2014年04月26日

◆「核」が日中開戦を抑止する F

平井 修一


(承前)栗栖弘臣・元統幕議長の「私の防衛論」(高木書房)から。

――アメリカにとって日本の地位は、現状では地勢的な戦略価値以外には大きな価値はないというような状況だと、安保の信頼性そのものも年々希薄になりかねないわけですね。

<そういうことだと思います。今までの多くの考えでは、アメリカの利益になるから安保があるんだと割り切っていた。

ところが、今のような情勢の変化、あるいは軍事技術の発達――日本は地理的に大陸を封鎖したような格好になっている、したがってソ連の海軍力に対して海峡を押さえるのにちょうどいいということが相当強調されているんですが、これは技術が発達すれば、ソ連の海軍が太平洋に出てきても、簡単に潰せるようになるかもしれない。そうなると、この地理的なメリットは少なくなる。

残るのは工業力、頭脳ということがありますが、中国は今でこそ力はないにしろ、昔から非常に優秀な国ですから、日本にとって代わる、あるいはそれ以上の力を持ち得ないとは考えられない。

そうしてみると、アメリカから見た日本の価値は少なくとも大きくなることはなくて小さくなる可能性があるというふうに見られるんですね。だから、アメリカが必要だから俺たちは乗ってやっているんだという考えは、とうてい通用しなくなってしまうということですね>

――もし自助努力をしなければ、向こうから安保が空洞化されることになるということですね。

<だからこっちでも努力しなければだめだと>

――自助努力にもいろいろ問題があります。実は日本があまり強くなるのも困ると外国は考えているフシもあります。どの限界までアメリカが望んでいるのかという議論がされていますが、アメリカはどの程度まで考えているんですか。

<とにかくアメリカは金を出してくれということでしょうね。日本は金持ちだから金をうんと出せ、そうすればアメリカはなんとかやってやるというのがぎりぎりの線じゃないかと思いますね>

――あまり汗を流しては困るわけですか。

<そうなんでしょうね。その他に、アメリカにとって面倒臭い対潜能力を増やしてくれだとか、日本の防空能力――ということは、アメリカの基地及び後方支援能力を守ってくれということにつながると思うんです。

そういうことは若干ありますが、このいずれも、日本がアメリカあるいは東南アジアにとっての脅威にはならないという範囲というのが腹の中にはあるでしょうから。それ以外のことは本心としてはあまり望んでいないということかもしれません>

――そうすると、NATO諸国に希望していることとは大分違うということになるわけですか。

<根本的には、NATOの諸国は親戚である、血族であるということじゃないでしょうかね。NATOは運命共同体だと思っているでしょうし、日本とアメリは利益共同体と思っているかもしれませんね>

――そこがNATOとの関係と大きく違うところだと思いますね。

<それを日本人が自覚しなければいけない。(日米安保は)当然だと思うところに非常に問題があると思います。(日本人には)日米安保の価値を検討することは、アメリカに対して申し訳ないという気持ちがある。しかし、アメリカといえども国益を考えている、日本でも国益を最優先に考えなければいけない。

しかもこれは長期にわたって国家の大計を考えなければいけないということになると、今の日米安保そのものが持つ日本に対する価値、そういうことも心の底では考えていかなければと思います>

――安保があったから日本はすべてに無責任な態度をとるようになったという・・・

<そういうことはあるかもしれませんね。よく冗談に話が出るんですが、アメリカが「日米安保やーめた」と言ったら、日本人はどういう反応を示すだろうかと思うんです>

――(安保が)自動延長になったとき、日本では1年前の通告によっていつでも破棄できるようになったんだと野党あたりは言っている。逆にアメリカも1年前の通告によって安保条約を破棄できるようになったんだということの認識が非常に薄いんですね。
・・・

栗栖氏の論考はひとまず終えるが、日本が安保条約に期待した最大のものは「核の傘」だった。かつてはソ連の核ミサイルだけだったが、今では中共、北朝鮮の核ミサイルも日本に照準を合わせており、特に中共は年々好戦的になり、最新の国防白書から「核の先制不使用」を消し去った。

日本への明確な恫喝であるが、今の米国は自国民を犠牲にしてまで日本のために中共の核に報復する気力、体力はない。つまり「核の傘」はなくなったのだ。

核戦争で3億人が死んでも構わないという中共に対して、日本が核武装したところで抑止力になるのかという議論はあるだろうが、「10倍返し」で漢民族を抹殺する実力を持てば抑止力になる。

中共は強者にはへつらい、弱者には居丈高になる民族であり、日本が非核であれば攻撃を呼び込むだけである。日本が50年後、100年後も存続したいのであれば中共をはるかに上回る核大国になるしかないのだ。

次回から平松茂雄氏の論考「日本核武装の緊急性」を紹介していく。(つづく)(2014/4/24)

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