2014年02月23日

◆メダルより子犬を奪い合う五輪選手達

古澤 襄


■ 連れて帰るのは一苦労

ソチ五輪の公式グッズなど問題ではない。冬季五輪に参加している米国選手たちは、もっと抱きしめたくなるような土産を囲い込んでいる。野良の子犬たちだ。

米国が13日に表彰台を独占したフリースタイルスキー男子スロープスタイルの銀メダリスト、ガス・ケンワージー選手は米国に連れて帰ることを計画している4匹の子犬とその母親のために、この2日間を犬小屋とリードの購入に費やした。現在は山岳地域のメディアセンターのそばにある警備テントの中が犬たちの棲家となっている。

犬たちを選手村に連れ帰ることはできないため、ケンワージー選手は毎日そこを訪れている。

コロラド州デンバー在住のケンワージーさんは「試合の準備をしようとするとき、犬たちは良い気晴らしになる。余計なことを考えずに済むんだ」と話す。彼が引き取り手続きを始めたのは1週間以上も前のことだった。

毛色が黒と茶で耳の垂れた子犬たちのことを「とてもかわいい」とケンワージーさん。「僕のお気に入りなんだよ」。

数日前、ケンワージーさんが自分の膝の上でからだを寄せ合う4匹の子犬の写真をツイッターに投稿すると、国際的に大きな反響を呼び、ポップスターのマイリー・サイラスさんも「@guskenworthyをフォローすべき4つの理由」というコメントと共にリツイートした。

「(子犬たちのかわいさは)建物解体用の鉄球に打たれたような衝撃だった」。ケンワージーさんはサイラスさんの曲の歌詞をもじってそれに返信した。

女子スノーボードクロスでメダル候補だった米国のリンゼイ・ジャコベリス選手は、準決勝で転倒するという苦い経験をした。

しかし、「私と私の子犬」と題されたツイッターの写真には、満面の笑みで毛色が黒と茶の子犬のあごを撫でている彼女がいた。

ジャコベリスさんの代理人、ジョッシュ・シュワルツ氏によると、ロシアの動物病院に行き、ペットパスポートを購入するなど、彼女はその子犬の引き取り手続きを終了しているという。ジャコベリスさんはソチと名付けたその子犬と一緒に20日に帰国する予定だ。

ソチでは子犬の数が急増している。五輪会場の建設のために押し寄せた大勢の建設労働者たちが野良犬にエサを与えたためだ。最近拡充したソチのペットシェルター、ポボドッグの女性広報担当者によると、ソチ地区には推定2000匹の野良犬がいるという。

このシェルターはロシアのアルミニウム富豪、オレグ・デリパスカ氏から資金援助を受けている。その広報担当者は引き取りを望んで連絡してくる人の90%が米国人だと話した。

米オリンピック委員会の広報担当者は、ソチの野良犬を引き取ろうとしている米国選手の数は把握していないと述べた。それでも、ツイッターへの投稿に基づくと、選手たちの多くが子犬たちを連れ帰りたがっているようだ。

米国の男子アイスホッケーチームには、北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)で億単位の年棒を稼ぐ屈強な男たちがたくさんいるが、彼らもソチの子犬たちには弱い。

18日のチーム練習の数時間前、ゴールキーパーのライアン・ミラー選手がある写真をツイッターに投稿した。そこには、NHL選手協会の小屋の外で横たわる茶色の耳と黒のぶちが特徴的な白い犬が写っていた。

ミラーさんは「家族のホテルマスコット!」というコメントを添えた。「2匹の野良犬が風呂に入り、選手たちに引き取られた」。

米国チームのフォワード、デビッド・バッケス選手によると、米国、カナダ、スロベニアの選手たちは子犬をロシアから自分たちの国に連れ帰ることが可能かどうか検討している。選手たちが大会期間中に敵チームと協力することには問題があるが、選手たちの妻たちの一部が団結し、その輸送手段を見つけ出そうとしている。

「妻たちは自分たちだけの同盟を組んでいるんだ」とバッケスさんは言う。

犬たちを受け入れてくれる米国のシェルターをすでに見つけた選手たちもいる。しかし、選手たちが自分たちのチャーター便で犬たちを連れ帰ることができるかどうかは不透明だ。

今週になって、アエロフロート航空がソチの野良犬を無料で米国に運ぶことを申し出たという噂が広まったが、その航空会社の広報担当者は今も輸送上の問題解決に取り組んでいると話した。同社による犬たち――米国への空輸の問い合わせがあったのは今のところ10匹――の輸送が可能かどうかの決断は19日にも下されるという。

雪上、氷上での抜きん出た個人パフォーマンスに欠ける今回の冬季五輪では、ソチの野良犬がサプライズヒットの1つとなった。犬たちはまた、捨てられた動物やその引き取りに関する問題点にも光を当ててくれた。

18日、動物福祉団体、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(HSI)はそのホームページに「ソチの衝撃的な実情」という見出しを掲げ、ソチやその他の場所での捨てられた動物の助け方に関する情報を掲載した。

HSIのアンドリュー・ローワン会長は「私が覚えている範囲で、メディアがここまで野良犬の問題を大きく取り上げたことはなかった」と述べた。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>

2014.02.21 Friday name : kajikablog
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