矢板 明夫
【北京=矢板明夫】中国の王毅外相は8日の記者会見で、日本や米国を批判する一方、周辺国などへの挑発行為を行う北朝鮮やロシアに対する非難は避けた。欧米や日本と距離を置き、旧東側陣営との関係を重視する習近平政権の外交スタンスが、よりいっそう浮き彫りになった。
王外相は会見で、北朝鮮の核問題について「6カ国協議の議長国として協議の早期再開を希望している」などと述べ、中国の従来の主張を繰り返した。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が昨年12月、親中派の実力者、張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑に踏み切って中朝の要人の往来が一時止まり、関係が悪化したと指摘する声もあったが、王外相の発言で中国の対北政策に大きな変化はないことが明らかになった。
王外相はまた、「米朝双方に深刻な信頼関係の欠如があり、朝鮮半島情勢の緊張をもたらしている」との認識を示した。また、「各方面ともに冷静さを保ち、相手に善意を示すことが大事だ」と指摘した。最近も日本海に短距離弾道ミサイルなどを発射し、挑発行為を繰り返す北朝鮮を批判せず、米朝双方に責任があるかのような言い回しとなった。
また、緊張が高まっているウクライナ情勢については、「今日の事態に至った原因があり、背後には複雑な歴史経緯と利害の衝突がある」と語り、ウクライナへの圧力を強めるロシアへの非難を避けた。
その上で、「冷静さと抑制を保持し、さらなる緊張のエスカレートを避けることが急務だ」と語り、対露制裁を進める欧米諸国を牽制(けんせい)した。
米中関係については、「互いに領土や社会制度、核心的利益を尊重することが大事だ」と語った。オバマ大統領が最近、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したことを暗に批判した形だ。
産経ニュース2014.3.9 01:06