2014年02月06日

◆すりかえ論法はいつまで有効か

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

平成26(2014)年2月5日 (水曜日)貳 通巻第4136号 

「すべて日本が悪い」というすりかえ論法はいつまで有効か?
   中国、こんどは特攻隊遺書、永遠のゼロを「安倍首相、国連に宣戦布告」だと。

2014年2月4日、鹿児島県南九州市は、特攻隊の遺書(知覧特攻平和会館に保存されている333点)を「世界記憶遺産」として登録したいとしてユネスコに申請した。

市長は「明日、命がないという極限状況の中、隊員らが残していった遺書を保存し、継承し、その真実の言葉を世界に伝えたい」と理由を説明した。

ユネスコの「世界記憶遺産」にはアンネの日記も含まれ、フランスの「人権宣言」などが登録されている。

蛇足ながら特攻隊記念館は、この知覧が際立って有名だが、大隅半島の鹿屋にある記念館も、佐世保の関連施設にも特攻隊の遺書、遺品など展示がある。もっとも出撃人員が多いのは鹿島基地である。ついでながら筆者はこれらすべてを拝観してきた。

さて、この特攻隊遺書の世界記憶遺産申請を、かの国はなんと「安倍首相、国連に宣戦布告」と捉えた(「神風特攻隊遺書申遺、安倍向連合国宣戦」、多維新聞、2月4日)。

こうした浅薄で悪意に満ちた報道には、呆れてものが言えない気もするが、中国の一連の日本誹謗中傷作戦は、北京の戦略的意思の継続であり、自分が弱い立場にあるとき、徹底的に嘘を周辺に言いふらして時を稼ぐという、軍事的発想が基本にある。

それは孫子、呉子以来の伝統であり、欧米日へのサイバー攻撃も、近年の領海法の制定も、すべて原点にはアジアでの覇権をうかがう戦略性がある。

中国はダボス会議における安倍首相の基調演説のあと英誌記者からの質問に答え、日中関係が第1次大戦後の英独関係に酷似しているかも知れないが、「そうした危機を乗り越える努力をしている。日本の積極的平和主義をみてほしい」とした箇所を、前節だけとりあげて欧米各紙が歪曲報道したことがあるが、中国は、ここぞとばかりに、この欧米紙の偏向歪曲報道を政治宣伝の梃子に応用し、盛んに日本が軍国主義復活などと虚空に咆えてきた。

おりから日本では多くが感動した映画と小説の『永遠のゼロ』も、安倍首相が観劇し涙したことを中国は巧妙に政治利用し、「日本は戦争を美化する映画を鼓吹している」と逆のことばかりをかき立ててきた。

この遣り方は韓国の「言いつけ」外交と大差がない。

▼露骨すぎる論理の飛躍だが。。。

バイデン副大統領というオバマ政権のなかで、もっとも箍(たが)がゆるんだ親中派に異常接近する中国は、彼をも駆使して、さきの歪曲報道を欧米諸国に信じ込ませようとする。

また安倍首相の靖国参拝をなじる論理も『米国が失望したように』と付け加えつつ、自らの一方的な防空識別圏、尖閣諸島領土化などのことを伏せて語らない。要するにその底意は『日米離間』という戦略的発想からくる一種の戦術。逆宣伝というインテリジェンスである。

そして、たとえば多維新聞は2月4日付でこう付け加えた。

「中国はユネスコの世界記憶遺産に『本草網目』など古典を申請した。ドイツも『ベートーベン第九』や『グリム童話』など(平和的文書)を申請したが、日本は戦争を賛美する軍国主義、武士道を扇動する特攻隊遺書を申請するなどと、明らかに国連の精神に抵触するばかりか、これこそが安倍首相のもつ軍国主義体質が、国連に宣戦布告したことを意味するのだ」

素っ頓狂な物言いに論理的整合性がない。しかし中国の狙いは、そこにはない。南シナ海でつぎつぎと領土を侵略し、アセアンで孤立を深める中国の焦りが、こうした日本への理不尽な攻撃の継続という態度に表れているのである。

中国、韓国をのぞいてアジア諸国で、こうした中国の日本非難に同調するメディアはいまのところ見あたらない。

なぜならアジア諸国が独立できたのは日本軍が欧米列強の侵略者を追い出してくれたからだという真実に気がついたからだ。

日本は、しかしながら、有効な反撃を世界的規模で展開する必要があり、外務省ほか関連官庁の本格的対応に期待したいところである。
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