2014年04月24日

◆「核」が日中開戦を抑止する E

平井 修一


(承前)栗栖弘臣・元統幕議長の「私の防衛論」(高木書房)から。

――いまだに野党の(日米安保条約)反対の一番の柱というのが、例の「巻き込まれ論」ですね。その恐れは非常に多いとみなしたほうがいいんですか。

<多いというのかどうか、とにかく巻き込まれなければ日本は孤立するわけですから・・・。日本がかつてあれだけの大失敗をしたというのは、国際連盟から42対1で脱退をして次第に孤立化の道を歩んで、結論的には、日本とは直接関係のないドイツ、イタリアと結ばざるを得なくなった。

そのために日本が破滅の道に入り込んだ。やはり日本にとって一番警戒すべきなのは、孤立化じゃないかと思います。

「巻き込まれ」ということは、日米が結びついているという反証です。こちらの方が日本としてはとるべき選択じゃないかと思います。しかも相手がドイツのような全然日本と関係ない国とではなく、今度は太平洋の中ですぐ隣である、しかも世界で資源的に最も強大、人口も多い、武力も非常に優れている国と一体になっているんですから、これこそ優れた選択の道だといえます。従って、巻き込まれることは当然の選択であるということ
でしょう。

もし巻き込まれないという立場を日本が貫くと、まさにアメリカからも見捨てられる。中国も恐らく日本を見捨てるだろうと思いますし、ソ連は当然見棄てる。そうなってくると、ABCDラインどころじゃなくて、周囲の強国から全部虎視眈々と狙われる形になるんじゃないかと思います>

――有効に条約が発動されるためにはどういうことを日本がやっていかなければならないかですね。

<アメリかは、なかんずく世論の国だと思いますし、「自国の憲法上の手続きに従って」ということになりますと、5年前決められた大統領の権限を制限する法律(注)によって、60日間は行政府だけである程度出兵できるでしょうが、その間でも上下両院が否決すればすぐ兵力を引かなければいけない、しかもベトナムであれだけ痛い目に遭っている以上は、大統領としてもなかなか極東には出さないと思います。

そうなってくると、議会が承認をしなければ、日本に対して、あるいは極東アジアに対しては、まず兵力は出さないということになると、まず議会の承認を得やすいような雰囲気、ということは、平素からアメリカ国民の意識を、日本とはどうしても運命が一体だから助けなければ大変だというふうに仕向けていくことがもっとも重要であると思います。

そのためには、今の極東あるいは日本にいる兵力の展開等に対してもブレーキをかけないと同時に、日米の経済的な摩擦もできるだけ減らさなければいけませんし、文化的な交流――これはアメリカから言えば、NATOは文化的、歴史的に非常に近い、東洋とは(それが)ないんだと、とはっきり言っていますので、そういう点もこちらから求めて作っていくというふうにしないといけませんね>

――一部では、栗栖さんは基本的には安保不信論者であるという説がありまが・・・

<これはとんでもない誤解でしてね。今のままの安保では十分ではありませんよ、という意味ではまさにそうなんですけれども。だからこれを解消しろというんじゃなくて、これを強くしなければいけない、しかも不断に努力しなければならない、こういうことなんです>

――日本は海外派兵が禁じられているので、外で助けてやらない、助けられるだけだという片務性。これで米国が日本を助けてくれますかね。

<それでひとつ疑問は、日米安保には「日本は憲法の規定に従って防衛力を整備する」、その前に「自助及び相互援助の原則に従って」というふうに「自助」という言葉がちゃんとあるんです。自ら助けないということは、初めからアメリカの念頭にない。それがいま日本が侵略された場合に、まず自ら助けないでアメリカさん来てくれというのはどうかという、日米安保の根本的な考え方にも引っかかってくる問題だと思うんです。人に頼むが、自分のために血を流さない。これが一つ。

もう一つは、日本は国連外交、世界平和を口で言いながら外国のために努力をしないという点が非常に問題がありますね。この辺も、もう少し国民のコンセンサスを得て、どちらがいいのか決めて、もし依然として出さないほうがいいとなれば、今度は経済援助なり技術援助、あるいは善意で若い人は国外へ出ていって仕事をする、そういう形で補完する。もう少し世界のために汗くらいは流さないといかんのじゃないかと思います>(つづく)
               ・・・
注)戦争権限法:米国大統領の戦争に関する権限を制約する法律。大統領は軍の総指揮官としての権限を有するが、同法は、敵対行為等に対する軍の投入に際し、大統領と連邦議会が共同で判断することを求めている。1973年制定。

連邦議会の戦争宣言がないまま大統領が軍を投入した場合、48時間以内に議会に報告する義務があり、議会の承認が得られない場合は60日以内に軍を撤退させなければならないことなどが規定されている。(2014/4/21)

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。