2014年04月27日

◆尖閣安保適用の真意を読む!

浅野 勝人


 オバマ大統領が、安倍首相との首脳会談で「尖閣」の固有名詞を挙げて、日米安保条約の適用範囲と明言しました。

日米安保条約の適用範囲は、フィリピン以北の日本周辺ですから、もともと尖閣諸島は対象地域です。オバマ大統領が記者会見で「なにも新しいことではない」と繰り返している通り、条約の規定を確認しただけのことではありますが、日中間でこれだけ大きな問題になっている情況の中で、ことさら固有名詞を名指しでアメリカの防衛義務を明示した意味は小さくありません。
 

 安倍首相の就任以来の一連の発言は、首相周辺側近のきわどい右派発言と重なって、ワシントンでの安倍評価が民族主義的危険思想と思われがちでした。

その懸念を払しょくするためにも、節度ある日米同盟の信頼関係の再確認となった両首脳の東京会談は、極めて有意義な出会いでした。もともと尖閣をめぐって日中武力紛争の可能性を予測する向きは存在しませんでしたが、オバマ発言によって偶発的・突発的な衝突の懸念もなくなったと判断していいと考えます。

冷静にみれば、尖閣に対する日米安保条約の適用は、条約上の義務として当然の事柄が指摘されたに過ぎませんが、もし言及を避けていたら日米同盟は存在意義を失います。

だから、逆説的に言えば、アメリカは日中間で武力紛争が発生したら、条約に従って日本を助ける義務を負っていることを公言することによって、一方で米中協調を発展させるため中国との敵対関係は何としても避けたいアメリカを困難な立場に追い込まないよう中国に求めたアメリカの本音の表れです。

従って、日本か、中国か、どちらか一方の選択をアメリカに迫るような愚かな軍事的行動は絶対に避けよというメッセージを日中双方に向かって発出したと読むのが正解でしょう。

首脳会談の中で、オバマ大統領が、尖閣問題を日中間の対話によって平和的に解決することを安倍首相に2度にわたって求めたと念には念を押して記者会見で言及していることがそのことを如実に示しています。

もちろん、中国政府が、中国の領土に対するアメリカの口出しは絶対に認められないと強く抗議するのは当然です。立場を置き変えてみればわかることですから、日本政府は「オバマ発言」の真意を十分理解して下手な言動は慎むべき大事な時期です。

むしろ、オバマが日本の立場に100%答える態度を鮮明にしたことによって、安倍はオバマに対して中国、韓国との関係改善の政治的責務を負ったと受け取るのが妥当でしょう。

特に、オバマが皇室の尊厳を最大限に尊重し、その上、明治神宮に参拝した意味を重視する必要があります。国務長官、国防長官、駐日大使の千鳥ヶ淵墓参と合わせて日本政府首脳の靖国参拝に待ったをかける強烈なメッセージです。

「先の大戦で国家の為に犠牲となった尊い御霊に手を合わせるのは各国リーダーの当然の振る舞い」という点に異論はないけれども、それならば310万人の尊い命を犠牲にしたアジア・太平洋戦争を決断・推進した国家指導者の戦争責任をどう考えるかという視点が決定的に欠落していることをアメリカ政府首脳たちは指摘していると受け止めるべきです。

そして、中韓両国への配慮だけから政府首脳の靖国参拝自重、村山談話・河野談話の継承を求めているのではなくて、日本が欧米社会から国粋主義の疑念を持たれないよう気遣う同盟国・アメリカの忠告と私は理解しています。

強固な日米同盟を背景に米中の絆を強化する動きに劣らない日中関係の再構築へ向けて踏み出すきっかけとなればオバマ来日は歴史的意義を深める結果となります。( 2014/4月25日記 ・安保政策研究会 理事長)



この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック