2014年03月14日

◆日米韓首脳会談の機運が生じつつある

杉浦 正章



安倍はこの機会を逃すな


オランダ・ハーグの「核セキュリティーサミット」で日米韓首脳会談が開催できるかどうかだが、日韓外務次官会談は新聞が伝えたように物別れ的な流れではなかったようだ。その証拠に外務次官・斎木昭隆がニコニコしている。


首相・安倍晋三も13日斎木の報告を利いて、改めて三か国首脳会談の実現を指示した。斎木と会った日韓議連会長・額賀福志郎は同日のBS日テレで、「首脳会談の糸口を探ろうという動きが出てきている。そう言う流れに答えていこうという機運がある」と言明した。


会談実現には、サミットまでの10日間にめざましい外交上の進展が必要となるが、米国の仲介により韓国の姿勢も雪解け的な感じを示し始めている。日韓両国ともこの機会は絶対に逃すべきではない。


米国の前米大統領補佐官(国家安全保障担当)・ドニロンがさる6日ワシントンで、日米韓首脳会談の可能性を示唆したから、これは本筋だと見て観察していたら、斎木の訪韓となった。ドニロンは「オバマ大統領は今月安倍晋三首相と朴槿恵大統領にオランダのハーグで会う機会がある。


もしかしたらそこで2人を引き合わせることができるかもしれない」と述べたのだ。24、25両日にハーグで開かれる核安全保障サミットに合わせた会談という構想だ。この米国の新提案の背景には、言うまでもなく4月22日からのオバマによる日韓歴訪がある。


ホワイトハウスにしてみれば、オバマを子供の使いにするわけにはいかない。したがって何が何でも事前に日韓関係を好転させる必要があるのだ。こうした方針は日本の外務省にも伝わり、韓国との調整を求められ、斎木訪韓となったに違いない。


これはとりもなおさず、日米が結託して対韓関係の改善を目指す流れであり、韓国側にしてみれば大変な重圧となるだろう。もともと米国は国務長官・ケリーがさる2月に朴槿恵に「歴史より現実」と対日軟化を要望しており、韓国も米国の仲介をむげにすることも出来なくなっていた。


最初はオバマのアジア歴訪には韓国が入っていなかった。これを2002年のワールドカップサッカーと同じで訪日を利用して無理矢理引っ張り込んだのであり、そのオバマのメンツをつぶせばどうなるかくらいはいくら朴でも分かるはずだ。


米国の意向を受けて安倍の靖国参拝で憤った韓国は徐々に軟化の兆しを見せ始め、3月1日の朴による「独立運動記念日」の講演も1年前とは打って変わった軟らかいトーンで、対日改善策を暗に提示していた。外相・尹炳世も議会答弁で政治と経済・文化を分離する必要に言及するに至っている。


日本側も官房長官・菅義偉が焦点の慰安婦問題で「河野談話を見直さない」と明言すれば、米国務省報道官のサキが10日「河野談話を維持すると官房長官が述べたことに留意している。前向きな一歩だ」と評価するなど、日米は歩調を合わせるに至っている。


そこで焦点は、サミットまでの10日間で、“お膳立て”が出来上がるかどうかである。日本の打算としては、日韓首脳会談だけなら慰安婦問題ばかりが焦点になるから、元国務副長官・アーミテージが述べるように「日本に勝ち目はない」ことになりかねない。

しかしオバマという緩衝材が入って、極東情勢を語れば逆に「勝ち目はある」ことになる。


3首脳会談を前提とした場合の事前調整の焦点となるのは、やはり慰安婦問題での対応だ。これまで安倍は村山談話は「継承する」と明言しているが、河野談話については官房長官・菅義偉に「継承する」と言わせて、使い分けてきた。


朴が1日に「55人のお婆さんたちの傷は当然癒やされなければらならない」と述べているのが何を意味するかだが、一つに「安倍による河野談話継承の明言」があることは間違いない。


もう一つは政府が方針として打ち出した「河野談話の検証」問題である。まず「継承」については、安倍にしてみれば継承を明言すれば韓国側が問題をぶり返さないという保障がない。日本の首相が何度謝ればいいのだという感情的な問題も大きい。


しかし、ここは米国が大局を見ている。談話の踏襲明言などで、極東情勢が安定すれば安いものなのである。従来の政権が繰り返し「踏襲」してきたことでもあり、ことさら安倍が変更することもない。


「検証」についても河野談話で事情を聞いた16人の女性の内既に14人が死亡しており、残る女性は超高齢だ。再聴取などは出来るわけもない。結局「検証」は、韓国へのバーゲニングポジションを高くしておくという、巧妙な外交手段であったかと思えてくる。それならば「検証うやむや化」もあり得ることだ。


一方で、愛する習近平が4月にも訪韓する流れが出てきて、朴は米国と中国の両方にお愛想笑いをしなければならない状態になるかも知れない。中国と仲良くするのは、最大の貿易相手国であるうえに、北朝鮮への“抑え”の側面もあり重要であるに違いない。


しかし極東の情勢は中韓首脳会談の前に日米韓首脳会談があるとないとでは雲泥の差がある。なければ朴が習にさらわれかねないからだ。米国の極東戦略にも影響が生ずる。歴史認識で反日共同声明でも出されたら、日韓関係は決定的となる。


情勢を俯瞰(ふかん)図で見れば、ここに来て朴は、じりじりと日本外交に押され始めていることを感じ取らざるを得ない状況であろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック