2014年02月19日

◆「すべての始まり」に過ぎなかった

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

平成26(2014)年2月18日(火曜日)貳:通巻第4150号 

 〜広東省東莞の売春窟手入れは「すべての始まり」に過ぎなかった
  中国全土で売春、博打場、麻薬拠点を一斉手入れ。習近平vsマフィアの様相〜

東莞市は改革開放の荒波にのって部品メーカーが蝟集していた。隣の虎口、広州市南端の番寓、順徳そして仏山にかけての広州メガロポリスは中国経済を象徴する大工場地帯となった。

輸出基地でもあり、広州のひとりあたりのGDPは1万ドルを超えた。

比例して「黄風暴」(風俗、売春)のメッカとして東莞が注目される。なにしろ昼間から怪しげなネオン、いかがわしいサウナ、マッサージ、カラオケ、卑猥な看板の床屋が林立している。「小休憩」はラブホ。一流ホテルにもデリヘルがいる。

不況が襲った。部品メーカーの倒産、給料不払いなどで生活できなくなり、売春窟で稼がざるを得ない地方出身の女性が夥しく、東莞、厚街、虎口一帯で風俗産業に従事するのは30万人と言われた。

2014年2月9日から12日にかけ、6000名の公安警察を動員、市内数百ヶ所の売春宿などを手入れし、数百名を逮捕拘束した。

この大捕り物は中国ばかりか、世界的ニュースとなり『ウォールストリート・ジャーナル』(2月18日)も大きく報じた。

同紙は「今後、中国全土で売春、博打場(betting)、麻薬(drug)の取引拠点、マフィアのセクトを一斉手入れ。習近平vsマフィアの様相」と書いた。

「黄風暴」(売春)ばかりか、その隠された狙いが博打、麻薬の取り締まりにもあるということは全土に猖獗するマフィアと政権の対立構造に事態が急速に変質していることを物語る。

はたして宿痾のごときマフィアと習政権は対決できるのだろうか?

従来、地元権力と党、公安はぐるになって業者から賄賂をうけとり、取り締まりはじつにいい加減だった。

地元公安の腐敗の温床、最大の利権でもあった。ところが、東莞の副市長兼公安局長以下五名が職務怠慢として免職され、にわかにこの取り締まりが本気であることが表面化した。つまり「なぜ取り締まりをまじめに遂行しなかったか」という理由で免職処分を受けたのは東莞副市長兼公安局長ばかりか、となりの虎口、厚街(この二つの市は日本企業が多い)、黄江鎮、風岡鎮の公安責任者だ。

▼GDPの20%が地下経済の中国で、闇へメスを入れる?

習近平政権発足と同時に王岐山が中心となった「反腐敗キャンペーン」が開始され、党の贅沢禁止、軍の綱紀粛正は、たとえばアワビなどを供する高級レストランを連続的経営不振に陥らせた。

ついでに軍の経営するホテルも閑古鳥、愛飲してやまなかったマオタイ酒、五糧液など酒造メーカーも四苦八苦の状態となり、不平不満がつのる。習近平はやり過ぎではないか、と。地下経済がGDPの20%といわれる中国で、この闇の部分が凹めば、景気も沈没を余儀なくされるだろう。

こうした東莞のような「セックス・シティ」は浙江省杭州、甘粛省蘭州、山東省済南、江西省柳川、黒竜江省ハルビン、四川省成都などがあげられるが、かつて四川省でもマフィアへの手入れは武装警官を投入し、やくざと乱闘、銃撃戦に発展したことがある。

おりから日本でも「王将」の社長が射殺される事件がおきたが、ヒットマンは中国大連のヤクザが派遣したプロ、しかも女性で、その日の内に中国へ出国したという。
(本日発売の『新潮45』、高山文彦ルポ)。

      
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