2014年04月06日

◆朴大統領 北と危険な統一ギャンブル

黒田 勝弘


歴史に名を残したい? 

韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領による1月の年頭記者会見以来、時ならぬ(?)、北朝鮮との間の“統一ブーム”が起きている。街でも「統一が近いようですね」「3年以内に統一というのは本当ですか」「南北境界線に近い土地の値段が上がっていると聞くが…」などとよく聞かれる。

「3年以内統一」説について聞かれると「北の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が自分がやると威張ってそんなことをいっていたから、いつもの北の宣伝かもしれない」と答えているが、朴大統領の残る任期は4年足らずだから「朴大統領時代に南北統一」があるかもしれないということ
らしい。

今回の統一ブームは、朴大統領が会見で「統一はテバクである」と述べたことがきっかけになっている。

「テバク」とは韓国の俗語で「大当たり」「大もうけ」を意味する。したがって「統一は韓国にとっては経済的にみてマイナスではなくむしろプラスなのだ」という風に、前向きな姿勢を強調したのだ。

南北統一に対する世論の現状は「あんな厄介者を引き受けるのはゴメンだ」といった北朝鮮と一緒になることへの消極論や「このまま(分断状態)でいいじゃないか」といった現状維持論が広がっているため、朴大統領としては「いや、むしろ韓国経済の新たな発展のチャンスになる」と、国民にハッパをかけたつもりのようだ。

韓国政府は朴大統領以下、北朝鮮に対する開発・投資プランや、韓国経済がシベリア鉄道経由でユーラシア大陸に広がる夢をしきりに語っている。近く大統領直属の「統一準備委員会」も発足する。

年頭から、統一問題特集を続けているマスコミはドイツに出かけ「東西ドイツ統一の経済負担はたいしたことがなかった。むしろ現在のドイツ経済隆盛の背景になった」と“いいとこ取り”の話ばかりを伝えている。また、朴大統領も先のドイツ訪問で同じような話をしたのを、わざわざ“ドレスデン宣言”として、改めて語っている。

しかし、朴大統領は「核兵器放棄」「平和統一」をいうだけで、あの金正恩第1書記の北朝鮮と「どのように統一するのか」という肝腎の議論が抜けている。つまり、統一ブームだといっても、北朝鮮のことはそっちのけの一方的な「捕らぬタヌキの皮算用」なのである。

北の反応は韓国への砲撃だったり、無人機による侵入だったりといった相変わらずの軍事的挑発だ。金正恩体制に「平和統一」のイメージなど、到底わかない。

それでも平和統一となると金大中(デジュン)大統領と金正日(ジョンイル)総書記による2000年首脳会談合意がある。北の連邦制案と南の国家連合案を折衷する方向でどうかというものだ。朴大統領がこの話に乗るのかどうか。

「テバク」は客の大入りや大豊作、大漁にも使うがもっともよく使うのはギャンブルだ。韓国の歴代大統領は民族の至上課題とする統一問題で「歴史に名を残したい」といつも焦る。朴大統領も“統一ギャンブル”で欲を出し過ぎると危ない。(在ソウル) 産経ニュース[緯度経度]2014.4.5

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