「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
<平成26(2014)年4月24日(木曜日):通巻第4215号>
〜香港最大財閥、李嘉誠。中国の不動産を売り逃げていた郎喊平の不動産(暴落予測)セミナー、超満員。定員の2倍の投資家が押しかけた〜
「不動産ローンを組んだ投資家は99%が破産する」など過激な予言で知られる人気エコノミストの郎喊平が先ごろ開催したセミナーに2500人が押しかけて、会場が人で溢れた。香港のマスメディア、テレビの殆どが取材に入った。
要は不動産暴落にいかに備え、次に何に投資するかという問題意識が、それほど末端にも浸透している実相を象徴している。
香港最大財閥として知られる李嘉誠は長江実業、ハッチソン・ワンポア集団を率いて、広州、南京、上海、北京など主要都市にランドマーク的な複合ビルを建ててきた。
2013年8月以後、李嘉誠グループは保有する不動産物件の売却に入り、広州の西城都プラザビル、上海の東方広場、南京の国際金融センターなどを次々と売却し始め、次男リチャード(李沢偕)が経営する北京の「パシフィック・センチュリー・プラザ」も93億ドルで売却したことがわかった。
長江実業の2013年度純利益は邦貨換算で4630億円(ブルームバーグ、2月28日)。
フォーブス誌の世界不動ランキングで世界20位、個人資産310億ドルという大財閥の李嘉誠が、中国大陸に保有する不動産を売り払ったことは、何を意味するか?
他方で李嘉誠はロンドンの新副都心カナリーワーフにほど近い場所に3500戸の団地を建てることでロンドン市長と合意している。李は中国の不動産投資からは手を引いたが、世界へ分散投資のスピードを上げている。