場から狩り出された名誉ある「産業戦士」が、今日は「輝ける階級戦」の指導者によって動員された革命の輝ける「前衛闘士」と名が変わっているのではないかと。

そして私はもっと大変なことに気がつく。軍需会社の重役どもを動かして産業戦士を街頭に狩り出したのも、輝ける指導者に指令して階級戦線の前衛部隊を街頭に動員するのも、同じ一つの目的のために「俺がやっているのだ」という者があったとしたら、どういうことになるのだろうか、と。

人は「そんな馬鹿なことが」と言うだろう。だが果たして「馬鹿なことが」と言い切れるだろうか。

我々は幸か不幸か、世界史の最も激しい変革期に、一個の個人として過去、現在、将来に生きていく運命におかれている。これは光栄ある試練だ。私は世界がこの激しい転換期に入った1930年頃から、頭の中にいつも新しいひとつのテーマを置いて考えてみることにしている。それはコミンテルンの究極目標たる世界共産主義革命成否の問題だ。

そして私はこの問題を考えるとき、いつでも「自分がコムミニストだったら」という立場に頭の位置を置き換え「何をなすべきか」を考えてみる。以下は右の立場から、私の頭の中に描かれてきた共産主義革命の戦略戦術論だ。

■コミンテルンの立場から見る第二次大戦

1930年と言えば、その2年前、アメリカのウォール街から巻き起こった経済恐慌の嵐が全世界を吹きまくっていたときだ。そこでまずこの経済恐慌は世界資本主義の末期的症状が露呈されてきたものと見る。そして世界の資本主義諸国家はこの経済的危機打開のために必然に帝国主義政策を露骨に強行するであろうことを前提として考える。その結果は、

1)経済的鎖国主義の強化
2)米英日独などの強大国を中心としたブロック体制の強化
3)植民地、半植民地の獲得競争
4)資本主義列国間の対立激化
5)帝国主義列国の軍備拡張競争

となり、結局は第二次世界大戦となる客観情勢が強まってきた。これがコミンテルンの立場から見た当時の客観情勢の認識だ。しからばコミンテルンはどうするか。

コミンテルンの究極目標は全世界の共産主義革命を完成することだ。そのためにはなんとしても国際資本主義の支柱をなす米英日独などの強大国を倒さなければならない。どうして倒すか。その方途に二つある。

一つは、その国の共産党勢力を強化して革命を起こさしめ、ブルジョワ支配権力を内部から覆滅崩壊せしめること。その二は、資本主義国家を外部から武力で叩き潰すことである。

ところがこの戦略戦術論から各国の客観的、主体的条件を検討してみると、米英日独いずれも共産党の力が弱く、プロレタリア革命成功の成算がない。また外部から武力で叩き潰すだけの準備と力が現在のコミンテルンにはない。

しからばどうするか。第二次世界大戦の危機について考えてみよう。

第二次世界大戦が起こることはコミンテルンのために、世界共産主義革命実現のために好ましいことか好ましくないことか。

好ましいことだ。なぜなら、資本主義国家と資本主義国家が二つの陣営に分かれて噛み合いの大戦争をやれば、どちらか一方の陣営が必ず敗ける。敗けた国は資本主義体制、すなわち現在の政治的支配権力が根底から動揺し、無秩序混乱状態となるから、共産主義革命実現の客観的、社会的条件が具備される。

勝った側でも、現代戦は一大消耗戦だから、それだけ資本主義体制は弱められる、すなわち戦時中の消耗によって資本主義経済そのものがガタガタになっている上に、最高度に高められた軍事生産機構が非常な重荷となり、これを平時体制に切り替えんとすれば必ず恐慌が起こる。

それだけ世界の資本主義体制が弱体化することになるから、第二次世界大戦の勃発は世界共産主義革命の客観的、主体的条件を百歩、千歩前進せしめることになる。

第二次世界大戦万歳!全世界共産主義革命万歳だ。ただし、この場合、ソ連は第二次世界大戦に巻き込まれないように用心しなければならない。これは戦略的に絶対必要な政治的見識だ。(つづく)(2014/1/28)
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