「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年3月3日(月曜日)貳:通巻第4169号
〜自衛隊330 名が派遣されている南スーダンで内戦が激化している
石油パイプライン攻防で輸出は四分の一に激減。一番の困惑組は中国だ〜
南スーダン上ナイル州の都市マラカル奪回を宣言したのはヌエル族の武装組織「ホワイト・アーミー」(2014年2月18日)。すでにこの石油基地では銃弾が飛び交い、殺人、レイプは日常茶飯、秩序は崩壊している。1月23日に休戦協定が結ばれたのは、彼らが組織再編と再武装の時間稼ぎに過ぎなかった。
すでにマラカル周辺では1万人以上が殺され、60万人から70万人が難民となった。
2011年7月、南スーダンが独立したおり、石油生産基地は北側のスーダンではなく、南スーダンに集中しているため、輸出港へ運ぶパイプラインの安否が気遣われた。その生産基地の主力のひとつがマラカルである。
当時、もっとも懸念したのは中国だった。
それまではスーダンのバシル政権に梃子入れしてきた関係から、南スーダンへの接近も北京にとって重要な外交課題だった。果たして南スーダン新政権は中国が投資した石油施設、パイプラインを守ってくれるのか?
スーダンの石油は日量25万バーレル前後、その半分以上は中国が輸入している。パイプラインの敷設と警護を中国が支援した。
スーダンではダルフールで30万規模の虐殺が行われ、バシル政権は国際世論から非難されたが、武器供与の筆頭は中国だった。それもいつしかうやむやになった。
そして南スーダンの内戦状態はむしろ激化している。
国連のスーダンミッション(UNMISS)には日本も韓国も加わって、直近のハプニングは韓国軍が日本の自衛隊に実弾の借り入れを申し込んだことだ。
南スーダンは国庫の98%が石油収入で、一人あたりのGDPは1000ドルと言われるが、石油利権の奪い合いが政治の中心なる。日本は南スーダン独立後、200億円を援助し、JICAを通じて教育、農業技術、インフラ建設に協力してきた。自衛隊は330名が派遣されており、それでも治安が悪く、ティンカ族、シルック族、ヌエル族の対立で、戦乱の巷となった。
加えて13年10月に南スーダン一帯が洪水に襲われ被災者が20万人、難民が溢れだし、日本はこの洪水災害でもテント毛布など1800万円相当を寄附した。
国連事務所が襲撃され、印度兵2人が死亡する事件が起こったが、首都のジュバでも爆発、銃撃が繰り返され、その基本構造にはリック・マチャール前副大統領率いる反政府武装組織と、サルバ・キール大統領派との軍事抗争である。
「後者にはウガンダ兵が多数混入しており、米国はウガンダの介入に警告している」(英誌エコノミスト、3月1日号)。
いまのところ中国の介入の痕跡はない。