平井 修一
日本とスイスが「日本・スイス修好通商条約」を調印し外交関係を樹立したのは幕末の1864年2月6日。今年は150年目にあたる。
連邦共和制のスイスの面積は九州と同じくらいで、人口は804万人。小国だが、1815年に欧州列強がナポレオン戦争後のウィーン会議でスイスの永世中立を承認したから、200年も独立を維持してきたことになる。
ヨーロッパは戦争の連続だったから、スイス周辺のイタリア、フランス、ドイツ、オーストリアなどが緩衝地帯として、また戦争に影響されない「金庫」としてスイスの中立を支持したのだろう。中立だから国連加盟を国民投票で可決したのはなんと2002年9月、190番目の加盟国である。
中立を守るのは軍事力をバックにした外交努力だろう。
第二次世界大戦の開戦前、スイスはフランスおよびドイツから戦闘機を大量に購入、またはライセンス生産して航空戦力を整えた。第二次大戦の開戦と同時に、スイスは国際社会に対して「武装中立」を宣言し、侵略者に対しては「焦土作戦」で臨むことを表明した。
焦土作戦とは、仮に外国の軍隊がスイスを侵略した場合は、外国の軍隊がスイスのインフラを強奪する前に放火や爆破等で国土を焦土と化し、侵略者に一切の戦利品を与えない作戦。また、国民に対しては、侵略者への降伏を禁ずる動員令を布告し、一時期は85万人を軍に動員した。
スイス軍は、1907年のハーグ条約で定められた国際法上の「中立義務」を果たすため、領空を侵犯する航空機があれば、連合国側、枢軸国側を問わず迎撃した。第二次世界大戦中、スイス空軍は約7000回のスクランブル発進を行い、高射砲部隊も火力を有効に発揮して航空隊を支援した。
結果として、スイス軍は領空侵犯した250機を撃墜したが、その代償として航空隊は200機を喪失し、終戦時には壊滅状態だった。
その一方で、当時のスイス政府は柔軟な姿勢で外交と通商を展開した。第二次世界大戦においてはこう主張した。
「資源を持たないスイスが、資源を持つ国と通商することは生存権の行使であって、国際法で定められている中立義務に違反するものではない」
「通商は生存権の行使だ!」、いい言葉である(米国は日本の生存権を認めなかったから戦争になった)。
こうしてスイスは国民の生活を守るために必要な資源を枢軸国や連合国から輸入したり、枢軸国から輸入した資源を加工して連合国に高値で転売することに成功し、したたかに国益を確保した。
現在のスイス軍の常備軍は4000名の職業軍人であるが、徴兵制度により兵力18.5万人(戦時動員数)の予備役を確保している。イスラエルのようなハリネズミ国家と言えそうだ。
ところで日本の消防団。いずこの市町村にも設置されている。基本的には非常備の消防機関であるが、山岳地帯、離島の一部など、常備の消防機関の消防本部及び消防署がない地域では常備消防を担っている。
消防団員は他の職業等に就いている一般市民で、いわばボランティア。自治体から装備および僅な報酬が支給される(無償のことも)。2007年4月現在、消防団員数は89万人余で、消防団数は2474団である。
「民間防衛」とは、武力紛争等の緊急事態において市民によって国民の生命及びインフラや公共施設、産業などの財産を守り、速やかな救助、復旧によって被害を最小化することを主目的とする諸活動をいうそうである。消防団も民間防衛の一種だろう。
以下、防衛省のサイトから。
<多くの国では、普段から、いざという時に必要となる防衛力を急速かつ計画的に確保するため予備役制度を整備しています。
我が国においては、これに相当するものとして即応予備自衛官制度、予備自衛官制度、予備自衛官補制度という3つの制度(以下、「予備自衛官等制度」)を設けています。
いずれも、普段は社会人や学生としてそれぞれの職業に従事しながら、一方では自衛官として必要とされる練度を維持するために訓練に応じるものです。そして、予備自衛官と即応予備自衛官は、防衛招集や災害招集などに応じて出頭し、自衛官として活動します。
一番最初にできたのは予備自衛官制度です。予備自衛官制度は、昭和29年の自衛隊発足と同時に導入されました。
そして、平成9年度、従来の予備自衛官制度に加え、陸上自衛隊をコンパクト化する一方、予備自衛官よりも即応性の高い即応予備自衛官制度を導入しました。
また、平成13年度、国民に広く自衛隊に接する機会を設け、将来にわたり予備自衛官の勢力を安定的に確保するとともに民間の専門技能を活用し得るよう予備自衛官補制度を導入し、平成14年度から採用を開始しました。
平成23年3月11日に発災した東日本大震災において、予備自衛官等制度発足以来初の災害招集等が実施されました。
本災害招集において、即応予備自衛官は、あらかじめ指定された陸自部隊の隊員として、主に岩手県や宮城県及び福島県の沿岸地域に派遣され、給水支援や入浴支援、物資輸送などの被災者の生活支援活動や捜索活動等にあたりました。また、予備自衛官は、救援活動をを実施している米軍の通訳、医療、部隊の活動を支援している駐屯地業務隊の業務などに従事しました。
なお、今回の災害招集等では、予備自衛官等が所属する企業などの勤務を休んで参加することを考慮して、1週間から2週間を単位として、即応予備自衛官は延べ2179人が、予備自衛官は延べ441人がそれぞれ招集されました>
消防団があるのだから、各地域における予備自衛官等を隊長、指導者とした、軍事にも対応できる「民間防衛隊」を新設してはどうか。1か月の基礎訓練の後は年1、2回の短期訓練をする。最寄りの基地あるいは警察署に武器を保管しておき、いざという時には200万人の軍隊ができあがるぐらいにしたほうがいい。
それくらい準備をしなければ「支那解放、中共殲滅」どころか「日本自治区」になりかねない。クリミヤを見よ、領土は一瞬で奪われる。(2014/3/21)