2014年04月30日

◆発送電分離、インフラに不安

橘川 武郎


−−エネルギー基本計画が閣議決定された

「高速増殖炉原型炉『もんじゅ』の役割見直しや、石炭火力発電の位置づけを高めるなど、個々の項目では従来の基本計画より踏み込んだ。一方で、ベストミックス(最適な電源構成)の明示が見送られたため、方向性は分かってもボリューム感が分からない不十分な内容に終わった。全体として『木を見て森を見ず』という印象は否めない」

−−基本計画では原発の活用方針が示された

「多くの国民は『当面は原発を活用せざるを得ない』との考えだろうが、再稼働に向けたプロセスの不透明さが反感を招いている。しっかりと説明するのが政治の責任だ。

また、原子力規制委員会が進める原発の安全審査が見通せないとして、ベストミックスを決められないという理屈もおかしい。原発の推進と規制を分けるために規制委がつくられたわけで、その判断とは切り離してエネルギー政策のあるべき姿を考えるべきだ」

−−再生可能エネルギーの導入拡大に向けた課題は

「当面は固定価格買い取り制度の効果で順調に伸びるが、送電線の整備が進まなければ導入に歯止めが掛かる。例えば、政府が力を入れる洋上風力発電も送電線をどう引くかが問題で、これは再生エネ導入で先行するドイツなどが直面している課題だ。民間事業者で解決できなければ国による支援が欠かせない」

−−電力システム改革に対する懸念は

「電力大手の発電と送配電部門を別会社にする『発送電分離』は、日本の良質な送電網を毀損(きそん)する恐れがある。競争で電力大手の経営に緊張感を与えることは結構だが、電力会社の高い現場力を損なうようなことがあってはならない」(一橋大大学院教授)
産経ニュース【政策を問う】  2014.4.29

                   ◇

【プロフィル】橘川武郎

きっかわ・たけお 東大経済学部卒、東大大学院博士課程単位取得退学。
昭和62年青山学院大経営学部助教授。東大社会科学研究所教授などを経て
平成19年から現職。62歳。和歌山県出身。

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